第24話 side:H 濡れた瞳と興奮と

『・・・・・・だ、抱いて、ほしぃ・・・・・・俺、嗣にぃの、奥さんだか、ら・・・』


頭の中でリピートする。

確かにゆうくんはそう言ったし、僕はその後も言質を取った。この子、自分が何を言ったか本当に分かっているのか・・・何という発言。

本来であれば「そんなことまでしなくて良いんだよ」と言うべきであってーーまあその場合、こんな状態に持ち込むこともないだろうがーー9歳も歳の離れた社会人としては正すべきところなのだろうが、生憎、僕にその気は皆無だ。

余裕ぶってはいるが、正直、堪らない。興奮がノンストップ。

言われた直後なんて、頭の中でサンバカーニバルが始まるかと思った。今も頭の隅ではサンバ!サンバ!と陽気に暴れる僕がいる。


「・・・っあ、う・・・やぁ・・・」


僕の前で可愛い声が聞こえて、我に返る。

ああ、いけない。今はゆうくんを触ることに集中しなければ。

先ほどから、小さなすぼまりをくるくると指先でマッサージするようにし、たまに人差し指の第一関節までを入れたり出したりさせることを繰り返していた。ゆうくんの様子を見るに、異物感はあるようだが、痛みはなさそうに見える。ローションを多めに垂らしていることもあって、とろとろになった場所は今よりも奥に進めそうだ。


「ゆうくん、大丈夫?」

「っう、ん・・・」


ゆうくんは横向きになって足を抱えるようにしながら、僕の指を受け入れていた。

どういう気持ちがそうさせているのかは兎も角、僕を受け入れようとしてくれる様は、感慨深い。顔を下げて、ゆうくんの無防備な脇腹に口付ける。


「ひゃっ・・・くすぐった・・・っあ!ゆ、びっ・・・がっ・・・」


ゆうくんが声をあげると同時に、入り口付近にあった人差し指を根元まで滑り込ませると、ゆうくんが軽く背中をしならせた。


「痛い?」


僕の問いかけにゆうくんは小さく首を横に振る。それを見て、中を撫でるようにしながら指先を動かした。もうちょっとローションを増やした方がいいかもしれない。片手で傍に転がしていたローションを取ると、


「つぐにぃ、それ、やだぁ・・・」


ゆうくんが弱く声を上げた。それ、とは僕が持っているローションのことだろう。僕が「どうして?」という声と共に首を傾げると、ゆうくんは困ったように眉を下げて息を詰まらせたが、再び口を開く。


「それ、ついたところが・・・じ、じんじんするから、やだ・・・あつい・・・」


手にあるものを見遣った。

そういう効果のあるものだったな、そういえば。

こういうものを使う機会はなかったので僕も使うのは初めてだが・・・それなりに効果はあるらしい。眉唾物と思っていたのだが・・・へぇ。

そしてこういう物は用途が用途なだけに形状が特化している。今手に持っているものもそうで、先端のノズルは先細りになっており、直接注ぎこめるようになっていた。


「そっか。じゃあ、違うものに変えようか」


そう言うと、ゆうくんはほっとしたように眉を上げた。が、そんな可愛いことを聞いて変えるわけがない。僕はさも取りかえるような素振りで、埋め込んだ指を抜いたが、代わりに差し込んだのは手に持ったままの細いノズルだ。指よりも細いそれをゆうくんのそこは難なく飲み込み、僕がボトルの本体を押す。


「あっ?!やあっ!つぐにぃ、変える、って・・・!!やだやだっ、そんなたくさんいれたら・・・っ!」


逃げようとするゆうくんの腰を、空いている片手で押さえて防ぐ。押したボトル本体からはどろどろとローションがゆうくんの体内に注がれた。測っているわけでもないから正確な量はわからないが、少なくない量が中へと入り込み、ノズルを引き抜きと、窄まりからとろりと一筋垂れる。

僕はボトルをまた傍に投げ出して、垂れた一筋を中指の指先で掬ってから、ゆうくんの窄まりへと押し込む。


「ひうっ・・・やぁ・・・嘘つき、つぐにぃの嘘つきぃ・・・っひ、んっ・・・」


ぐちゅ、と音を立てて指先を根元まで埋める。先ほどよりも滑りが増えて、ひっかりもない。指を増やしても大丈夫かもしれない。


「酷いなぁ・・・奥さんが、そんな風に夫をなじるなんて・・・お仕置きしなきゃね」


まあ、嘘をついたのは僕なので、まともに考えたらそんなこと言えるものでもないが。一度入れた指を引き抜き、人差し指と中指にして、一気に根元まで差し入れた。勿論、傷などがつかないように注意を払って。


「おれ、なにもっ・・・あうっ・・・や、やっ・・・」


まだ狭隘な場所を拡げるように、ローションを馴染ませるように、2本の指で掻き回す。それに即効性かどうかはわからないが、ちょっとずつ時間が経つにつれ、ゆうくんがもじもじとし出す。先ほどまでとは明らかに違う。


