第59話 衣装室 乙女
そういえばパジャマ配ってないな…みんな甲冑みたいなガシャガシャ音するヤツ着てるし鎧を取ったら肌着?
全く分からないけど下がブラウスなんて事は無いだろう。
そう言えばお風呂とプール以外で着替える場所無いんだよねここ。
更衣室というか、なんか無いかな。
とりあえずステータスで確認確認!
ドレスルーム?これ更衣室じゃないの?でも服が無いと意味が無いっていう。
いや、合成って使ってみるか。今まで一回も使った事無いけど服とドレスルーム合成したら衣装部屋にならない?
布で出来た部屋とか出来たら消せばいいしな、やってみよう。
とりあえずドレスルームを出して、今まで出した服と合成。
新しい扉が出てきたので入ってみる…
うーん、狭い。確かに更衣室だし服もあるけど人が三人も入ればいっぱいだ。
アップデートしようか、でもなんか合成で出来たこの衣装部屋のアップデート400ポイントも使うんだよね。
合成したものってアップデート高いの?後でバカに聞いてみよう。
とりあえずアップデートしないと使えない。
僕はアップデートを決行、部屋がどんどん広くなり…
広くなり続け…なんだこの服の量!
男物はなぜか少ないが女物が異常に増えた。
それぞれの服の前にはマネキンが置いてあり、着方も簡単に分かる。
ドレスから普段着、オシャレ着から部屋着までなんでもある。制服まであんの?メイド服やナース、チャイナ、コスプレじゃんもはや。
外に出ると騎士団の女の子達がちょうどBARに行く所だったので声をかけた。
「あの、もし着替えとか無かったら服を用意したので好きなの着て貰っていいですよ。」
「ショウさん!お風呂気持ちよかったです!傷も消えたし…髪の毛もこんなに綺麗になりました!」
やっぱり女の子だもんね、オシャレしたいよね。
「服まで良いんですか?何から何までありがとうございます!少し見せて貰います!」
そう言って衣装部屋に入っていく騎士団。
中からは楽しそうな声が聞こえてくる。僕が入っていく訳にはいかないので!
すぐに一人の女の子が興奮しながら出てきてみんなを呼んでくるらしい。
騎士団の選ぶ私服か…気になるな…。
何か近くにいるのすら気が引けてリビングのソファでコーヒーを飲みながら時間を潰す。
そして出てきた騎士団はそれぞれ選んだ服でどんどん出てきた。
ブラウスにスカートのスタイルが多いか?ユキさんとかもこんな感じだしこの世界ではメジャーなオシャレ着なのだろう。
パンツスタイルの人もいるしパジャマの人もいるな、それぞれ動きやすい服を選んだんだろうか。
「団長!似合いますよ!可愛いです!」
サエさんか?一体どんな服を…
白のミニドレス!?しかもすごい似合ってる!なんならココさんとかより王妃っぽいんじゃない?
「サエさんすごいドレス似合いますね!そこら辺の王族より似合ってますよ!」
僕は思った事を口にした。騎士団に王族より似合うはまずかったか?
「そ、そうですか?いつもこういうドレスに憧れてまして…一度着てみたいと思ってたんです…。夢が叶っちゃいましたね。」
照れながら話すサエさん、あれ?可愛い!!
「団長!お酒飲みに行きましょう!とっても美味しいお酒ばっかりなんですよ!」
「そうだな、せっかくの休暇だ!みんなで楽しもう!」
ゾロゾロとBARに向かう騎士団、結局みんな仲が良いんだね。集団行動はここに来ても変わらずか。
そんなみんなを見送っていると一人の女の子が引き返してきた。
「あの、ありがとうございます。団長はいつも奥様のドレスを羨ましそうに見ていたのをみんな知っています。そして団長は面食いなのでショウさんと話せてとても嬉しいみたいですよ♪それではショウさんも時間あったらBARに来てくださいね!」
絶妙に忘れ去られる設定、僕はイケメンなのだ。アホの女神の好みだそうだが…
しかしそう言われるとなんか照れくさいな…
しばらくしてBARに行くとみんな楽しそうにお酒を飲んでいる。
「サエさん、何か気に入ったお酒ありました?」
顔がほんのり赤いサエさん、どのくらい飲んだんだろ?
