人生、谷あり、アタ丘あり。

水仙マドカ

第1話 書くきっかけになった写メ日記。

なぜこんな場所でこんな文章を残すことになったのか・・・

簡単な自己紹介から始めさせていただきたいと思う。

私4○歳。関東で生まれ関東で育つ。

離婚歴2、成人した実子と彼氏と同居している。

生い立ちなどは長くなるので後回し。


約一年ちょっと前までちょっと変わったと噂される風俗で働いていた。

そもそも風俗に行くきっかけは実子を育てるための手段で

勢いと縋る思いで門をくぐった。 

一度本格的に働く前に風俗店に1,2カ月居たことがあった。

風俗の世界そのものがこわくて何が良くてなにがだめなのかもわからずあたふた。

聞けるような人も周りにはいなく、手さぐり状態で働いてみたら

客にしこたま嫌な思いをさせられていた。

その経験を経て、自分の中で強い意志をもって覚悟を決めた。


自分自身にも自信がなかった。

風俗で稼げる気もなかったので、本業は地道に持ちながら

空いた時間を寝ずに風俗労働に使っていた。


然し出勤すれば稼げるという保証はない中

何も秀でるものがない。風俗としては未経験の括りだ。

その中でルールを守りお金を稼ぐ。どうしたらいいか。

まずは自分を認知してもらうところからだった。



少し練った作戦と探り探りの手さぐりの中で

風俗店での集客ツールの中に写メ日記というものがあった。

なかなか最初は書く気も上がらず全く書くこともしていなかった。


お金は欲しい が、しかし本職もあったせいで余裕もあった。

暇でもよかった、客がつかなくてもいいと思っていた(笑)

周りはその日暮らし、携帯代が払えない、ご飯が食べれない、

今日帰る電車賃がない。そんな底辺な女性ばかりだった。

それを考えたら私には本職の安定した収入があるということ。

周りからしたら僻みの的になっていたのは確かだった。


黙っていても入ってくる裏で書かれる掲示板。

次第にエゴサーチをすることが毎日毎時間の癖になっていた。


そこに書かれていた。 

本職あるからって調子に乗んな ってね。


昔から逆境には強いタイプだった。

誰が書いているかもなんとなく予想がついた。


真面目に集客もばからしい。

どうせ悪口言われるならその通りだとばかしに

日記に見せつけるような内容を淡々と書き殴り始めていた。


写メ日記。日記なんだから自分の記録として

その日あったことその時の感情を単純に書こう。


その時々を文章に 「自分の言葉」で書き始めた。


これが定着するまで二ヶ月を要した。


二ヶ月の間は淡々と普通の接客をこなしていた。

単純作業でお客に合わせるだけで本当つまらなかった。


二ヶ月経った頃、アクセスがグンと上がっていた。

お店のランキングになるほどになっていた。

勿論僻みやっかみは食らった。

 

エゴサーチとはいえどお客も掲示板を見ていた。

ぽつらぽつらとお客さんが絶えないようになっていた。

しかしなかなか再会する客がいなかった。

風俗店で大事なのはリピートという本指名。

どう返すか。。。


「自分の言葉」で というところ。

他のキャスト達の日記は過激な写メと

「今日会い来てくれたお兄様方ありがとうございました。」

そんなもんだ。


日常的な日記は後に回すとして

お金を使って客は遊んでいる。

遊んでからまた来てもらうには・・

考えた結果 面倒なことにとらわれがちだが

文字を打つことは楽勝だった。


一人ひとりに手厚い御礼日記を書くようにした。

話は盛ったりもしたけれど

私とそのお客しかしらない御礼日記を。


行数で言ったら私を超える御礼日記を書く風俗嬢は

居ないんじゃないか?っていうくらいの中身ある長文だ。


それなりの記憶力と忍耐力は必要だったけど。


合間にどうでもいい本音を書く。

「本指名なんていねーし どうなってんだよ!」

そんな様なあくまでも例えだけど

私の言葉というより言葉遣いで。


しばらく続けたらある日

私になった初めての指名の電話。

阪神ファン江戸っ子チャキチャキ感小野○二似(笑)

これ私の頭の中のメモ。


実際この人が開花させてくれたような気もしなくもない。


最初に会った時も モッズコートにキャップ という服装で待ち合わせされて

どんな奴だよ・・・ヲタクかよ?

スタッフ) いや 一周回ってオシャレかもよ?


店が店なだけに期待ゼロ

ヲタクだと思って待ち合わせ場所に行ったら

洒落おつ兄やん!!

初めて会ったのに初めてじゃない感じ。

ノリが良すぎて 初めてにも関わらずハイタッチしたのは覚えている。


そんなお客が本指名第一号。

兄やんが言った。

「お前苦労してるだろうけど応援したくなるよな。

 散々書かれてるけどよ、がんばれよ。またきてやっから!

 それとお前の日記おもしれーな」


単純嬉しかったね。スタッフにも喜び伝えて

御礼日記にもまた拍車がかかる。

勿論この御礼日記はお客にどこまで書いていいかチェック済。


どこどこの○○兄やん!

今日もお酒もって今日もシャレオツ 

キメッキメで本指名第一号マジサンクス!

日記の内容はシンプルだけど細かい。

話した内容 どう思ったか どうしたか

全く風俗とは無縁の話ばかりを羅列。

ただそこまで会話を真面目にした、

私はあなたに興味がある、ここだと好感を持ったってなるのかな

そんな印象操作。


且つ問いかける。

答えるためには会いに来なくてはならないからだ。

そんなこの兄やんは別れ間際に口コミ書いてやっから!

精々頑張れよ!また忘れそうな頃にくっからさ!


「口コミ書くっていってたよな?まってっから~!」


数日後口コミが掲載された。


私のプロフィールに沿った内容をわざと入れてくれた。

私のふざけたプロフィール 

-性格- アタオカ(あたまおかしいの略)


口コミにはアタオカはやっぱりアタオカ そんな記述

口コミにだって審査はあるわけでよく通ったなと(笑)


そんなこんなで アタオカってなんだ?

アタオカ=私  そんなイメージを作り始めていた。


ふざけているとは思うけれど

プロフィールにそんなことを書いたのにもわけがある。

あわよくばを考えるような単純細胞客は

頭おかしいやつなんか指名しないってところ。


ここってまだまだ序章 

風俗って社会の底辺 生ぬるい そんな様に思えてた。

でも私はこの中でいろいろな学びを得てきた。

色々な人に出会ったからだ。

それって人生でマイナスになる部分もあり

でも大半はいろいろな人となりを勉強して

色々な感情とか生き方、風俗なのに人生勉強をした気がしている。


人に文章でものを伝える意味とかわからないけど

写メ日記を続けてる中で 開花したものがあった。

それがこんな真面目な文章でどこまで伝わるのかわからないけど。


この後に書いていくこと、私の中ではでかいことだらけだった。

自分よりひどい人を見て私は自分がましだと思って勇気づけられることがある。

まだまだ甘いよ なんて思われる可能性も無きにしも非ずだけど。

反感だったり共感だったり色々あるだろうけど

生々しい話ほど面白いものはないなと思って書くことをずっと夢見てた。


終着点はハッピーエンドにしたいんだけどね。


それまで単純に連投していこうと思う。

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