今頃分かりました。
@nanababa
第1話
小学校4年生の春、電子オルガンを買ってもらった。当然、習いに行く事に。
2歳上の姉と、近くの個人レッスンの先生へ通った。
夏休みに発表会。割と大きなホール。
私は、白いレースのワンピースを買ってもらい、とても嬉しかった。姉とお揃い。
姉と私の連弾で、曲目は2つ。
「デキシーランド」
と「ロンドンデリーの歌」
舞台に上がると、緊張!
思ってたより、広い会場。
私は、自分では、上手く弾けて満足。
終わって、舞台裏に下がった時、先生は、私達に何も言葉をかけてくれなかった。
前の演奏者達には、笑顔で、「よく出来ましたよ。」と言っていたのに。
私は、とても悲しかった。
それから、先生の事が嫌いになった。
その冬に、私は、父の仕事の関係で転校することに。
私は、67歳になり、つい最近、2歳下の妹が、突然亡くなり葬儀の後。
姉と思い出話をした。
あのピアノの発表会の話になり、
私が「あの先生、私達には、何も言葉をかけてくれなかったね。」と言うと、
姉は、「私、途中で、弾けないから、やめてしまったからね。あんた一人で弾いてたじゃん。」
ええ!知らなかった。
気が付かなかった。
自分の演奏に集中していた。
私は、相当、緊張していたのだ!
間違わず、上手く弾けてのになあ。
そう言えば、姉は、発表前日の練習で、何度も先生にダメ出しされてた。
転校先には、近くにピアノの先生が探せず、
私のレッスンは、一年足らずで終わった。
オルガンは、蓋をしたまま、物置になっていた。
今頃分かりました。 @nanababa
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