第23話 四王
「まさか、こんなに早く話しかけてもらえるとは思ってなかったよ」昨夜、弦水さんに「四宮家なら協力してくれるはずだ」と言われた私は放課後に四宮天と会っていた。
「それで、話って何?」天は不思議そうな顔でこちらを見ている。
「結論から言うと、あなたの家に住まわせて貰えないかしら?」
「ごめん、ちょっと何言ってるか分からないわ」
「ごめん、同棲してください」
「あのね、言い方の問題じゃないのよ。どうして私の家で住みたいの?あなた家あるわよね?」
「それはーー」私は姉が行方不明になり家に住めなくなったことを説明する。
「それは、残念だったわね。でもなんで四宮なの?友達なら他にいるでしょ?」
「弦水さんに言われたのよ。四条なら協力してくれるってね」
「あなた、今なんて言った?」
「四宮なら協力してくれるって」
「違う!その前よ」
「弦水さんに言われたこと?」
「なんであなたが『四王グループ』のNo.2の名前を知ってるのよ!?」
「弦水さんってそんなに偉かったの?」
「あなた、まさか知らないで会ってたの?」
「うん、タメでいいって言われたし」
「そんな、ありえない」
「ねぇ、天。四王グループってなんなの?美味しいの?」
「食べ物じゃないわよ!四王グループっていうのは最も大きい4つの財閥のことよ」
「政界や財界と深い繋がりがあるの」
「なるほど」天の説明は分かりやすかった。
「つまり、四宮も四王グループの1つってこと?」
「違うわ!私たち四宮は四条の分家よ」
「なるほど、だから本家の当主を名前呼びしてる私を見て驚いてたのね」
「えぇ。それでさっきの話だけど今答えを出すことは出来ないは。時間を貰える?」
「うん!もちろんだよ」
「ありがとう」天と話していると天の両親が部屋に入ってきた。
「あなたが星宮さん?」
「はい!星宮叶と申します。いつも娘さんにはお世話になっております」
「まぁ!なんて礼儀正しい子なのかしら」
「いえいえ!両親に昔から教育されてましたので」ふとここで疑問に思った。私の記憶では今の家の両親なら礼儀正しい教育などされるはずがない、姉を見れば一目瞭然だ。なのになぜ私は礼儀作法が身についているのだろうか。
「どうしたの?叶」
「ううん、なんでもない」もしかしたらあの家の人と私にはなんの繋がりもないのかも知れない。
「今夜は何しに来たの?叶ちゃん」天の両親が私に聞いてくる。
「内容は娘さんに話しましたので」そういうと2人は天に視線を向けて後で話すように言った。
「それでは夜も遅くなってきたので失礼します」
「また来てね!」四宮家の人々は明るく私を見送ってくれた。
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