花びらに火花を。

〇登場人物は、ナレーション、刺客1、刺客2の3人。


ナレーション「桜の花びらが散っていきます。

 春はまだ続くのに、

 春が終わる気がして、

 なんだか寂しい気持ちになります」


 ――生きて。


 ひらり、ひらり、また、ひらり。

 変わらず散っていくその先に、聞こえる面影。

 それは、約束を守ることの難しさを表しているようです」


刺客1「ヒャハーッ!見つけたぜ!っちまえ!!」


ナレーション「無粋な声はザッと増え、一斉に刀を構えました。

 ひらり、ひらり、また、ひらり。

 ほのかな桃色は、赤く、赤く染まっていきます。

 私ではない、誰かの血です。

 今日もたくさんの人を刀で切り伏せました」


 ――生きよ。


 ひらり、ひらり、また、ひらり。

 目を瞑れば見えてくる、懐かしい思い出。

 それは、亡き人が輝いていた美しい思い出を見ているようです」


刺客2「あーあ、また失敗かよ」


ナレーション「聞き慣れた声、ムカつく声、現実がやってきます。

 振り返れば、ゆっくりと近づいてくる最悪な奴」


刺客2「やっぱ、下っ端のやつじゃあ歯が立たないよなぁ・・・上の連

 中もわからんのかねぇ~コマの無駄遣いって」


ナレーション「呆れた声でいうと気怠げな目で私を見ます。

 そして、ニタァと笑うのです」


刺客2「よう、裏切り者。こっからは、俺と遊んでもらうぜ」


ナレーション「ひらり、ひらり、また、ひらり。

 散っていく花びらを気にせず、奴は私に斬りかかります。

 迎え撃つ私に奴は言う」


刺客2「さあ、死合いの始まりだッ!!」


ナレーション「ひらり、ひらり、また、ひらり。

 花びらに火花を散らして、私は今日も生き抜くしかないのです」

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