“四暁 豪”は自称天才の俺様(あたしは馬鹿と呼んでます)
第1話
優秀過ぎる『セブンモンスターズ』は、特別寮を設けられているのだが、なぜか彼らの世話を押し付けられ早5年。
あたしが中学生にになった頃から始まった、この家政婦生活。
『セブンモンスターズ』とあたしーー望月 くるめは、切っても切れない縁というのか、世間で言う幼馴染みである。
じっちゃんがこの学園の理事長だという肩書を持ってるだけで、あたしは至って平々凡々である。
何故、家政婦になってしまったのか。
少し昔話に遡る。
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あれは、あたしが中学生に上がる前の春休み。
マンモス学園とは一切関係なく、普通に公立の小学校に通っていて、そのまま、学区内の中学に上がると思っていた。が、事件は突然起きた。
「くるめ、待ってたぞ!!」
待ち合わせの公園に行けば、じっちゃんが抱きついてきた。顔をスリスリされるが、髭がくすぐったい。
「じっちゃん!どうしたの?この間遊び行ったばかりなのに」
「実はのう、くるめにサプライズを用意したんじゃ!喜べ。中学からワシの学園に編入することになったんじゃ!」
「えっーーー」
その時のあたしは、絶対引きつった嫌な表情をしてた筈だか、じっちゃんはわざとなのか話を続ける。
「中等生からは、自主性を重んじる為、寮に入るのが決まりなんじゃが。いかんせん奴らは、個性が強くてのう。トラブルは起こすは、他の寮生達は萎縮するは、奴等の親御さんは煩いし。そこでじゃ。特別寮を設立することになったんじゃがな、奴等の監視兼世話係として、ワシの孫である、くるめに白羽の矢が立ったのじゃ!はっはっはっ!」
「やだ!絶対やらない!自主性の意味ないじゃん!」
「しょうがないじゃろ?奴等の親御さん達が、『自分の子供にそんな、召使の様なままごとはさせない。援助金を切る』なんて言われてしまってのう」
「金だ!じっちゃん、金に負けたんだ!だったら、メイドとか雇えばいいじゃん!」
「あくまで、自主性を重んじるからのう。もし、他の寮生達にバレたらそれこそ、暴動にーーー。まぁ、大したことはない。くるめは、家事が好きじゃろう?それに奴等とは仲が良いではないか」
「な、仲良くない!絶対やらないから!あたし、頭良くないし!」
「そこはじっちゃんの、腕の見せ所よ」
「絶対、裏工作するつもりでしょ!」
「よし。そうと決まれば、善は急げじゃ。レッツラゴー」
「人の話を聞けー!!」
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と、半ば強制的に連行され、今に至るのだが。
そんな一方通行なお願いを引き受けるには、納得がいかないので、一つ約束を取り付けたわけなのだが。それはまた、今度話すということで。
あたしが目下、頭を悩ませてるのは、この偉そうに踏ん反り返ってソファに座る『セブンモンスターズ』の1人。
同級生の四暁 豪(しぎょう ごう)、自称天才と豪語する、とある財閥の御坊ちゃまらしいが、そんなことはどうでもいい。
真っ赤に燃えた様な色の、サラサラ髪をくねらせながら、豪は言う。
「遅い。俺様が呼び出して何分経っていると思う。呼び鈴と共に現れろ」
無茶を言うな。瞬間移動なんて使えるわけがない。
「豪さ、あたしにだって、やることあるの。そう無闇やたらに呼び出さないでほしい」
「ふん。他の男とちちくり合うのがやることか?全く、くるめの貞操が心配で、俺様が助け出してやってるのに。感謝してほしい位だ」
「はぁ?そんなことしてないっつーの。早く用件言いなさいよ」
「ふん。忙しないやつだな」
いや、豪が急がせたんでしょうが。
「肩を揉め」
「ーーーーーあー、ハイハイ。新型のマッサージチェアの購入ですね。りょーかいでーす」
「違う。くるめがーー」
ビシッと人差し指でを私に向け、
「俺様の肩を揉め」
そして、親指で自分を指した。
「それ、クソダサいので、やめた方がいいと思う」
「ふん。庶民の美的感覚なんて、参考にならん。それより、話を逸らすな」
「いや〜余りにも衝撃的で目眩が。つか、マッサージチェアがあるんだから、それ使えば済む話でしょ!手よりよっぽど効果あるわ!文明の力使えし!バーカ!」
「バカだと?俺様のIQは200以上だ!全教科満点、成績No.1の実力だぞ!訂正しろ!」
「勉強が出来るから何だって言うのよ!忙しいって言ってんのに、ワザワザあたしの手を煩わせないでよ!」
「貴様っ、この天才に、マッサージチェアまで足を運べと言うのか!」
「運べ!たかが1分の距離でしょ!」
マジで不毛だから!この争い!
いい加減にしろよ!この俺様ーー、いやバカ様!
「ーーっ!たまには、俺様との2人っきりの時間を作ろうとは思わないのかっ!」
「思いませんッ!」
「ーーっな......?!即答だとっ?!」
「豪と、2人きりなんて、疲れるだけだから。なんの生産性も産まれないから。と言うことで、んじゃっ!」
「...............」
あたしの発言にショックを受けたのか、その場で固まる豪。
実にいい顔である。
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