第3章 怖がらず動け、自分!
第36話 開かれた新たな道
俺はオロオロしながらも、大きな声で言った。
「あの、エリザベス様は先ほど私に何か言いかけましたよね!? ……何でしょうか?」
俺の必死の言葉にみんなが動きを止めてこちらを凝視した。
正直……居たたまれない。
するとキャリー様がはっとしたように言った。
「そうですわ!! 先ほど、求婚との言葉が聞こえたのですが、どういうことですか? それにレオ様の服も変わっていますし、一体、何があったのですか!?」
俺はノア様に借りた服を汚してしまったことを思い出して急いで謝罪をした。
「ノア様、キャリー様。謝罪が遅れて申し訳ございませんでした。実は……不慮の事故で……服を汚してしまい、王宮で新しい物を貸して頂きました」
説明をするとノア様が眉を寄せた。
「不慮の事故?」
エリザベス様がノア様とリアム様に鋭い視線を向けながら言った。
「どこかの令嬢に絡まれたのよ。レオに飲み物をわざとかけたのよ」
ノア様とリアム様は顔を青くした。
そしてノアが眉を下げながら言った。
「そうか……まさかアレクの誕生日でそんな愚かなことをする人間がいるとは思わなくて……僕もまだまだだな……」
そしてリアムもつらそうに言った。
「ああ。懸念はあったのだが……まさか、我が国の王太子の誕生パーティーでそんな愚かなことをする令嬢はいるとは……」
俺に飲み物をかけた令嬢は愚か、愚かと連発されて気の毒な気がするが……確かに、王太子殿下の誕生パーティーで揉め事を起こすのはどう考えても配慮が無さすぎる。
(ん~~先ほどのご令嬢、身分は高いのに……思慮深いというわけではないのだな……)
私の周りの高位貴族の皆様は、かなり思慮深い。
だから、高位貴族の子供はみんなそうなのだと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
本当に身分というよりも、人によるのかもしれない。
「レオ、側を離れてごめんね」
ノア様が申し訳なさそうに言った。
「いえ、そんな!! ノア様はノア様の役割があります。こうして私と一緒に誕生パーティーに来て下さっただけでも十分です!!」
俺は必死にノア様は何も悪くないと言った。
すると、エリザベス様が楽しそうに言った。
「ふふふ、やっぱり……気に入ったわ。ねぇ、レオ。さっきの話の続き……あなた、私の国に特別留学生として来ない? 穏やかな性格に思慮深い対応……そしてアレクから聞く普段の勉学態度、どれをとっても申し分ないわ」
「特別留学生……ですか?」
俺としては聞いたこともない言葉だったが、リアム様やノア様やキャリー様は知っていたようで、三人とも驚いた顔をしていた。
そしてノア様が唖然としたように言った。
「レオが……特別留学生?」
リアム様も震えながら言った。
「我が国から大国ベルンの特別留学生枠を勝ち取る人材が出るなんて……」
「レオ様が、特別留学生……そんな……」
キャリー様は眉を寄せて俺を見ていた。
みんなは驚いているが、俺は以前の知識を持ってしても一体、何のことなのか、さっぱりわからない!!
俺は意を決して尋ねた。
「あの……大変申し訳ございませんが……特別留学生とは何ですか?」
みんなは俺を見て固まったのだった。
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