弟の俺が姉の身代わりで新妻になった件

第26話 side:H 愛しさと暴走と

一瞬。ほんの一瞬だけ、迷った。

本当にいいのか、と。僕の中にいる善が問いかけてきた。ーーが、ここまで来て引けるはずもなく。噛み付いたゆうくんの頸や肩に口付けながら、押し進める。

「く、ふっ・・・・・・っ、ぁ・・・」

覆い被さった身体は矢張り細い。しかも女の子ではなく男の子なので、当たり前だが僕を受け入れてくれた器官は、本来の用途ではない。随分と中を柔らかくしたと言っても、異物感はあるだろうし痛みだってあるかもしれない。現に僕を受け入れた場所はぎっちりと狭く、僕のものを包み込んでいた。

小刻みに揺れるゆうくんの肩へともう一度口付ける。

「・・・ゆうくん、息を吐いて。深呼吸してごらん」

「んっ、ぅ、んっ・・・は、ぁ・・・」

僕が声をかけるとゆうくんが素直に呼吸を繰り返した。少し肉の締め付けが緩んだのでそれを狙って、ぐっと腰を進める。

「ふあっ・・・あ、っ・・・つぐにぃっ・・・」

ゆっくりとゆっくりと中へと入っていく。負担が大きいゆうくんには申し訳ないけれど、ぐぷぐぷと肉の中に埋まっていく感覚は実に心地良い。コンドームがなければ更に気持ちが良かっただろう。

それにしても、この体勢・・・ゆうくんの負担が少しでも少ないように背位にしたが、顔が見えないのがよろしくない。今、ゆうくんはどんな表情で僕を受け入れてるのか・・・ここからだとゆうくんの表情は垣間見える程度だ。キスができないのも良くないなぁ・・・。

「くっ、ぅ・・・あ・・・つぐ、に、・・・ま、だ、はいる、の・・・？」

ゆうくんが、後ろを振り返りながら聞いてくる。僕のものはようやく半分を挿れたところだ。苦しさに、ゆうくんの額には汗がうっすらと浮かび、眉も歪んでいた。

「もう少しだよ・・・頑張れる？」

問い返しながら、軽く腰を揺さぶると、その衝撃に応じてゆうくんも揺れながら「ひぁ」と悲鳴をあげた。その後にゆうくんは小さく何度も頷く。

「ぜ、ぜんぶ、ぃれて・・・っ、ぉれ、だいじょ、ぶだから・・・がんばるからぁ・・・」

「・・・っゆうくん・・・」

こんな風に言われて興奮しない男がいるのだろうか？

煽るにもほどがある。一気に貫いてしまいたい気持ちに駆られたが、深呼吸をして押し留める。落ち着くんだ、僕よ。

そもそもゆうくんは半分とは言え僕を頑張って受け入れてくれたのだし、今日はこの辺でやめてあげるべきかもしれないーーが、僕のものでゆうくんを埋め尽くしたいという気持ちが強くて、止めてはあげられなかった。

ぐっ、ぐっ、と腰を押し動かして肉の狭路を開く。少しでも気を紛らわせるために、ゆうくんの柔らかくなっているものに手を回して扱いてやる。

「ふ、ぅっ・・・あ、あ、あ・・・つぐにぃ、つぐにぃ・・・ぃ・・・」

僕が入り込んでいくたびにゆうくんは苦しげな呼吸と一緒に僕を呼んだ。

懸命に僕を受け入れるその姿に愛おしさが込み上げる。

ああ、前から抱きしめたい。キスをしたい。けれどこの体勢だとそれは叶わない。

その気持ちを抑えるために薄い皮膚の上、首筋や肩、背中にと齧り付いていた。

後ほんの少しで全部が入り込む。

僕は挿入を止めると、ゆうくんのものからも手を離し、一度身体をあげて、視線をゆうくんに落とした。ゆうくんの体内への入り口が可哀想なくらいに拡がっていたが、それがまた、僕を興奮に誘った。

「ゆうくん、これで全部だよ・・・っ」

最後までゆっくりと挿入すべきところを、興奮に負けて僕はゆうくんの細い腰を掴み、そう告げながら腰を打ちつけ、全てを入れ込む。

「ひあ、ああああっ」

ぐりゅっ、と僕の全てがゆうくんの中に入り込んだ。ゆうくんが悲鳴をあげて、天井を仰ぐ。

中は肉がうねって僕のものを受け入れる。なんて気持ちが良いんだろう・・・ゆうくんの身体を背中から抱きしめた。そうしながら、もっと深く繋がるために僕は腰を押し付ける。

「ひうっ、だめぇ・・・ふか、あああっ・・・」

「ゆうくん・・・わかる？ほら、全部入ったよ・・・」

わざと存在を感じさせるために、ゆっくりと押しつけた腰を揺らす。先端が奥を突くたびに、ゆうくんは頭を振って息を漏らした。

「あ、あ・・・ふっ・・・ぜ、んぶ・・・つぐにぃ、のぜんぶ・・・」

「そう。全部だよ・・・えらいね、頑張ったね」

後ろから抱きしめながら馴染ませるために、腰をゆうくんの臀部に密着させて動きを止めた。

これでーーこれでこの子は全部僕のものだ。征服感とほんの少しの罪悪感と愛おしさと、いろんな感情が渦巻いた。これからも、この身体が僕を忘れないように覚え込ませよう。僕だけで埋めて僕の形にしてしまおう。

そうやって少しの間はゆうくんを抱きしめていたけれど、徐々に体勢への不満が生まれてきていた。なので僕は、

「ゆうくん、前を向こうか」

ゆうくんの耳元に唇を寄せて、キスをしながら問いかけた。

「んっ・・・あ、どう、すれば・・・」

ゆうくんは拒むこともなく、小首を傾げた。その姿に、ゆうくんの中に埋めた僕のものがどくりと震えた。可愛すぎる・・・。やはり前から抱いてキスをしたい。

「ゆっくり、動かすから僕に身体を任せて」

抱きしめた身体ごと、僕はゆっくりと起き上がる。後ろ向きに膝の上へと座らせるような体勢になる。

「つぐに・・・？あっ、だめっ、ふか、ふかいっ・・・からぁっ・・・」

そうなれば、ゆうくんは自重で僕のものをもっと深く受け入れることになり、声を上げた。まだ挿入したばかりで可哀想だとは思ったが、僕はその腰を掴んで、ゆうくんの身体をぐるりと回転させる。ゆうくんの中で屹立したものが、ドリルのように回ってより深く突き刺さる。

「ひんっ・・・だめだめっ・・・つぐに、ぃっ・・・くるし・・・っ」

対面での座位に体勢が変わり、腕の中でゆうくんは背中をしならせて、腰をあげようともがいた。それを抱きしめることで阻止すると、ゆうくんの瞳から涙が溢れる。

「あうっ・・・やぁ、やあぁ・・・だめ、だめっ・・・つぐに、ぃ、くるし、から・・・おな、か、こわれ・・・っ、んふっ」

僕が与える刺激でゆうくんが泣いている。可哀想と思う反面、とてつもない情欲が腹の底から湧き上がり、我を忘れて喘ぐ唇を噛みつくように塞いだ。がっちりと抱きしめて動かないようにしながら、下から腰を小刻みに動かして突き上げる。

「ん、ふぅっ、ん、んっ・・・んぅっ・・・」

逃げることも出来ずに、ゆうくんは僕の突き上げに身体を揺らしながら、僕のキスを受けていた。舌を味わうように絡めて、吸い上げてから離す。その時に、ゆうくんの身体を僅かにあげて、落とした。刺さっているものがゆうくんの中を深く抉る。

「ひ、ぅああっ・・・！！だめぇっ・・・つぐにぃ、だめっ・・・おねが、ゆるし・・・っ」

僕の身勝手な動きに、ゆうくんは何度も首を振った。ああ、そうだ。ゆうくんは初めてなのだ。セーブが効いていないことを内心で苦笑しつつ、ごめんね、と告げながらゆうくんの頬へと口付ける。

抱いていたゆうくんを解放して、その身体をゆっくりと横たえた。

ベッドに背中をつけたことで、ゆうくんは少し楽になったのか浅く息を繰り返す。

「・・・あ、つぐ、にぃ・・・・・・」

濡れた瞳で僕を見上げながら、ゆうくんは自分の下腹を撫でる。

僕が手を伸ばして、それに重ねると、苦悶の中に小さく笑みを浮かべた。

「おれのなか、に・・・つぐに、ぃ、がいる・・・ぜんぶ、はいってる・・・」

「・・・っ・・・」

僕の手の下で、まるで愛おしいものを撫でるように、その場所を何度かゆうくんは撫でた。その姿に、ごくりと唾を飲み込む。落ち着けたはずの興奮が急速に高まって、我慢できなくなり僕はゆうくんの手を握りしめ、その場所に押し付ける。

ゆうくんは急なことに「つぐにぃ・・・？！」と声を上げたが僕は止まらなかった。

もう一方の手を太腿の裏に回して自身の体重を使って、ゆうくんの身体を屈曲させた。結合部に僕の体重が乗って、また挿入が深くなる。

「ひぐっ・・・だめっ、つ、ぐ、にぃっ・・・」

「ほら、こうするともっと深く・・・ゆうくんのここ、僕ので膨らんでるよ」

重ねた手をぐり、と薄い腹に押し付けると同時に腰も押し付けて中の肉を潰す。

外からも中からも刺激を受けたゆうくんは目を見開いて口を大きく開いた。

「ひっ・・・！やあっ、くる、しぃっ・・・だめ、そん、なしないで・・・っ」

後ろ頭をシーツに押しつけて、ゆうくんは浮かべた涙を幾つも落とした。

苦しいのだ、当たり前だ。何度も自分にゆうくんは初めてなのだから優しくしないと、と言い聞かせているのにスルーしている。今の僕は大事な奥さんに無体なことをしでかしている、なんとも呆れ果てた夫だ。

