12歳で寝取られ脳破壊された俺は特殊な力をゲットして、学園でハーレムを築く事になる

うさこ

寝取られた俺は


 十二歳で彼女を寝取られた俺、深夜清次郎しんやせいじろうはもう女性を信じる事ができなかった。

 彼女は幼馴染でずっと一緒にいると思っていた。


『えっとね、清次郎は少し重たいよね。私達まだ若いから色んな人と付き合う必要あるし、っていうか、別に付き合ってるって言ってなかったでしょ? あのね、真司くんの方がかっこいいしスマートだし、キスもちゃんとしてくれるもん』


 脳が焼き切れるかと思った。一週間食事も喉に通らなかった。

 同じ教室でイチャイチャしている二人を見ているとベランダから飛び降りたくなる。刺殺したくなる。


 脳が焼き切れた俺は人に恋をするという感情をなくなった。

 人に思いやるという感情がなくなった。

 すべてが真っ白だ。

 不思議な事に、脳が焼き切れた事により『人の嘘』というものがわかるようになった。


 周りの雑音を無視して自分を高めるということに最善を尽くした。

 それでも俺はまだ人を信じようとする心が少し残っていた、が――


 十二で寝取られ、十三で嘘告白と偽装カップル、十四で母が不倫駆け落ち、一五で少年ホームレス……。


 様々な事を経験し、現在は施設から学校に通っている。比較的平穏な生活を送れている。




 もう中学も卒業だ。

 幼馴染との最後の会話を思い出す。あれは体育祭の時期だった。


「ねえ、清次郎、あのさ……、やっぱり私達より戻さない? 色んな人と付き合ってわかったんだ。清次郎が一番ステキだって」

(みんな清次郎がかっこいいって言ってるから、付き合えたら周りから嫉妬されて優越感最高だもんね。こいつまだ私の事好きだし)


 人と会話は嫌いだ。雑音が多すぎるんだ。

 人の嘘を見抜くというよりも、人の汚い部分が見えるっていう感じだ。


「わりいな。俺、帝国高校に進学するんだ。だからもうその面見せないでくれ」


 そういって幼馴染の身体を押しのけた。


「――えっ……ひ、ひぐっ!? ちょ……」


 何故か幼馴染は身体を悶えて地面に座り込んでしまった。

 それっきり最後だ。


 嘘告してきた同級生も――

「え……? わ、わかってて告白受けたの? 人を信じたかった? もう誰も信じない……。ごめん……清ちゃん……あ、あのさ、わたし、清ちゃんにもう一度ちゃんと告白したい。あっ」

(本当に大好きなの! わたし、なんであんなもったいない事を……)


