第42話 報告 常世 再会のメイド
昨日はルナと遊びすぎた…
ウォータースライダーの競争が思いのほか白熱してしまい、夜中までナイトプールで遊んだのだ。
「やっぱり頭から行ってカーブでは体勢をこう捻って…」
そんな事をブツブツ言っていると寝室の扉が開かれた。
「おはようなのじゃ!今日は何して遊ぶ!?」
元気すぎるのじゃ…ドラゴンの体力恐るべし。
「それも良いんだけどさ、一応エルフの村に無事子供ドラゴンを返したって報告した後に冒険者ギルドに行って依頼達成の報告もしないといけないんだよね。」
「面倒じゃのう…じゃあ乗せてやるからさっさといくぞ」
ほんと!?ラッキー!ドラゴンに乗るなんてこれ以上ないロマンじゃないか。
早速外に出てドラゴン化したルナの背中に乗る。
おぉ、超硬くてお尻に鱗が刺さる。
「それじゃ行くのじゃ!」
そう言ったルナは物凄いスピードで飛び始めた。案外快適?スキルの丈夫な身体のおかげ振り落とされる事もない。
数秒でエルフの村に到着した。地上ではみんな慌てふためいている。
僕が失敗して報復に来られたと思ってるのかな?まず降りて事情を説明しよう。
僕がドラゴンの背中から降り、ルナが人型になったタイミングで村長のフィーナさんが話しかけてきた。
「エンシェントドラゴン様、ようこそ我が村に、私は村長のフィーナと申します。お子様は無事にお帰りになりましたか?」
怯えているのが分かる。手は震えているし目は泳いでいる。
「怯えるでない、妾はルナティア、お主らがこのショウを妾の元に送ってくれたのだろう?素晴らしい出会いをくれたことに感謝するぞ」
エルフ全員がホッとして胸を撫で下ろす。
「勿体無いお言葉でございます。ショウ様もお疲れ様でした。」
まあ結果的にドラゴンの友達が出来たんだ。後付けボッタクリエルフの事も大目に見よう。
「それでルナティア様、最近農作物の育ちが良くないのですがなにかお知恵を頂けないでしょうか」
いや、抜け目ないなこの人。怒ってないと分かった途端にお願いし始めたぞ。
「なんじゃそんな事か、ほれ、土壌を生き返らせて水も浄化しておいたぞ。千年は豊作が続くであろう。」
結構規格外だなルナも、エルフ達からは歓声があがりルナもまんざらではないようだ。
「どれ、次は冒険者ギルドじゃな、乗るが良い」
なんか竜騎士になった気分だ。これで魔法でも撃てたらかっこいいのになぁ。
快適な空の旅は数分で終わり、アルカリスの上空に到着した。
いや良くない、これは良くないぞ。
「ルナ、町の人が驚くから近くに降りて歩いて入ろう、戦闘になる危険がある」
「ふむ、それもそうじゃの…」
僕達は近くに降り立ち、歩いてギルドに向かった。
ギルドに入るとみんな慌ててバタバタと走り回っている。
近くを走っているノアちゃんを呼び止めて話を聞くと…
「ヤバいっす!大変なんす!上空にエンシェントドラゴンが現れたっす!今はどこかに行ったけどまた来てブレスでも吐かれたらこの町は終わりっす!!」
もう遅かったっすね。
「みんな!聞いて欲しい!そのエンシェントドラゴンはこの子だ!攻撃なんてしないから安心して欲しい!」
僕はみんなに聞こえるように大声で叫ぶ。
「ちょっと外に来てくれ!証拠を見せる!」
外に出てもらい、ルナにドラゴン化して貰った。姿を確認して貰ってすぐに人型に戻ってもらう。
「すまんのう、配慮が足りんかったのじゃ。妾はショウの大事な町を焼いたりはせんよ。」
「あの、ショウさんこれはどういう事ですか?」
ユキさんが近くに来て当然の疑問を投げかけてきた。
「えーとですね…」
僕はエルフの村での一件を説明し。なんとか納得して貰った。
「ショウさん…本当に誰とでも仲良くなりますね…今度はドラゴンですか…」
僕じゃなくてみんなが良い人なんだよね。
「なんか騒がしいでありんす」
ギルドからトコヨがのそのそと歩いて出てきた。ピンク色のカメ、普通に遅い。
「おぉ、常世ではないか、元気そうじゃの相変わらず」
ん?なんか言葉では伝わらないがニュアンスですごい名前呼ばなかった?
