第14話 ワイン カルパッチョ ビリヤード
色気を撒き散らすギルド受付のユキさんとはしゃいでいる猫族のタマ。
今日は少し大人なメニューだ。
タマはスポーツドリンクがお気に入りらしく風呂上がりにゴクゴクと飲んでいる。
ユキさんには風呂上がりのビールを渡した。
「これもブレイズの皆さんが喋ってました!ビールですよね!頂きます!」
ユキさんって結構地獄耳なんだな…
ゴクゴクとCMのような飲み方をするユキさん、一気に飲み干した?
「ぷはー、お風呂上がり最高ですね!もう一杯頂いても良いですか?」
ぷはー?なんか毎回可愛いよねこの人。
「ご飯出来ているのでどうぞ、サッパリしたもの作りましたよ」
カルパッチョだけでは寂しいのとタマがお酒を飲まないので残りのカレーと毎度お馴染みの唐揚げだ。
統一感がないけど酒は進むだろう。
「お魚にゃん!しかも生で新鮮にゃん!!」
タマはやっぱり魚も好きか、なんでネコって陸の生き物なのに魚好きなんだろ。
「えーと、今から焼くんですか…?」
もしかしたらと思ってたけどやっぱり生魚を食べる習慣はないか…
「新鮮な物は生で食べられるんです。サーモンとタコとホタテという海の生き物ですよ」
「海…聞いた事しかないですけど…じゃあ食べてみますね…」
タマがバクバクと食べているのを見て決心がついたようだ。
「んー!これは美味しいですね!この弾力、ほのかな甘み、甘酸っぱいソース!いくらでも食べられそうです!」
良かった。結構作るの手間だったから嬉しい。
「お酒はいつも何飲むんですか?」
ビールも大変気に入っているようだが他にも何か好きな物があるか少し気になった。
「ぶどう酒ですかね、でもお酒は高級品なので…たまにしか飲めません」
ワインか、じゃあワインも交換して出そう。カルパッチョには白ワインかな?
「良かったらワインも飲みますか?」
「え、良いんですか?やったー!」
あれ?やったーなんて言うキャラじゃないよね。
白ワインを開けてグラスに注ぐ、ユキさんはなにか腑に落ちない顔をしている。
「あの…ワインって赤いんじゃ…」
あぁそうか。
「白ワインって言ってブドウの皮とか種を取り除いて作るワインなんですよ。魚に合うとか言われてます。僕は良く分かってないんですけど。とりあえず飲んでみて下さい」
「手間がかかってるんですねぇ、じゃあ頂きます」
グイッと一気に飲み干すユキさん、なんでも一気に飲むな…大丈夫?
「これは美味い!ビンごと下さい!お料理にも合うし水で薄めてもない!美味しすぎます!」
美味い?なんかお料理とか言うのに美味い!って声あげるのすごくバランスが悪くない?
そういえばタマは?
あぁ、一気に食って仰向けになってる、魚食べすぎてお腹がポンポコリンじゃないか。食べすぎたな。
ユキさんは白ワインが相当気に入ったらしくもう一本空けそうだ。
「ショウさん!ごめんなさい!もう一本!もう一本だけ!!」
別にあげないなんて言ってないですよ?
しばらくしてツマミが無くなった。でもユキさんはワインだけグイグイ飲んでいる。
「ショウさぁん!もう一本だけどうにか!」
今手に持ってるよ!それ飲めばいいんですよ!
これ二日酔いとかなるんじゃないの?大丈夫?
タマは少し休んで調子が戻ったのか喉乾いたにゃんとスポーツドリンクを取りに行った。
スポーツ?
あぁそうだ、ビリヤードなんか作ったな。少し遊びたいけどユキさんこの調子だしなぁ。
「タマー、ユキさんちょっとお風呂連れて行ってよ、ヒール風呂だし酔い覚めるんじゃない?」
「ユキ酔っ払いにゃん?それは大変にゃん」
タマはよっこいせっとユキさんを担いで風呂に行った。
10分後、完全に酔いが覚めたユキさんが戻ってきた。
「お恥ずかしいところを…すみません…」
いや良いもの見れました!良かったと思います!
