第2話 状況管理1
玄関を出てすぐに目に入ったのは空を飛行する巨大な生物だった。その姿は物語に出てくるドラゴンそのもので地球では考えられない光景だ。
目を何度もこすりその光景が幻覚でないことを確認してから周りを見ると、まだ木に葉が生えているだけであった林檎の木はたくさんの実がなっておりその周りには小さな羽の生えた生物が何匹も飛び回っていた。
「うっそだろ。」
22年という短い人生ではあるがこんなことが現実に起きるとはまるで思わなかった。頬をつねったり叩いたりしてみるがその光景が変わることはなく、むしろその痛みが現実だよと訴えかけてくる。
いったん家に戻って整理しよう。外で見た光景はいったん置いといてまずは状況確認からだ。
玄関で靴を脱ぎ電気の確認を行う。パチパチとスイッチのON/OFFを行うと何の問題もなく電気がついた。水道は蛇口をひねるといつも通り透明な水が出てきた。うんうん何も問題はないな。
スマホの確認を行うと電波が届いていなかった。まあこればっかりはしょうがないよな。それでも写真は撮れるしライトも付く、使いどころはたぶんあるだろう。充電だってできるんだし今まで通り持ち歩くことはしておこう。
それからパソコンの確認だな。こういう転移もので家が付いてくるときって元の世界とつながってたりすることがあるんだよな~。
電源を入れて画面が付くといつもとは違うものが表示された。
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拝啓、山本 林太郎様。
この度は異世界転移おめでとうございます。現在の状況にいくつもの疑問や不安があるかとは思われますが何も心配することはありません。
異世界の知識に関してはこのPCにて調べることができますし水道から出る水はどんな病や怪我でも瞬時に回復することができます。望めば老化することだってありません。
ただ自由に過ごしていただけるでかまいません。どうか健康で幸せな余生を過ごせるように祈っています。
$◆α|&より
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心配しないでくださいってなにも安心できないんだが。名前が読めないけど俺をここに連れてきた人はいるってことだから、何か事故で異世界へってことではないんだな。
その後画面が勝手に切り替わりいつものデスクトップに代わり3つのフォルダーが表示されていた。
表示されたのは異世界知識と農地管理と身体管理の3つであり異世界知識はさっきの説明にあったものだろう。これは後にして農地管理をまず開いてみた。
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土:ただの土(★1)水分不足・栄養不足
果樹:林檎の木×20(★2)栄養不足
$◆α|&メモ
・土の品質が悪く栄養が足りないので魔物の素材をまきましょう。
・水分が足りないようです、しばらく雨が降らないよであれば水をあげましょう。
・農地管理者が足りないので人員を増加しましょう。
・植生が少ないですいろいろ植えましょう。
・
・
・
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今の果樹園の状態が表示されるようだんな。$◆α|&メモってお前監視してんのかよ。それにめっちゃ注文多いし、自由に過ごしてくださいはどこに行ったんだよ。
ん?まだ下に何かあるな。スクロールすると2コマンドが表示されており、倉庫と購買所がったので開いてみると倉庫は空だったが購買所ではいろんな植物の苗が買えるようになっていたが、買うにはこの世界のお金がいるようだ。何も買えないが一覧を流し見していたら最初は地球でもよく見かけるものばかりだったが下に行くにつれだんだんと怪しくなり途中からは植物系の魔物の苗だったり精霊樹・世界樹の苗まで売っていた。
いやいやいや、世界樹は売ってたらダメだろ。それに値段が0ってどういうことだよ。ちょっとひいてると画面に表示されていた世界樹の名前がちかちかと点滅しており時間がたつにつれ光が大きく点滅の感覚が早くなっていった。
これは買えってことだよな。このまま閉じるってんのは~
矢印を×ボタンに移動させるとフッと×が消え画面が閉じられなくなった。
やっぱ無理か仕方がない購入するか。購入を済ませると苗が倉庫に送られ、そこから選択するとどこに植えるかと表示が出たので家の隣へと植えることにした。
大樹の根元に建つ家ってなんかいいよね!そんなことないかな?俺はいいと思う。できることはもうなさそうなので農地管理は閉じて身体管理を開いた。
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