　ヴィクトリアは、社交パーティーについて学んできた知識と経験を活かし、新たな挑戦を重ねながら、着実に成果を上げていった。

　彼女の活躍は、ハーウッド家の発展にも大きく貢献した。軍事貴族としての力強さと、社交界での存在感を兼ね備えたハーウッド家は、ヴィクトリアの活躍によって、さらなる力を得ていったのだった。

　春の訪れとともに、ヴィクトリアとエドワードの結婚式が盛大に行われた。白亜の大聖堂に差し込む陽光が、新郎新婦の姿を優しく照らす。

「ヴィクトリア、君と結ばれることができて本当に幸せだよ。これまでの君の成長と活躍を誰よりも近くで見てきた私には、その喜びもひとしおだ」

「エドワード様、私もあなたと共に歩んでいけることを心から喜んでいます。あなたがいてくださったからこそ、ここまで成長できたのです」

　誓いのキスを交わして、参列者から温かな祝福の拍手が送られた。ヴィクトリアとエドワードの絆の深さは、その場にいた誰の目にも明らかだった。

　結婚後、ヴィクトリアの評判は社交界でさらに高まっていった。その実績を認められ、彼女は貴族の令嬢たちの教育を任されるようになった。

　初めて人に教える立場となったヴィクトリアは、自身のノウハウと考え方を丁寧に伝授していく。

「計画の立て方は、ただ形式を学ぶだけだと十分ではありません。参加してくださる方々への思いやりの心が、自然で適切な計画を生み出すのです」

　ヴィクトリアの指導の下、教え子たちは着実に成長していった。最初の頃の指揮は緊張した面持ちだった令嬢たちが成功体験を積み重ねて、次第に自信に満ちた表情を見せるようになっていく。その様子を見るのは、何より嬉しいことだった。

「ヴィクトリア様、先日のパーティーの評判が良くて、お父様から褒められました。これも、ヴィクトリア様のご指導のおかげです」

「おめでとう。成長したのは、あなたたち自身の努力があってこそよ。私は、その手助けをさせていただいただけです。それに、あなたたちの成長を見守れることは、私にとって何よりの喜びなの」

　教え子たちを育てる喜びを知り、自身の経験も深めていくヴィクトリア。それは、彼女の手掛けるパーティーの質をさらに高めることとなった。

　やがて、王家から重要なパーティーの采配について相談が寄せられた。外国からの賓客をもてなす大切な機会であり、王家の威信がかかっている。

　失敗は許されない——その重圧に、さすがのヴィクトリアも不安を抱く。しかし、エドワードの励ましと、これまでの経験を信じ、彼女は全力で準備に取り組んだ。

　幾夜も眠れない日々を過ごし、時には不安に押しつぶされそうになりながらも、ヴィクトリアは細部まで気を配り、ついに当日を迎えた。そして、パーティーは大成功を収めた。

「ヴィクトリア侯爵夫人、素晴らしいパーティーをありがとうございました。あなたの細やかな心配りと確かな采配がなければ、これほどの評価は得られなかったでしょう。これからも王家の相談役として、お力添えいただけませんか」

「光栄に存じます。微力ではございますが、お役に立てれば幸いです」

　王家から感謝の言葉と共に、新たな役目を授かったヴィクトリア。その夜は、夫のエドワードは心からの笑顔で妻を迎えた。

「ヴィクトリア、君の活躍ぶりは目を見張るものがあるよ。社交界の新しい風と呼ばれる君を、夫として誇りに思う」

「エドワード様、あなたの支えがあってこそ、私はここまで来られたのです。これからも、二人で歩んでいきましょう」

　ヴィクトリアにとって、社交パーティーに携わることは、かけがえのない喜びとなっていた。自分の道を歩むことができた幸せを噛みしめながら、彼女は更なる高みを目指して歩み続けることを心に誓った。

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