「余計なお世話だったりしましたか?二日酔いにならない人だったり…」
「多分あのまま飲んでいたら次の日はマトモに動けなかったと思います…ありがとうございました…」
良かった、気持ちよく酔ってたら申し訳ないと思ってたんだよね。
タマもきたしビリヤードで遊ぶか。
「最近娯楽を交換したんですよ、良かったら少し遊びませんか?お酒飲みながらでも遊べます」
「遊びにゃん?やるにゃん!?」
「この地下室の遊びですか?興味があります!是非!」
ユキさんは飲みかけのボトルを持って付いてきた、まあ弱くはないからね、多少はね。
そしてビリヤードのルールを説明する。
やるのはナインボールだ。
ルールを説明すると二人ともすんなり覚えたようでボールを弾けないなんて事もない。
どうやらセンスがあるようだ。
「これは奥深いですね…反射の角度も計算して、尚且つポケットに入れないと相手のターンになるんですか」
「んあー!あとちょっとで入りそうだったにゃん!惜しいにゃん!」
二人とも楽しんでるな。僕も楽しいよ、久しぶりのビリヤード。
「手玉の下の方を打つと後ろに回転がかかって一緒に手玉が落ちるのを防げます。逆に上を打つと一緒に転がって行くので、まあ使いようですね。」
僕もそんなに上手くは無いんだけどね、でもみんな同じくらい下手な方が面白かったりする。
「あぁ!惜しい!もう少しでナインが落ちたのに!」
そう言って白ワインを飲むユキさん。なんだかんだで二本目だ。
「少しあったかいですね」
そういうとパジャマのボタンを2つ外す、いや、見えないけど見えそう!集中できない!
「やったぁ!タマの勝ちにゃん!!」
タマ上手いなぁ、才能でもあるんじゃない?
「くそぉ、今度こそ!」
ユキさんの言葉遣いで分かる、酔っ払ってるな。くそぉとか言わないでしょギルドで。
それから数時間後
「ショウさん!!もう一本はいけますよね?お願いしますよぉ!」
出来上がった…そしてビリヤードを打つ時の姿勢…見えそうでギリギリ見えない!もどかしい!
「ショウはユキのおっぱいばっか見るにゃん!集中するにゃん!!」
バレてた!!あとでカレーまた作るからご内密に!
「えー…私の胸が気になるんですかぁ?見せたらもう一本くれますかぁ?」
酔っても相変わらずの地獄耳か…それなら何本でもあげちゃいますが…
「タマ…もう十分楽しんだ、僕も色々限界だからヒール風呂頼むよ」
「了解にゃん!そろそろ私も眠いからあったまって寝るにゃん!!」
そうして3回目のお風呂に入ったユキさん。
「あの…お見苦しいものを…」
「いや全然、逆に嬉し、じゃなくて、もう遅いので今日泊まってきますか?タマの部屋にベッド2個ありますので!」
「すみません、お言葉に甘えさせていただきます…」
しかしあんだけ酔っ払って記憶が鮮明なのも結構きついよな…
「でも楽しかったです!いつもお仕事ばかりだったのでこうやって遊ぶの子供の時以来で…ありがとうございました!おやすみなさい!」
あまり気にしていないようだ、良かった。
「おやすみなさい、また遊びましょう!」
僕も寝ようかな、今日は遊んだなぁ…良い日だった!
『寝室にて』
「んんーー!」
枕に顔を埋めて声をあげるユキ。
「ショウさんの前であんな…嫌われちゃったかな…でもまた遊びに来て下さいって言われたし…もぅ!私ってば何してるのよぉ…」
ベッドの上でバタバタするユキを見てタマはこう思う。
「やっぱりお酒は飲まない方が良いにゃん…」
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