子猫

※一人称を あたし・ぼく のどちらかをお選びください。



子猫「どうして、あたし(ぼく)は1人なの?

 おねえちゃんやおにいちゃんは?

 お母さんは?

 どうしてあたしは1人なの?

 箱の中なの?

 まって、行かないで、置いてかないで!

 さむい、さむいよぉ。

 どうして、あたしは1人なの?


   少しの間


子猫「お腹、空いたなぁ。

 体も、目もかゆいよぉ。

 あとどれくらいここにいればいいの?

 お母さん。


   少しの間


子猫「・・・だれ?

 あなたはだれ?

 撫でてくれるあなたはだれ?

 わわっ揺れる!

 怖いっ怖いよぉ!!

 誰かったすけて!


   少しの間


子猫「怖かったの。

 いっぱい触られて、体も顔も濡れて、怖かったの。

 怖かったの。

 でも、あったかいの。

 どうしてかな?

 もう大丈夫・・・大丈夫なの?

 あたし(ぼく)は、大丈夫なの?


   少しの間


子猫「あったかいの。

 体も、目も痒くなくなってね。

 まわりが見えてきたの。

 あたしを、抱きしめてくれた大きな人。

 広い広いお部屋に1人の大きな人。

 ご飯もくれる。

 おいしいの!

 優しく撫でてくれる。

 嬉しいの!

 でも、お薬っていう顔を濡らすのは嫌だなぁ。


   少しの間


子猫「毎日が楽しいの。

 いっぱい寝れて、大きな人はいっぱい遊んでくれる。

 元気になったって言って、ひらひらのビラビラで遊んでくれる。

 ただ、お仕事っていうのであたしは1人になる。

 けど、大丈夫!

 大きな人はいつだって帰ってくる!

 疲れたって言うけど、抱きしめてくれるの!

 そして撫でてくれる、遊んでくれる、ご飯をくれる!

 嬉しいなぁ。

 嬉しいなぁ。

 だから今日もお疲れさまってするの。

 すりすりカミカミ蹴りっ。

 そうすると大きな人は笑顔をくれる、イタイイタイって言いながら

 撫でてくれる。

 嬉しいなぁ。

 嬉しいなぁ


   少しの間


子猫「いつもと変わらない日常がやってくる。

 あの時の怖さは忘れられないけど、

 それでも嬉しくて、

 楽しくて、

 ここでなら頑張れそうな気がするの。

 だから、ね?

 毎日いっぱい、いっぱい遊んでね!」

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