第11話 鉄板焼き ハイボール
今日の晩御飯は鉄板焼きにしてみよう。
ステータスのスキル欄、鉄板焼きというオカズだと思ったがどうやら設備らしい。
スキルポイントは20ポイントほど、マップスキルで100ポイントを使ってしまったがまだ余裕はある。
鉄板焼きをアクティブにすると今まで使っていたキッチンの天板が鉄板に変わった。
あれ?困るなこれは…普通のキッチンの方が使用頻度高いのに…
どこかに切り替えスイッチが無いか探すと明らかに怪しいスイッチ見つけた。ポチっと押すと一瞬で普通のキッチンに戻る。
便利だなぁ…仕組みは多分一生分からないけど。
オーガの親子は沢山食べそうだが…とりあえず牛肉とシーフードを大量に、出来合いのタレ、ついでにお徳用ウイスキーも交換しておこう。
炭酸水はドリンクバーで手に入るし、ハイボールが作れる!大人の味だが結構好きなんだよね。
鉄板焼きは対面式、なんか僕シェフみたいだな…新鮮な感じだ。
「ご飯にしましょうー」
僕はパンチングマシーンに夢中の親子に声をかけた。
もう本気でぶん殴るのが面白いようだ。夢中でやっている。
「何から何まですみません…」
「ねぇこれ何?黒い板しかないよー」
「初めて見るな…調理道具がそのまま机なのか…」
3人と僕は鉄板を挟んで向かい合う。
何が好きか聞くと全員肉が好きらしい、まあこの見た目で野菜とか言われても困るけど。
僕は牛肉の塊を分厚く切り軽く塩胡椒を振って鉄板に乗せて行く。
香ばしい匂い香りに全員が肉に釘付けだ。
「あの、これって結構高級なお肉なんじゃないですか?良いんですかこんな…」
「美味しそうな匂い!早く食べようよー!」
「うむ…」
肉はもうすぐ焼ける、チヒロちゃんはオレンジジュースを持って待機。
「別のお酒も用意しました。ウィスキーという酒精が強い酒を炭酸水…シュワシュワで割って飲むと美味しいんですよ。」
僕は試しに一杯作ってみる、サイカさんとゴウケツさんも続いてハイボールを作っている。濃いめだな…まあそうか。
「ビールも良いけどこっちは酒精が強くて最高ですね!」
「これは…ここの酒はなんとも上手い…ウイスキーとやらをそのまま飲んでも美味そうだ」
どのくらい飲むのかな…一応4リットルを2本用意したけど。
そうこうしてるうちに肉が焼き上がり、ガーリックソースをかけて出来上がりだ。
ソースをかけるとジュワァっと言う音と共に食欲をそそる匂いが立ちこめる。
「できましたよ!どんどん食べて下さい!好きなだけ!」
オーガの三人はゴクンと喉を鳴らして肉を口に運ぶ。
「これは…美味しいですね!夢のような味…今まで食べてた肉とは大違い!このソースも絶品です!」
ガーリックソースって中毒性ありますよね。
「美味しいぃぃい!いっぱい食べていいの!?お腹破裂するまで食べる!!」
子供はいっぱい食べてね、破裂したらヒール風呂入ってね。
「うおぉぉお!!極上だ!!これは極上!素晴らしい!!こんな肉が食えるなんて!幸せだ!!」
ゴウケツさんは急に叫び始めた、少しビックリしたがサイカさん曰く感動するとたまに叫ぶらしい。
そのくらい美味しいのか…良かった。
鉄板の肉は瞬く間に無くなってしまった。次は海鮮を焼くか、イカとホタテ、殻を剥いたエビ、きっと食べた事ないだろう。
「あの、海鮮って食べた事ありますか?」
「カイセン?なんですか?どんな肉ですか?」
食べた事ないのか、気にいるか分からないけど焼いてみよう、味付けは塩胡椒のみ、シンプルにいこうか。
全員が初めて見る素材に興味津々だ、気に入ってもらえると良いけど。
「焼けました!エビ!イカ!ホタテです!」
「肉…のようだがなんとも言えない色だな…血の色が全くない。しかしショウさんが美味いと言うなら美味いのだろう。」
少し躊躇したようだが口に海鮮を運ぶゴウケツさん、なんか豪快になんでも食うぞ!っていう見た目なのでチマチマ食べてるのが少し違和感。
「うおぉおお!美味い!美味い!美味い!!!」
遂に美味いしか言わなくなってしまった。
「これは美味い!初めて食べたがこれは…どこの森で取れるんだ!!」
