第102話 起きないリディ ゼルとの再開
昨日僕とホノカ、シロは遅くまでメダルゲームをやったのだがジャックポットを獲得するには至らなかった。
続きは次回にという話になり僕達は眠りに付いたのだ。
そして翌朝、昼過ぎになってもリディが起きてこない…
「なぁ、リディってまだ寝てるの?」
「起きる気配がない、ニヤニヤしながら寝てる。」
「一応起こしたのよ?でも全然起きなくて…トイレとか大丈夫なのかな?」
きっと大丈夫じゃないと思う…しょうがないから三人で起こしにいくか…。
「おーいリディ!起きろー」
僕はリディの身体を揺さぶってみるが全く起きる気配が無い。幸せそうな寝顔だ…なんか僕も眠くなってきた。
「あの枕の効果で好きな夢を見ているんだと思う。そして起きる気が無いのかも知れない」
うーん…正直起こすのも可哀想だし起こさないのも問題だな…。
「私達は依頼があるからそろそろ帰らないといけない。起きたらまた遊ぼうと伝えておいて。」
「変な事しちゃダメなんだからね!まあ出来ないとは思うけど…」
出来ないよ?そんな度胸ないもん僕。
なんかアッサリ帰っちゃった…。
シロがトランシーバー持ってるし何かあったらすぐに連絡出来るかな。
そして目の前には眠るリディ、一体どんな夢見てんだろう…。
もしかして10年とか100年眠り続けるなんて事ないよね?
一応様子を見ながら僕はステータスなどを確認、いつの間にかスキルポイントは一万を超えていてレベルは350になっていた。
そういやレベルなんてあったな…。僕には必要ない要素な気もするけど。
結構な時間が経ったがリディは何回起こしても起きない、本当に何年も寝る気か?別に構わないけど、なんとなく起こした方が良い気がする。
もしも漏らしてしまったりなんかしたら恥ずかしくてそれはもう…大変なんじゃないの?
何か起こす手段ないもんかな…。
僕はトランシーバーを取りに行き物知りそうな彼に電話をかけた。
「ショウかい?今日はどんな用かな?」
魔王のゼル、長寿らしいし何か知ってるかも。
「今七聖竜のリディベルトが来てるんだけど色々あって起きないんだよね。何か起こす方法ない?」
「ショウはまた七聖竜といるのかい?起こす方法か…一応眠気覚ましの薬草みたいな物はあるよ、七聖竜に効くかどうか分からないけど」
「じゃあ今から取りに行って良い?久しぶりにゼルにも会いたいし」
「え?良いよ良いよ!おいでよ!薬草の準備をして待ってるからね!!」
ゼルも毎日退屈そうだからね、有能すぎて仕事が貯まらないのかな?
地下室を全力で走らせ魔王の城を目指す。少し遠いので2000ポイントを使って速度をアップ、地下室じゃなかったら誰か轢いてもおかしく無い。
少し速すぎる気がするんだが…これ以上速度アップはやめておこう、暴走しかねん。
30分ほどで魔王城に到着、地下室から顔を出すとゼルが笑顔で駆け寄ってきた。
「久しぶりだね!薬草の準備は出来てるよ!まずお茶をしようか!?それとも僕今花の栽培をしてるんだけど見る?結構頑張ったんだよ!」
情報量多いな!お茶も良いけどまずは薬草を貰おうかな。
「まずその薬草貰って、リディが起きたら花を見ながらお茶でもしようか。」
「そうしよう!これがその薬草だよ、鼻に近づけて握り潰せば目が覚めると思うよ。」
握りつぶすの?なんか魔王領の薬草って変わってるな。
ゼルと地下室に降りてもリディは寝たままだ。
「こんなにスヤスヤ寝てるのに起こすの可哀想じゃない?」
「僕もそう思うんだけど色々問題がありそうなんだよ。とりあえず薬草使ってみようかな。」
リディの鼻の前で薬草をぎゅっと握りつぶす。
すると辺りに強烈な異臭が立ちこめた。
「ゼルなにこれ、すごい臭いんだけど!」
「そういう薬草だからね、気つけの一発ってやつさ」
「ひゃ!!な、なんですかこの匂い!一思いにぶっ殺しますよ!!」
あ、起きた。
「おはよう、なんかずっと寝てたから起こしちゃったんだけど余計なお世話だったかな…?」
「あ、ショウ君だ…。いえ、そろそろ尿意が限界だったので起きようとは思っていました…。正直漏らしてもショウ君が拭いてくれるから良いかなとか思いましたけど…」
拭かないよ!いや…いざとなったら拭くのかな…でもなぁ…拭くかも!!
「と、とりあえずおトイレに行ってきます…」
そうしてイソイソとリディはトイレに走って行った。
「彼女は前からあんな感じだったのかい?僕が会った時は殆ど喋らなかったけど」
「まあ色々あったのだよゼル君、とりあえずリディが戻ってきたらお茶を飲もうか」
数分後、リディはスッキリした顔で戻ってきた。
「ショウ君…いっぱいでました…滝のように」
それは良かったね、一応音は聞かないようにしてたけど正に滝だったね。
「久しぶりだねリディベルト、覚えてるかな?魔王のゼルゲインだよ」
「ひゃ!魔王…お久しぶり…」
一応覚えてはいるんだね。
「良い夢を見ていたのかい?随分とぐっすりだったじゃないか。」
「好きな夢を見られる枕を手に入れた…ショウ君といっぱい遊んでいっぱい子作りを…」
「ちょっと待ってた!分かった、楽しい夢で何よりだったね!今から花を見ながらお茶を飲むよ!リディも飲むだろ?さっきいっぱい出してたし!」
「お、女の子にいっぱい出してたとか言ってはダメ…」
さっき自分で滝みたいとか言ってたじゃん…でもなんかごめん…
「あの…お茶を飲みたいのは山々なんだけど…迷惑をかけた村に戻って豊作にする準備をしないといけない…。ショウ君とは夢の中でいっぱい遊んだから…」
少し残念だけどリディがやりたいと言ってるんだ。邪魔はしないでおこう。
「んじゃまた時間できたら遊びにおいでよ。その時はまたメダルゲームやろうね」
「う、うん!やる!じゃあ楽しみにしておく」
そう言うとリディは迷惑をかけた村に向かった。結構すんなりだったな…
「村ってなんだい?」
僕はあの村での出来事をゼルに説明してあげた。
「なるほどね、しかし仲良さそうで何よりだよ。夢の中では先を越されてしまったようだしね!」
いやいや…僕自身は何も出来てないよ…。
ゼルといるとやっぱり楽しいな、お茶でも飲んでゆっくりしていこう。
花を見ながらね!
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