【カクヨム10ver】世界樹の下で、君に誓う
尾岡れき@猫部
序章 世界樹にまつわるプレリュード
「……どうしても、ダメなの?」
うん。
泣かないで欲しいな。
これはある意味、仕方がないことだって自分でも自覚しているんだ。
形あるものは、いつか還るから。
本当なら、君はこっちの子じゃないのにね?
それなのに……ボクのために、泣いてくれるんだね。
――ふぁさっ。
――葉が落ちる。
――何枚も、何枚も。何枚も。
本当に君は優しいよ。
うん、そうだね。
なかなか、難しい世の中になってきたよ。
そうだな。
ボクが倒れても、すぐにどうなるワケじゃないいし。
もしも君が、あっちの世界に行って。
仮に、戻ってくることがあるとしたら。
あぁ、無理にとは言わないよ。
さっきも言ったけれど、君は本来。あっちの世界の子だからね。
そんな時があれば、私を堆肥に、あっちの世界樹の種を蒔いてくれないか?
良い子だ。
ボクなんかのために泣いてくれる君は、本当に――。
御神木なんて言われているけれど、これでも世界樹の眷属だからね。最期に、君に祈ろう。
――ゴゴゴゴ、と腹の底まで響く音。喧騒。鳥は驚き、獣は怯え、遠吠えをあげた。
――刹那、激しい音をたてて、
――土埃を巻き上げながら。
あぁ、そんな顔をしないで。
君に
だって、君がボクを見送ってくれるんだから。
――騒音と喧噪が響くなかで。
――揺れるように。
――触れるように。
――その声は、響いた。
『この
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