「おや、ルナティアでありんす。久しぶりでありんすな。」
「何?知り合いなの君達」
明らかに同族には見えないんだけど…どこかで会った事あんの?こんな小さいカメに。
「知り合いも何も常世もプライマル・セブン、七聖竜じゃよ?聞いておらんのか?」
は?カメじゃん!そんなの許されたら金魚だって竜って言えるじゃん!
「わっちは常世でありんす、時絶龍常世インヴィディアでありんす」
時絶竜!?いやだって君魔力増幅のスキルしか無いとか言ってたじゃん…なんかパンチが弱いというか…
「常世は不死身じゃからの、それだけで十分強い。永遠に魔力増幅スキルで支援できるからの」
ん?じゃあなんでシロについて行かなかった?死なないんだろ?
「なあトコヨ、なんでシロと一緒に行かなかったんだ?不死身なら危険な場所でも行けるだろ?」
「わっちは不死身ですが痛いのは嫌でありんす、死なないからって痛覚が無い訳ではないんでありんす」
まぁそうか…死なないから痛いのも我慢しろよって言うのはエゴだな。
考えてみたら魔王軍四天王のペットだったワケだし不死身くらい無いとやっていけないか。
「常世はここで何しておるのじゃ?」
「わっちを養ってくれる人間を探し中でありんす。ぶっちゃけここでも良い気がしてるでありんす。」
もうギルドに馴染んでるもんな。良いんじゃない?
「あの、それでルナティアさんはなぜこの町に?」
ユキさんが痺れを切らしてルナに質問する。
「ショウが冒険者ギルドに用があると言うので連れてきたのじゃ。この後地下室で遊んでそのうち帰るぞ。」
「ショウさん…また女の子と…」
いやこの人ドラゴンだから!ウォータースライダーに頭から突っ込むタイプのドラゴンだから!
「ほぅ…安心せい!妾は自分より強いオスとしか交尾はしないのじゃ。お主の心配するような事にはならん」
交尾と聞いて顔が赤くなるユキさん…これこれ、この感じが可愛いんすよ。
「えー今日私も休みっすよ!一緒に遊ぶっす!」
ノアちゃん?さっきまで仕事してなかった?
「上空にドラゴンが出たって出勤になったんすよ!責任とって貰うっす!!」
あ、僕達のせいじゃん、いやそれは本当にごめん。
「先輩!良いっすよね!」
律儀にユキさんに了解を取るノアちゃん、ユキさんはぐぬぬと唸っている。
「ぐぬぬ、私は昨日お休みだったのに…まあ楽しんできて下さい、ショウさんに迷惑かけちゃ駄目ですよ」
なんかもうお姉さんみたいだな。あと久しぶりのぐぬぬ可愛いですね。
「わっちも行くでありんす!泳ぐでありんす!」
お、トコヨも行くか?久しぶりにトコヨターボさせてよ。
「あら、ショウ様、お久しぶりですね」
聞き慣れた声が後ろから聞こえる。
メイド服に二本の短剣、冒険を初めて二週間でドラゴンを単独討伐した戦闘メイドのレイさんだ。
メイド服に剣持ってるの格好良い!
「レイさん!お久しぶりです!冒険してるようで何よりです!」
「お久しぶりです、冒険者ランクAからのスタートとなりました。ドラゴンの単独討伐の映像があったのが大きいですね。ありがとうございました。」
おぉ、Aランクか。仲間が増えて嬉しいよ。
「おや、お主ドラゴンスレイヤーじゃな?中々強そうじゃの。」
「あの、この方は…」
ルナと初対面のレイさんからすればクソ生意気なお嬢さんだよね…。
「エンシェントドラゴンのルナティアだよ。依頼の途中で出会ったんだよね。」
エンシェントドラゴンと聞いてピクっと反応したレイさん。
「エンシェントドラゴン…伝説級の冒険者の憧れ…是非お手合わせを!」
は?死ぬ気?トコヨにしておけば?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます