第101話 メダルゲーム 魔法のガチャ
「これよコレ、時間溶けるんだコレが」
UFOキャッチャーの部屋にコインゲームを設置完了。
コインをプッシャーが押すだけのシンプルな物だったのでアップデートをかけたら画面が付いて良い感じだ。
コインを入れて押し出されたコインが穴に入るとルーレットが回る。
演出は多彩で冒険者パーティーが色んな依頼を受けて成功すれば当たり、これでもかというほどの音と光で煽ってくる。中毒性ない?大丈夫かな…
そしてボールを落とすとボールを使っての抽選が開始、コロコロと転がるボールがジャックポットチャンスに入ればいよいよ本番、ジャックポットの穴に入れば3万枚が雨あられのように降り注ぐ。
と、デモ画面で説明している。
まあややこしいがとりあえずジャックポットを目指そうぜって事だね。
「分かったかい君達、そういう事だよ。」
「なんかよく分からないけどメダルを入れて落とすのがそんなに楽しいの?」
本当によく分かってないねホノカ君、君みたいなのが一番ハマるんだよ。
「私も良く分からない…メダルを増やしたらどうするの?」
なんかガチャ回せるみたいよ、2,000枚で一回。
ちなみに銀貨一枚で500枚出てくるらしいから僕の感覚で言うと4万円で一回だね。うん、高いね。
「と、とりあえずショウ君が楽しいなら楽しい、やってみる」
リディ、いつまでも純粋でいてくれ。割れろとか言われたのはもう気にして無いよ。
台は六角形、1台に6人座れるのでそれぞれ好きな場所に座りゲーム開始。
多分二人並んで座れるのだが何か揉めそうなので黙っておいた。
みんなチャリンチャリンとメダルを投入しているがまだ良く分かってないようだ…。
正直僕も小さい頃100円を握りしめてデパートのゲームコーナーで遊んだくらいなのでそんなに詳しくは無いんだよね。
いやぁなんとものんびりとしたゲームだ。僕は一枚づつタイミングを見計らって投入していく。
ルーレットが回りはずれ、また回ってはずれ。
確率どんくらい?全く当たらんのだが。
それから30分ほどして…
「なんでそんな敵に負けるのよ!!気合い入れなさいよ気合い!!」
「また当たった…確率変動楽しい…」
「こ、これは永遠にやっていられます…あ、またこの生ゴミのような敵です…頑張れ頑張れ。」
それぞれ楽しんでいるようだ…。
そして数分後まったり遊んでいると台が急にビカビカと点滅し大音量で『ジャックポットチャンス!!』とアナウンスが入った。
「わわ!何ですか急に騒々しい…」
リディの席か、一体どんな演出なんだろ?
すると轟音と共に天井が開き星空をキラキラとしたボールがゆっくり転がって来る。
ここ地下だが?どうなってんの?今更だけど。
しかし綺麗な風景だ…
僕を含めた全員は地下で星空を見上げスピードを増していくボールの行方を見守った。
「あ!何か出てきたわよ!!」
ホノカが言う通り金で装飾されたルーレットが出現、穴が六つ空いており一つだけがジャックポット、その他は100枚から1000枚の払い出し、なんか壮大すぎて枚数とかどうでも良いけど…ジャックポットは見てみたい。
ルーレットの手前でボールは止まり、再度アナウンス。
『ボタンを押して運命を選択して下さい』
リディの目の前に大きなボタンが出現し、自分で玉を発射する仕組みみたいだ。
良いなぁ…大きいボタンってなんか押したくなるよね。
「こ、これを押すんですか?じゃあ遠慮無く…」
なんかタイミングとか見なくていいの?と思ったがルーレットまでに幾つもギミックがあり、止まったり押されたりするのでどこで押しても一緒のようだ。
「おお…もう入りそう…」
ルーレットまで到着し、穴の周りをフラフラと動くボール。
ジャックポットの穴までもう少し…あれ?これ行っちゃうんじゃない?
しかしギリギリで穴に弾かれ、ボールは1000枚の穴に吸い込まれていった。
「ど…ドキドキした…惜しかった…」
リディもしっかり楽しんでたんだ、良かった。冷めた目で見てたらどうしようかと。
1000枚のメダルの払い出しは空からキラキラと降り注ぐというなんともロマンチックなものだった。
台に降り注ぐコインはチャリンチャリンという気持ちの良い音を立てている。
良いなぁ!楽しそうだなぁ!!
リディは目をキラキラさせながら降り注ぐコインを眺める。あっという間に1000枚のコインは全て落下して天井はまた閉まってしまった。
「つ、次は当たりの穴を狙います…メダルも増えたしもう一回くらいなら…」
「何よ今の!私もやりたい!見てなさい!すぐに天井開いちゃうんだから!」
「すごい綺麗だった…私もボタン押してみたい…」
全員の好奇心をくすぐるには十分すぎる演出だったな…
僕も頑張ろう。
それから1時間ほど経過し…
「ねぇショウ!お金貸して!!」
「ショウ、銀行に行ったら返す」
「ショウ君…あの…お金ちょうだい…」
いや良いけど…これ本当に金額に見合った景品でんの?もう結構使ってるんだけど。
景品だけ見ようと金貨をメダルに交換してガチャを引こうと思ったのだが払い出されたコイン以外では引けないらしい。
これでゴミみたいな景品だったら興醒めなんだが…
まあみんな楽しんでるしいいか。
全員ジャックポットチャンスには行くが肝心のラストで失敗、もうそろそろ入っても良いと思うんだけど…
「き、来ました…もう3回目なのでそろそろ…」
リディ調子いいな、流石にそろそろ当たりそうなんだが。
「タイミングは分かりました…この辺です!」
ボタンを押すとコロコロと転がるボール、全員が息を飲んで行方を見守る。
お?入りそう?
ボールはフラフラとジャックポットの穴に吸い込まれた、さて、何が起こる?
「やった!入りました!ショウ君!見ましたか!?入りました!!」
流石にテンション上がってるな、はしゃいじゃって可愛いんだから。
『ジャックポットゲット!Congratulations!!』
ファンファーレが鳴り響き星空の光という光がメダルに変わり降り注ぐ、僕達はただ呆然と最後の光が無くなるまで星空を見上げていたのだった。
「す、すごかった…メダルもこんなにいっぱい」
全てが実際に手元に来る訳じゃないけど2万枚強はあるな…すごいもん見た。
「すごかったわね!何あれ!星が全部降ってきて!」
「綺麗だった…今度は私も当ててみたい」
僕も当てたいが流石にやりすぎだ。ガチャの景品も気になるし一旦お終いにしよう。
リディはもう少し遊びたそうなので半分は預けてガチャを五回やってみる事になった。
はてさて何が出るのか…
「じゃあやってみる。これを回せばいいの?」
「そうだね、右に回せばカプセルが出るよ。」
メダルを預けたカードを差し込み、リディはハンドルを回す。ゴトンと音を立ててサッカーボールくらいのカプセルが落ちてきた。
「その中に景品が入ってるみたいだよ」
「う、うん…開けてみる」
全員が見守る中カプセルの中から出てきたのは…なんの変哲もない枕だった。
「枕?なんか説明が書いてあるね」
【夢見枕】
この枕は使用者が望んだ夢を見れる枕です。使うと普通の枕に戻ります。
なんだと…
「欲しい!リディ!要らないなら私が使う!」
いやいやシロさん、まだリディは何も言ってないよ?
「だ…駄目!ショウ君の夢見るのに使う!」
リディはストレートで照れるんだが?でも良いよ!僕は何をさせられるのかな!気になるなぁ!
「私も欲しい!何の夢見るかは貰ってから考えるわ!」
ホノカ君、とりあえず貰っておこうは無しだろ…ちょっと黙ってた方がいいよ。
「まあまだ四回くらい出来るし、ちょっと回して同じの出たらあげたら?」
「た、確かに…そういう事なら…」
そして四回チャレンジした結果、枕は出なかったのだが…。
ハズレ多くね?
【銀河の宝石】
この宝石の中には宇宙が入っています。覗き込むと星々が瞬き、毎回違った光を放ちます。
【叩くと音が出る楽しい玩具】
両面で使えます。高音と低音が出ます。
【書きやすいペン】
書きやすいです。使い捨てなのであしからず。
【格好いい石】
石です。インテリアにどうぞ。
最後なんか小汚い石だが?
「枕って当たりだったんだな…」
「でもこの宝石綺麗…大事にする…」
確かに中で星が動くなんてロマンの塊じゃん、ちょっと欲しいな。
「私もガチャやりたいよ!」
「私も…枕だけは絶対欲しい」
「あ、あの…私疲れたので先に寝ますね、おやすみなさい」
リディさんそんな目をギラギラさせて寝るんですか?
しかし僕もこのガチャやりたい…しばらく一人の時はメダルゲームだな…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます