第2話
「瀬里香!」
病院のロビー。
ソファに座っている私のところへ、
陸斗が早足で歩いて来た。
「陸斗」
私は笑顔で彼に手を振り 立ち上がった。
私の名前は
2日前に彼と入籍するまで、私は父が開業する
外科クリニックで 受付の仕事をしていた。
「どうしたの? 病院に来るなんて…」
驚いた顔の陸斗。
もっと驚かせちゃえ!
「赤ちゃん、できたよ」
私は彼の耳元で こっそり囁いた。
「えっ、そうなの?」
ほら、驚いた。
「さっき ここの産婦人科で診てもらったの。
4週目だって」
「そっかぁ…そうなんだ…」
彼は嬉しそうに 喜びを噛み締めている。
陸斗は喜びを噛み締めていた。
(既成事実も出来た。これでもう、完璧だな)
思わず顔がにやける。
「どうしたの?」
「えっ? あ、いや… そうだ、近くでランチしないか? 一応外来での診察は終わったし、午後からは病棟回るだけだから。2人で先にお祝いだ」
「やった!」
「じゃあ ちょっと待ってて。着替えてくるよ」
颯爽と歩いていく陸斗の後ろ姿を見つめながら
私は最高の幸せを感じていた。
彼との赤ちゃんが お腹にいる。
私は33歳。
このタイミングがなかったら、
もう 子供は望めなかったかもしれない。
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