第2話
「ただいま」
「郁、お帰り」
母親は息子の顔を見ると、ホッとしたような表情になった。
郁はそのまま部屋に入ると、制服を脱いだ。
カッターシャツを脱いで裸になると、
胸に大きな傷があるのが見える。
心臓の手術の跡だ。
郁はまもなく16歳になる。
黒いトレーナーとGパンに着替えた所で、妹の凜が帰って来た。
「ただいま。お兄ちゃんいる?」
「お帰り。凜」
「胸は苦しくない?」
「大丈夫だよ」
凜は安心したように笑った。
凜は長いポニーテールを揺らしながら2階へ駆け上がって行った。
家族が揃った所で夕食になった。
「今日も家族揃って夕食が食べられる事を感謝しよう」
父親がそう言った後、全員で手を合わせて食事になる。
母親は家族全員同じ食事を作り、郁だけ塩分や脂身を抜いていた。
塩分や水分の制限をされている郁に疎外感を与えないようにとの気持ちだ。
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