右肩無双〜右肩が全てを圧倒する世界では誰も俺には通用しないので気ままに新天地を目指して旅をします〜

ねこきら

魔力は全部右肩にある?!

「お前はクビだギルドから出てってくれ」

リーダーであるパイルから突然伝えられた一言はレンドをしばらく沈黙させた。


彼の右頬には説明のつかない緊張と焦りの色が見れる。


「理由はわかるだろ、お前はこれ以上戦いにはついていけないしギルドにいてもお荷物なんだよ、今は冒険者の段々レベルも上がってきてるお前以上の人材を見つけることは難しいことじゃないんだ、だから抜けてくれ。もうお前はいらない。」


パイルから言われた言葉に必死に何かを言い換えそうとしたがそれはできなかった。だって俺は正真正銘のお荷物だからだからだ。


この世界には皆平等に魔力がある魔法や肉体強化などはできる、でも俺はそれができない。

俺は普通の人と魔力を貯める場所が違うらしくそのせいで魔力を放出したり操作することが難しくなっているらしい。

最初の頃はみんな強い魔法なんて使えなかったし魔物を倒すのも剣などで十分だったでも今はダンジョンに行くには魔力による肉体補強が必須だし魔法を使った攻撃じゃないと魔物に全く攻撃が通らないレベルにまでなっている。


今の俺はこのギルドじゃ攻撃もサポートのろくにできないただの木偶の坊だった。


「わかった、今までありがとう」


情けない声で別れの挨拶をして俺はギルドを去った。


「これからどうしよう」


ギルドを辞めさられて無職になり行くあてもない。手元にある金で1週間は生活できるがどちらにせよ新しい仕事を探さなきゃと考えていた。


「君浮かない顔をしているね」


突然声がして周りを見てみると「占い家ニョライ」と書かれた看板がありそこには一人の老人がいた。


「一つ占っていきませんか?お安くしときますよ」


「いや今お金がないので」


「君、職を失っただろ。君の非力さが原因でクビになったとか、合ってるかい?」


驚いた、彼は俺が置かれている状況を顔を見ただけでズバリと当てた。


「せっかくですし、占ってもらおうかな」


「君の名前は?」


「ウィラーゼノンです」


「そうかウィラー君」



そういい彼は置いてあった石に魔力を込めて浮かし話しを始めた。


「君は自分自身の真価に気づけてない、君には莫大な力があるがその使い方がわかっていないだけだ、そしてこの水晶玉が君の力の使い方を示すだろう!」


浮いていた水晶玉がドンと机の上に落ちたそこに映し出されていたのは


「右肩?」


そこには光を帯びている俺の右肩が写されていた。

驚いてる俺を気にすることも無く占い師は続けた。


「これは魔力だ、莫大な見たことないほどの量の魔力が君の右肩に一点に集中している、すごい…すごいぞ、こんな量見たことないぞ!」


興奮している占い師が少し気持ち悪く感じたし言っていることも馬鹿馬鹿しい。

俺の魔力が全部右肩にあるなんてジョークどんな詐欺師でも思いつかなかったと思う。


「ありがとう、とても面白いジョークだったよ。料金は置いてくからまた聞かせてくれよ」


そう言いなけなしのお金を置いてその場を去った。


その夜宿を探しに別の街に行っている道中だった。

バサバサと羽ばたく音が聞こえた、最初は鳥だと思っていたがその音は大きくなっていき、段々とこちらに近づいてきていることがわかった。

俺はその音の正体を確かめようと、後ろを振り返って見た。

するとそこには大きな翼を持ち鋭い目でこちらを見ているワイバーンがいた。

気づいた時には遅く逃げようとしたが、ワイバーンの羽で木に吹き飛ばされた。


「あぁぁぁぁぁぁ」


頭から血が出ている全身が痛い、なんで俺だけこんな目に遭わなきゃいけないのか、なんでこんな不幸じゃなきゃいけないんだ。

そんなことを考えていた時、ふと占い師の言葉を思い出した


「俺の魔力は全部右肩に集中しているか、どうせ死ぬかもしれないんだ…最後に試してみる価値はあるかもな」


全身の力を振り絞り立ち、全身神経を右肩に集中させてワイバーンに突っ込んだ。

その時俺は右肩に異様な程のエネルギーを感じた。

そして右肩がワイバーンに当たった時だった。

巨大な爆発音と爆風がして俺はまた吹き飛ばされた。

今度は一命を取り留め立ち上がってみるとそこにはワイバーンの巨大な足があった。

ワイバーンの上半身はその場から離れた場所に落ちていた。


「はぁはぁ...まじかよ」


どうやら俺の魔力は全部右肩に一点集中しているようだ…






















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