「ひゃい!このカルーアミルクっていうお酒甘くて美味しいです。ケーキもいっぱいあって!疲れが吹き飛んでいきます!」
酔っ払ってる?しかもケーキとカルーアミルクって砂糖にハチミツかけて食ってるみたいなもんじゃない!?
「団長は甘党ですからねぇ!休みの日にこっそり町の喫茶店で甘味食べてるのみんな知ってますよー」
「なっ!結構変装してるのにか!?分かるかな?」
「あんな私服に剣ぶら下げた人なんて団長くらいですよー」
私服に剣持ってんの?それで喫茶店行くの?オシャレな強盗じゃん。
「いやだって…剣は命だし…今度からは短剣で行くか…」
この人天然なのか?酔っ払ってるから?それか本当に剣ないと死ぬの?
しばらくお酒を飲み続け、みんなそれぞれ遊びに出かけた。残されたのは僕とサエさん。
なんか計画的な感じがする。
「ショ、ショウさんは…恋人とかはいるのですか?」
むむ、なんかありそうで無かった展開!勿論答えは決まってる!
「いないですね、なんというか結構バタバタしてると言うか出会いが多すぎるというか…」
「そうなんですか…私は剣一筋で生きてきました…なので恋愛とかそういった浮いた話は無く…人の恋愛の話を聞くのは結構好きだったり…」
あ、そういう事?じゃあ無いです、ゼロです。
今自慢げにデートの事語って結局誰とも付き合えないとかなったら恥ずかしいので。
「ちなみにどんな感じの話が好きなんですか?」
「そうですね、一緒にお花畑でお茶したり、急に王子様が村に現れて一目惚れしたり…ドラゴンの背中に乗って空を飛んだり、ドラゴンに攫われた姫を勇者が助けたりとかですね」
絵本の話?まさか妄想とか言わないよね?
「絵本で読んだものですけどね、あとは少し私の妄想を…」
ダブルか、恋愛の話を聞くって話どこ行った?
「ドラゴンの背中乗りたいんですか?」
「乗れるものなら乗りたいです、しかしドラゴンに乗るのは絵本の中だけの話です。人を乗せて飛ぶドラゴンとか聞いた事ありません。」
いとも容易く乗せてくれるけど?
「じゃあ乗りますか!ちょっと待ってて下さい」
「え?ドラゴンですよ?危ないですよ!」
そんなサエさんを他所に僕はトランシーバーを手に取る。
「ショウさん?まだ依頼中じゃないんですか?」
ユキさんだ、もうこの電話にも慣れたみたいだな。
「あの、トコヨいますか?ちょっと変わって貰っていいですか?依頼の関係で」
「はい、ちょっと待って下さいね」
「はいでありんす、珍しいでありんす!いつもユキさんとばかり喋っているのに」
そういえばトコヨってギルドにいるから深夜の電話も聞いてるのか…
「あのさ、ちょっとルナに用あるんだけど僕の所まで呼んでくれない?」
「お安いご用でありんすー、じゃあ呼んでおくでありんす!」
トランシーバーを置くとサエさんは不思議そうに僕を見つめている。
「あの…お一人で何を…」
違うんです、そう見えますよね?でもおかしくなった訳では…。
「おーい、呼ばれて飛び出て妾じゃー。ショウが呼ぶなんて珍しいのう」
数秒でルナが現れた、僕の位置はもう大体分かるんだそうだ。
「あの、こちらの方は?」
「妾か?妾は月花竜ルナティア、七聖竜じゃ!」
「ルナさ、この騎士団の団長さんが竜に乗ってみたいんだって、ちょっと一緒にどっか行かない?」
「そんな事か、良かろう!ショウの友達は妾の友達じゃ!どこにでも連れて行ってやるのじゃ!」
「七聖竜?神話の…?私は伝説のドラゴンの背中に乗って飛べるんですか?」
「飛べますよ!行きましょう!」
「やったぁああ!行きます!すぐ行きます!!どうしよう!顔がニヤけちゃう!変な顔になってないですか?大丈夫ですかね私!?」
子供みたいにはしゃぐじゃん、よっぽど嬉しいのだろう。
じゃあ行くか!空の旅!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます