振り向く貴方

〇住宅街・道(夜)


女性「もし、そこの貴方?

 そう、貴方です。

 やっと振り向いてくださいました。

 ずっと呼んでいたのですよ?

 貴方はいつも聞こえないフリをして、私を素通りする。

 晴れの日も雨の日も雪の日も、私はずっとここで呼んでいるのに。

 寂しかったわ、悲しかったわ。

 ずっと1人だったもの。

 でも、もうそれもおしまいね。

 貴方が振り向いてくれたから、私は1人じゃないわ。

 さあ、一緒にいきましょう?

 もう、離さないから」


   少しの間


ナレーション「呼ぶ声が聞こえれば、振り向く。

 それは自然なこと。

 しかし、それは本当に生者の声か・・・振り向くまではわからない」

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