「どうしたの?ゆうくん」


指を止めないまま、僕はわざと問いかけた。

ゆうくんは目元まで真っ赤にして、その瞳にはうっすらと涙まで浮かんでいる。


「も、ぐちゅぐちゅ、しないで・・・あ、ついから・・・っ・・・」


ゆうくんは舌足らずに、僕へと訴えかけた。その弱々しくも扇状さの混じる姿に嗜虐心が刺激されて、まだ柔らかかった僕のものがぐんっと膨らむ。

一気に反応するとはなぁ・・・ゆうくんの魅力が凄すぎる。でももう少し、虐めたい。


「ああ、ここ?でも、柔らかくしないと僕とセックスできないよ?いいの?」


入り口まで指を引かせて、肉の輪を拡げながら、再度問いかける。ゆうくんは僕を見て、その瞳を見開いた。


「ここでやめてもいいけど・・・ゆうくん、これが欲しいんでしょう?」


ゆうくんの太腿に、膨らんだ自分のものを押し付けると、その身体が大きく震えた。ゆうくんは瞳を逸らし、ぎゅっと瞑る。


「どうしたい?言ってごらん」


上体をゆうくんに寄せて、真っ赤になった耳へと口付ける。ゆうくんは、漏れる息を噛み殺してから、


「つ、つぐにぃが、ほしぃから・・・つ、続けて・・・っ・・・やめないで、ぇ・・・」


ほんっと、この子・・・まずいだろう。言わせているのは僕にしろ、言っちゃうのか、それ。言っちゃうのかーー・・・。ゆうくんの太腿の上で、僕のものが更に膨らんで大きくなっていた。

あー・・・もう、このまま突っ込みたい。今なら緩くなっているし、入る気がする。突っ込んで、泣き喚かせて、注いでしまいたい。けれど・・・我慢だ、我慢。今更ゆうくんがこの行為を拒むこともないだろうから、ゆっくりと進めた方がいい。


「いいよ。後でたくさん、あげるから・・・今、がんばろうね?」


優しく告げながらも、指をまた根元まで勢いをつけて差し込んだ。


「ひんっ・・・あ、あっ・・・が、んばるからぁ・・・つぐにぃ、つぐにぃっ・・・」


ゆうくんはシーツを握りしめて、僕の名を呼ぶ。ああ、可愛い。

片手ではゆうくんの穴を苛みつつ、もう一方の手で横を向く顎を捉えてこちらを向かせ、息を乱すその唇を塞いだ。


「んふっ、んっ、ん、んぅ・・・」


何回もキスを繰り返すうちに、ゆうくんは自分からも、気持ちよさを求めてか舌を差し出してくるようになっていた。初めてが故に、快楽全てに弱いのかな、と思う。今も舌を伸ばしてきた。それを絡め取って、重ね合わせる。

舌を吸いながら、指を動かし続けた、ゆうくんの穴は随分と柔らかくなっていて、二本でも問題なく抜き入れできるようになっている。引き抜いた時に指を増やし、三本にして、中へと潜り込ませた。


「ふぅっ・・・んっ、あっ・・・あんっ・・・はぁ、んっ・・・」


三本にすると、流石にまだキツさを感じる。けれどローションの力もあって、ゆうくんが感じるものは苦しさだけじゃないと、様子を見ていればわかる。

ただ、今、ゆうくんに僕のものを捩じ込んだら、窮屈さで千切れんばかりだろう・・・それも悪くはない、が。ゆうくんに苦しさをあたえたわけじゃないので、もう少し頑張ろう。

僕はゆうくんの舌を強く吸ってから、唇を離し、その口端にキスを繰り返しながら、


「ゆうくん、いま、指が何本かわかる?」


聞く。ゆうくんは、ふるふると首を横に振ったが、僕は答えを求めて、もう一度耳元で「何本?」と囁いた。


「あふっ・・・あ、さ、さんぼん・・・っ・・・?」

「正解。じゃあ、この指はどの指?」


三本の指を引き抜いて、人差し指のみを突っ込む。入れた指を出し入れしながら、問いかけた。中はグニグニしていて途中まで狭いが、慣らした時間は無駄ではなく、奥まで行くと広がる感じがあった。


「あぅっ・・・あ、あ、おっき、から中指」


大きい、なんて言われると指のことと分かっていても昂ってしまう。

ゆうくんの太腿に押し付けたものは、完全に屹立していた。


「あー、不正解。人差し指でした。間違えた中指も入れるね」

「ひ・・・んんっ、も、なにして・・・っ・・・あっ」


指を二本揃えて、入れる。出し入れを繰り返しつつ、揃えた指を一本にしたり二本にしたりもした。その度にゆうくんに質問して、当たりだ外れだと繰り返す。我ながらアホだなぁ、と思ったが・・・ゆうくんが可愛いから仕方ない。そういうことにしておこう。