 俺の方に駆け寄って転びそうになる同級生、一応その身体を支える。怪我をしても後味が悪い。


「――――――っ!?!?!?」


 何故か同級生は顔を赤くしたまま身体をビクビクさせて失神してしまった。

 俺は適当に廊下に放置して帰った気がする。


 もう過去の人だ。名前も覚えていないしどうでもいい。


 ……これまでの人生を思い返す必要ない。




 これは寝取られて脳を破壊された俺の新しい人生の話だ。




 ***




 帝国学園。

 それは政府指定の特殊な学園であり、恋愛至上主義謳っている。

 学園が恋愛至上主義という馬鹿げだ話だが、冗談ではないんだ。

 現在、少子化が進んでおり恋愛をする若者が激減している。そして、恋愛をどうやってしていいかわからない若者がたくさんいる。


 その中でも政府が独自の調査により推薦した恋愛不得手者を学園に入学させて、恋愛力を高める目的に特化している。


 ……いや、頭の中で整理していても馬鹿げた学園だ。

 だが、この学園に入学する利点はたくさんある。何よりも学費が免除、かつ学園から金銭を支給される。完全寮生活であり、最高の先生、施設による高校授業を受けられる。

 デメリットもある。

 それは学園生活が配信される事だ。所謂恋愛リアリティー板番組のような形になっている。


 なぜ、俺が推薦されたかわからない。確かに俺は恋愛下手だ。というよりももう恋をするという気持ちになれない。

 このまま一生童貞独身だと思っている。


 何にせよ、施設暮らしの俺にとっては良い条件だ。


「うし、適当に退学しない程度に生活して目立たないようにするぜ」


 そう思っていた。


 なのに――



「あなた、深夜清次郎ね!! ……あたしと付き合いなさいよ!!」


 入学そうそう変な女から目をつけられてしまった。




 ****



 入学式後の説明会では、この学園では一人ひとりの生徒にレベルが設けられている。

 異性と関わりを持つと経験値というものが溜まる。どういう仕組みか変わらないが、スマホにその記録が残る。


 ・異性と10分以上会話をする。

 ・異性と手を繋ぐ。

 ・異性とデートをする。

 ・異性に告白をする。

 ・異性と付き合う。

 等々


 項目は多岐にわたり、その項目により経験値量が異なる。

 経験値が一定に達するとレベルが上がる。そして支給される給与が増えたり、学園内の使える施設が増える。


 各学期末に普通のテスト以外に、恋愛テストもあり、その結果もレベルに反映される。一年の学期末でレベル2に達していないと退学処分となる。



「ちょっとあんた聞いてるの? この私、佐伯烈子があんたに告白したのよ! こんなに可愛い美少女に告白されたらOKでしょ!! ねえ、早く返事してよね!!!」

(や、やっとこの人に会えた……)


 今は教室で学園の説明を終え、小休憩の時間だ。生徒たちはおとなしめな子が多い。説明に戸惑っている生徒が大多数だ。

 ここにいる全員が恋愛弱者。ということはこの佐伯烈子という子も恋愛弱者だ。


「ね、ねえ、ちょっと、無視はきついんだけど……」


「ああ、わりい、ちょっと考え事しててな。ていうか、この告白やめたほうがいいと思うぜ。多分、経験値のためだと思うけどさ、学園側の説明も言ってただろ? 嘘はこの学園でご法度だって」


 この学園で一番重い罪、それは嘘をつくことだ。嘘がバレた場合即退学。



 佐伯という女の子が「うぅ〜〜」と唸りながら下唇を噛んでいる。むくれている子供みたいだ。


 ……あれ? 嘘の匂いがしないぞ?


 寝取られで脳が破壊された俺は人の嘘がわかる。


「……はぁ、もういいわよ。冗談よ、冗談。ていうか、あんた名前は?」


「冗談なら別にいいけどよ。俺は深夜清次郎。お前は佐伯烈子でいいんだよな」


 コクリと頷く佐伯。何故か佐伯の顔が赤い。


「ていうかさ、俺って脳が破壊されてるから恋愛とかわかんねえんだよな。まあこの三年間で少しでもわかればいいかなって思って入学したんだ」


「あっそ、あんたの事なんて興味ないわよ! わ、私だって別に恋愛なんて興味ないもん!」

(あ、やば、やっぱ大好き。ど、どうしよ……。うぅ〜〜)



 ……なんだ、この子は? よ、よくわからん。


「ま、まあとりあえず今日は学園に慣れようぜ。ほら、自分の席に座れよ」


 俺はそう言って佐伯の肩に触れて席に座らせた。


「〜〜〜〜〜〜っ!?」(ちょ、まって!? なんか身体が熱くなるよ!? な、なにこれ!! や、やばい、なんか出そうに……)


 佐伯が真っ赤な顔を机に押し当てる。身体をもじもじさせて火照った顔が妙に色気がある。俺にはどうでもいい事だ。

 奇妙な行動を見守ってから、俺も自席に戻る事にした。


 その時スマホがピコンと鳴った。

 画面を見ると『深夜清次郎、経験値が一定以上達したためレベル2となります。隠し条件達成したため学園裏ルートに突入します』



「はっ?????」





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12歳で寝取られ脳破壊された俺は特殊な力をゲットして、学園でハーレムを築く事になる うさこ @usako09

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