森では世界が沈没するまで取れないと思う。
「森では無く海ですよ、魚の方が近いですね」
「魚…あの生臭い物の仲間…世界は広い…」
ゴウケツさんは感動しながらほぼウィスキーのハイボールを飲んでご機嫌だ。
その様子を見てサイカさんとチヒロちゃんも海鮮を食べる。
「美味しい!!このエビっていうの幾らでも食べれそう!!」
「私はイカですね!この独特の食感…噛めば噛むほど味わい深い…」
好評だなぁ…なんかみんな幸せそうだ。幸せポイントも沢山貯まるだろう。
なんかポイント欲しさにおもてなししているワケでは無いんだけど、やっぱりポイントは必要なんだよね。
途中からチヒロちゃんが私も焼いてみたい!と言うので交換、サイカさんと一緒に楽しそうにシェフごっこをしている。
僕はお客さんになり肉を焼いて貰った。楽しいな、やっぱりご飯はみんなで食べなきゃね。
1時間後…
「…あの、僕もう食べられない…」
チヒロちゃんはどんどん肉や海鮮を焼くが食べるスピードが追いつかない。確かに美味しいけどもう体が脂を拒絶している。
「あら、もう食べないんですか?」
いやサイカさん、これでも相当頑張りましたよ…チヒロちゃんがニコニコして出してくる肉を食べない訳にもいかなかったので。
するとゴウケツさんが申し訳なさそうに口を開いた。
「ショウさん…申し訳ないのだがこの肉は全て食べても良いのだろうか…何も返せないのだがこの料理は美味すぎる、きっと高いのだろう?」
遠慮しているのだろうか…別に良いのに。
「全部食べて良いですよ、僕は皆さんが幸せになればスキルポイントをもらえるんです。
そのポイントでこの地下室の設備を整えているのでどうぞ好きなだけ食べて下さい。」
「そんなスキルがあるのか?聞いた事ないが」
やっぱり無いよね、こんなスキルがそこら辺にあったらパワーバランスおかしくなっちゃうよ。
「僕のユニークスキルです。ただポイントの為にやっているのでは無いですよ。純粋に楽しんで欲しいんです。僕が好きでやってる事なので遠慮せずに食べて飲んで下さい」
「そうか…ならばそうさせて貰おう!サイカ!チヒロ!今日はいくらでも食って良いらしいぞ!」
「夢のようです!こんな事があるなんて追放されて良かったかも!」
いやいやそれは無いと思います…
「今日はここで終わりって言われないの!!やったぁ!!」
子供は遠慮なんてするもんじゃないぞ。
肉の減りが早すぎるので30キロの肉を追加。
あれ、まだ食べれる?
更に50キロ追加!!
え?どこに入ってるの?無理してない?
もう一回50キロ追加だ!!
130キロの追加で全員満足したらしく満足そうに椅子にもたれ掛かっている。
なんか少し大きく見えるな…いや…絶対大きくなってるぞ?
「あの、なんかみんな大きくなってませんか?気のせいじゃないと思うんですけど」
するとチヒロちゃんが大きな声で答える。
「私達はね!いっぱい食べると大きくなって強くなるの!でも子供の頃に大きくなり過ぎるとセイシン?が未熟だから危ないんだって!だからここでお終いされるの!」
なるほど…一定量以上食べると成長するのか、しかし子供の頃に大きな力を手にしてしまうと使い方を間違える恐れがある、そう言う事か。
「そして上級な肉を食うと成長の速度も早い、今回の肉は極上だった、急成長はその為だろう。」
ハイボールを飲みながらゴウケツさんはそう答えた。
確かに毎回こんな量を村人全員で食ったら獲物が絶滅しそうだ。
好きなだけ食べるなんてそうそう出来ないだろう。
「冷蔵庫に追加いれて置くのでお腹空いたら好きに食べて下さいね、あとこれは純粋に興味があるんですけど、今パンチングマシーンしたらどのくらい出そうですか?」
「うむ、確かに、ちょっとやってみよう。」
ドゴォンという爆音と共に弾き出された数字は…
『30000kg!New Record!!wonderful!!』
ウソだろ…
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