ああ、そうだ。中でもイけるように、性器側の感じるポイントも探そう。潜り込ませた中指で、ゆうくんの腹側の肉を辿っていく。


「ふっ、あ・・・も、あっ・・・あ、あっ?!」


執拗に中を探っていると、肉の中に、ぷくりとした場所を見つけて、そこを軽く押す。するとゆうくんの声が途端に大きくなった。

ああ、ここだ。ゆうくんの前立腺を見つけた。もう一度軽く、押す。


「ひっ、まってっ、やだっ、そこ、だめっ・・・!!だめぇっ!」


ビンゴで間違いない。今までとまるで違う反応だ。ここを覚えると初めから中でもイけるともあったが・・・どうだろうか。何せ僕も男の子を扱うのは初めてだ。押しながら、ゆっくりと指を膨らんだ場所の上で上下に扱く。


「いやぁっ、つぐにっ、だめ、っ、ゆび、うごかさないでっ・・・おかし、いからっ」


ゆうくんは耐えきれず、身体を捩らせたが、逃すわけがない。体重を使ってゆうくんを拘束しながら、ぐっと押し込む。ゆうくんの身体が僕の下でびくびくと痙攣するのがわかる。

そのうち、ここだけではなく、男性子宮とも称される前立腺小室も可愛がってあげたい。そしたら子宮が育って僕の子を孕んだりは・・・まあ、流石にしないけれども。ああ、だめだ、興奮のあまりに頭の中がファンタジーだ。


「ひっ、も、だめっ、あ、あ、あっ、やだ、なにこれぇ・・・っ・・・おか、おかしいからっ・・・つぐにぃ、なんか、きちゃ・・・っ」

「ふふ、気持ちいいね・・・ほら、イってもいいよ」


ゆうくんはわけがわからず必死に頭を振る。

中だけで、イけるかもしれないな、これ。ローションが良かったのかもしれないし、ゆうくんの感じ易さも良かったのかもしれない。中でのはじめての快感というのもあるだろう。そうした相乗効果があって、ゆうくんはどんどんと高まっていた。

僕は上体を起こして、ベッドサイドに置いてあったラムネの袋を取って、開ける。片手なのでうまく一粒が取れず、数粒転がベッドに落ちたが、まあいい。その中の一粒を取って、ゆうくんの喘ぐ口の中へと放り込む。

そうして、肉の小山を扱く指先を早めて、ぐりっと強く押し込んだ。


「んふっ、あ。なに・・・?!や、っ、あっ、ひあ、ああ、ああ、ああああああっ」


ゆうくんが一際高い声を上げて、背中を大きくしならせる。

中で達することができたようで、丸めていた足も、僕の下で伸ばされた。そうすると、僕の指に前立腺を更に押し付けるようになってしまい、ゆうくんはさらなる快感に目を見開く。

視界の中に、既に勃ちあがったゆうくんのものがあった。それは屹立したままで、先走りをトロトロと溢してはいたが、達してはいなかった。

指先で、ぴん、とゆうくんの鈴口を弾く。ゆうくんがびくん、と一度震える。


「凄いね、ゆうくん。初めてなのに、お尻だけでイっちゃうなんて・・・ほら、ゆうくんのここ、まだイってないよ?」


もう一度、先っぽを指先で弾くと。ゆうくんの身体がまた震える。ゆうくんの中に残る指で、膨らんだままの前立腺の上をトントンとノックしながら、ゆうくんの耳元に唇を近付ける。


「ほら、ここ、ゆうくんの感じちゃう場所だよ。ふふ、まだ欲しがってる」


淫乱だね、と息と一緒に耳の中に送り込むと、ゆうくんはか弱く首を振った。


「やあぁ・・・ちが、おれ・・・、いんら、んなんかじゃ・・・やぁ、だめ、うごかさないでぇ・・・っ」


瞳からはほろほろと涙が溢れた。ああ、駄目だ、可愛すぎる。

目元へと唇を移動させて、それを僕は舐めとった。


「動かすと、どうなっちゃうの?教えて」

「あ、あっ・・・やだぁ、おれ、また・・・っ・・・おかしくなっちゃうからっ・・・」


中で達したばかりのゆうくんを更に追い詰めるように、指をぐにぐにと動かす。もう一方の手で、ゆうくんのものを握り込んで、扱いた。


「初めてなのに、また中でイっちゃうの?じゃあ、やっぱり淫乱だよね」


目元に、頬に、耳に口付けながら両の手を動かす。

全然、淫乱でいいけどね。むしろ大歓迎だ。僕の前でだけならば。他の人の前では絶対に許さないけれど。

ゆうくんは快感と羞恥に身を染めて、唇を震わせた。


「ごめ、ごめんなさ・・・っ、いんらんで・・・っ、つぐに、ぃっ・・・ごめんなさっ、ひんっ、やあぁあああっ」


外から中からと、同時の快感に耐えきれず、ゆうくんは謝罪を口にしながら再び達する。今度はゆうくんのそれも達して、僕の手の中で吐精した。

あーー・・・可愛すぎる・・・。

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