第2話 黒い蝶
お絵描きをしていたんだ
最初はね
色とりどりに渡す筆の橋
キャンパスが喜んでいた
次第に
色の世界を降りて
文字を描くために
筆をとる
諦めない気持ちは
お絵描きの時と同じ
うまく
上手な言葉選びなんてない
あるがままの本念しかない
それが自分だ
わたしを映す白い紙は
インクが歪んで滲むことを
待っている
次第に
言葉の一画たちが床に落ちていく
それは積もり重なって
意味のない黒い山を作る
全部 風に吹き飛ばされて
開け放した窓から逃げる
黒色の蝶みたいだ
遠くで
ザマアミロって声が響く
そんな人間の気持ちも
言葉の蝶は余す所なく
吸い取って連れ去ってゆく
こんな夜があってもいいんだろう
惰弱であっても 卑怯ではない
きっとそこにある言葉は
人には見えない優しさがあるからさ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。