第21話
「メディア!!」
その声が背後から聞こえてきたのは、先程の戦いから時間が僅かに経った頃合いだった。
身体をビクビクと動かすメディアを抱えたトウィートが、兜越しにライルを睨めつける。
「何で、どうしてこんな事をするの!? ライル、答えて!!」
「俺の前に立ったからだ。メディアはすでに天から見放されている。トウィート、お前もな」
絶句。そして怒りの空気。
「あなたは前からおかしいと思っていた。皆とはいつも違う考えで立ちふるまうし、ここ最近は勝手に人を狩っている。私がしっかり皆をまとめたかったのに... もう、あなたには愛想が尽きたわ。これ以上被害が広まる前に、私があなたを断つ!!」
トウィートは鎧を展開し、音響兵装をライルにぶち当てた。
耳をつんざかれ、地面に伏すライル。一方、トウィートは立ち、ライルを睥睨した。
「これに抗える人はいない。ライル、ここで朽ち果てなさい」
「だ」
ライルは少し身を起こした
「黙れええ!!」
そして立ち上がる。
「俺は」
手の平から炎を爆発させて。
「前に進まねばならない!!」
トウィートの攻撃を読み、衝撃を放って相殺し始めた。
翔翼を展開して距離を詰めようとすれば、音で叩き落とされる。
ライルは衝撃を盾にしながら少しずつ、相手を射程内に捉えようと前進する。
”火刑承認”
しかし、隙を伺い、トドメを狙うのはトウィートも同じであった。
歌が捧げられる。
トウィートの周囲の空気が歪んでいき、炎の精霊が姿を現す。
「ライル。死になさい」
精霊が口から炎の息を吐き出し、火の手がライルへ迫りくる。
”火刑承認”
ライルは両手から炎の筋を繰り出し、精霊へと対抗する。
熱で揺らめく陽炎の周囲。
鎧があるとはいえ、互いに灼熱の修羅場を耐え続けなければならない。
(このままいけば、ライルは折れる)
トウィートは打算を検討し始めたが、ライルは更に死地へと踏み込んだ。
明らかに身体に悪影響を及ぼしそうな高火力を出したのである。
咄嗟の事にトウィートがうろたえる間に、放射火炎同士の衝突で二人の間には見えない炎の大壁がそそり立つ。
すると、いつの間にか、ライルが翔翼を展開し、炎を出しながら、トウィートの懐へと潜り込んだ。
燃え盛る右手でトウィートの首を掴む。
(ライル! あなた!)
そう思うが否や、トウィートの首は兜の内から炎上した。
崩れ落ちる歌姫、最後の歌は火の炙りで声も出せず、ライルの足元に倒れ伏した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます