有名料理人のVRグルメは見た目×ですが、レア度は最高ランクでした。〜デバフ付き職業で超バフ飯出来上がっちゃったんですけど?〜

Aさん

〜1〜有名料理人の早期リタイヤは一本のゲームから。

テレビを眺めれば今有名な人達が写っていることが多々ある。

有名人は引っ張りだこにされながら今日も生きている。


それは誰が人気になるかなんて分かるわけもなく、ただネットに舵を任せる事となる。



「ふぁ……、番組やっと終わったよー。料理を仕事にするのは悪くはないけど、どうにか終わりが来ないものかなぁ……」


自分の控室であくびをし、背を伸ばす。

腹の虫がグルリと鳴き時計を見る。

「もう一時か、お腹が空く頃だし食べるか……」


周りを見渡すといつも通り番組からの差し入れがあった。ちょっとだけ豪華なお弁当が支給される辺りから自分への期待が見て取れる。ここまで期待はされたくないんだけどね。

今日はこのお弁当を遅めのお昼ご飯として食べることにしよう。



「もう、そろそろこのテレビ番組は終わらないのか……? それは不謹慎過ぎるな」


僕は今こそ代替わりにならないものかと待ち望んでいた。

そんな事を考えたとて、このようなテレビ番組に呼ばれない日はなかった。



僕は原沢 稔はらさわ みのる25歳、テレビ番組にでるほど有名になってしまった料理人。


3歳から包丁を握り始めて、7歳になれば料理人としての頭角を現した。

周りからは『天才』『秀才』と呼ばれ、子供の料理コンテストで優勝をし続けた。

その後は日本で大きな大会をほぼ総ナメしていくことになる。


そんな時、15歳で世界的に有名な料理コンテストから出てみないかと、声をかけられた。

今、世界の料理人を間近で見てみたいと思い、二つ返事で答えた。


そしてアジアでの予選は直ぐに通過。

ここまで大きなコンテストには来たことがなかったためか、ワクワクで胸がいっぱいになって足も一寸浮いていたかもしれない。


世界に放送されながらはじまったコンテスト。

他の人たちが料理を緻密に組み立てるのを横目に料理を完成させる。

その料理の評価はとても高く、コンテストを無事優勝。その後そのコンテスト三冠を果たす事となった。


その頃から天才料理人としてテレビにで初めて、朝の情報番組や3分で料理をする番組などでお呼ばれすることになる。


20歳で初の店を出店。

本当ならお店を出すつもりはなく、趣味として楽しめればいいと思っていた。

それなのだが、スポンサーや世間の人気からか押し切られた形で店を監修した。

そのお店は大繁盛し、今もお店を見れば行列が出来ていた。


そのおかげでお金はたんまりある。好きなことはしてきたつもりだった。



だがこんな生活にも飽き始めてきた。

決して料理が嫌いになったとかそういうわけではない。


だけどテレビ番組に出て、撮影する毎日。

休みが多いわけでもないし、記者がついてくることもある。

そんな生活に嫌気がさしてきた。


そろそろ早期リタイヤってこともしてみてもいいかな。



お弁当を食べ終わって、この後のスケジュールを確認する。

「次は……? 欲しいか欲しくないかのジャッチ番組のコメンテーターか。内容は……新作ゲームのジャッチか。料理じゃないだけマシだな」


ADからそのゲームのチラシが配られていたのでちょっと見てみようかな……どんなものか先に少しでも理解しておかないとだし。


チラシを手に取り、興味本位で読んでみる。


maestro onlineマエストロ オンライン

数々のフルダイブ型MMORPGを手掛けるクロマティック社が出す期待の新作。

超高性能のAIや、本物と勘違いしてしまうようなグラフィック、世界有数の技術力。それを全て集結させた作品なんだとか。


『異世界ならではの生き方』を売り文句として掲げて、第二の人生を楽しもうというコンセプトらしい。


「なんか面白そうだな……」

パラパラとADから渡されたチラシを読んでみるとなんとなく『第二の人生』というワードに興味が出てきた。

異世界で何ができるのかというワクワクと、なんでもできるということにとても魅力を感じた。

早めに撮影現場に行かないとADさんに怒られるし先に行っておこう。




======


「お疲れ様でしたー、帰りますね」

「お疲れ様です、稔さん。ゆっくり寝てくださいね」


撮影が終わり今日はもう帰れる。


今回の新作ゲームをジャッチしたのだが、結果はとても面白そうだった。

ゲームプロデューサーが直接プレゼンしてくれたんだけどとても上手いプレゼンで僕に合わせて料理関連の話もしてくれた。


異世界の食材を使って料理ができるというのを聞いた時にはどんな調理法なのかということが気になってしまう。


ジャッチの時に買うか、買わないかの選択ができるんだけど迷わず買ってしまった。

ゲームはやったこともあるし、フルダイブ型のゲームも少しはやったことがある。


だけどそこらのゲームとは訳が違うほど人気で、世界が熱中しているのだとか。

つまり神ゲーと呼ばれるようなゲームであるということ。

そんなゲームが面白くない訳がないのだ。


明日からちょうど休みがあるからやってみようかな。

そろそろ早期リタイヤの計画も完遂できる頃合いだし。



今日の夜は久しぶりの夜更かしになりそうな予感がするね。

「楽しみだなぁ、maestro onlineマエストロ オンライン。僕を楽しませてくれよ♪」




廊下を進む僕はウキウキで家に帰って行った。

AD達の間で『スキップをして鼻歌まだ歌う稔さんは初めてみた』と話されるのはまた別のお話。


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読んでいただきありがとうございます。


面白ければ★★★、面白くなければ★。


♡もつけていただけると幸いです。

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