400文字 一枚——HitoHira——

沼津平成

第1話

 一枚 これを何と読みますか。

 一枚いちまい

 それもあっていますが、そのほかに読み方があるのです——。


 桜が、一つ散っていた。

 ヤンキー同士の殴り合い現場に僕・金尾は遭遇してしまった。

 見ると、ヤンキーは片方だけで、殴られていたのは、随分前、同級生だった気がする陰キャだった。

「やめろよ!」

と叫ぶ。凄んだ声が路地裏に響き、ヤンキーは去っていった。

「君は、誰だったっけ」

 僕は殴られていた方に駆け寄った。

 彼はノートを取り出し、一枚学と書いた。

「いちまい……がく?」

 と聞く僕を見て、彼はあどけない笑みを浮かべる。

「ひとひら、まなぶ」と彼はつぶやいた。これ、そう読むの?


         *


 いつの間にかぼく、一枚学は金尾くんと友達になっていた。そんなある日、いつかの路地裏を通りがかると、ゴキゴキとなる腕の音が聞こえた。心配になって路地裏を進んでいくと、金雄くんが、殴られはじめている。

 僕はいつかのヤンキーを引っ張り出して、ポカポカと殴り始める。

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400文字 一枚——HitoHira—— 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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