「ゆうくん・・・っ」

握ったゆうくんの手を離して、痙攣するように揺れているゆうくんの片足を取る。もう一方の足と同じように太ももへと手を滑らせて、そちらも押し上げた。そうしてちゃんとした屈曲位にしたところで、自分のものをずるりと半分まで引き抜く。ゆうくんの肉で擦れた感触が気持ち良すぎてまたすぐ挿入して、もう一度深くまで埋める。何度も何度もそれを繰り返した。

「ひんっ・・・！や、やっ・・・っ！！あ、あ、あ、っ！」

ゆうくんはひっきりなしに喘いだ。快感よりも苦しさに。それでもゆうくんは僕から逃げることはなくーーこの状態で逃げろと言うのも無理な話かもしれないがーー、僕を必死で受け入れてくれる。頭の端で、優しくしろ、感じるところを探せ、と警鐘が繰り返し聞こえる。でも、僕はそれも無視して腰をゆうくんに打ちつけていた。自分が満足するために、獣のように。

それでも、出し入れを何回も繰り返しているうちに少しだけ落ち着いてきて、僕は一度腰を止めて息を吐く。

ゆうくんは目に見えてぐったりとしていた。ああ、しまったやり過ぎた、と思っても後の祭りだ。ゆうくんの涙で濡れた瞳と視線があう。僕は困ったように笑んだ。

「・・・ごめんね。苦しいね・・・でも、やめてあげられない」

僕は非情にも、ゆうくんを離してやることはせず、行為をそのまま続ける。けれど、せめて感じさせてあげたい。今更になってそんなことを思いながら、腰を引いて中を探る。ゆうくんのものは萎えていたし、指とは勝手が違うので少々手間取ったが、この辺かな？というところに当てて角度をつけて圧迫した。

「ひあっ？！」

ゆうくんの身体がびくんっと跳ねる。どうにか前立腺を見つけることができたようだ。わずかな肉の違和感をめがけて、そこを押しつぶすようにゴリゴリと先を当てるようにして抽送を続ける。ゆうくんの苦しみが強かった表情が、次第に変わっていく。

「あふっ、やあっ、だめぇっ・・・っ・・・あ、あ、あ、あっ」

白かった頬が紅潮し、ゆうくんの柔らかかったものも内側からの刺激に固くなってきていた。僕とのセックスが苦しみだけであってはならない。何せ次に繋げられなくなる。それも忘れて無我夢中に先ほどまで腰を振っていたのは間違いなく僕だが。

こんなに我を忘れるとは・・・本当に不思議だ。なぜこんなにも興奮してしまうのか。

「ゆうくん、気持ちいい・・・？」

強めに前立腺の上を僕のもので擦ると、ゆうくんが肩を震わせた。

どう？と僕は言葉を繋げながら、ゆうくんが感じる場所へと腰を打ちつけて、ゆうくんの滑らかな太腿から手を撫で下ろしてゆうくんのものを握り込み、指先で小さな小さな入口を擦る。

「ひっ、ああ、あ、っ、きも、ち・・・きもちいいっ・・・っ、やら、ぁ、こすっちゃっ・・・」

「可愛い・・・ゆうくん、呂律が回ってないね」

近くにあるゆうくんの太腿にキスをする。挿入前に解した甲斐があった。先ほどに中でイかせてから、インターバルを置いたし、そろそろ大丈夫だろう。僕は小刻みにそこを刺激し続けて、ゆうくんのものも同時に扱く。

「あ、あ、あ、あ、あっ・・・ひっーーっ！」

断続的な声の後に、ゆうくんの足が引き攣った。中を穿つ僕のものがきゅうきゅうと締め付けられて、ゆうくんが達したのだと分かる。ああ、そうだ、と思い出して僕は周囲に素早く視線を巡らした。ベッドの上に小さな桜色の粒を見つけて、ゆうくんの口に押し込んだ瞬間、ゆうくんが僕の手の中に少量の精液を吐き出して、身体をびくんびくんと大きく跳ねさせる。

「イけたね。えらいね、ゆうくん」

ゆうくんが外でも達したのを見届け、僕は多少安堵する。

良かった。自分のセックスばかりを押し付ける最低男は回避できたように思う。まあ、ギリギリの線だろうけど・・・。いや、本当に制御できないのは恐ろしいな・・・。

一度きりで終わるつもりなど僕にはないのだから、自身のコントロールもしなければ・・・もう少し、回数を重ねてゆうくんがこの行為に慣れてきたら、もっと色々なことをゆうくんにはしてみたい。

ところてんなんか挿れただけなのにイっちゃったの？と言葉で責めることもできるし、潮吹きは漏らしたと思って慌てるだろうな。きっと困った姿は可愛いだろう。ちょっとしたグッズもあるのだし。

まあ、それはこれからのお楽しみだな。

そんな思考を巡らせながら、僕は再び腰を動かし始めた。