第6話 ヴァレリアとの直接対決
北西の山間部に向かう道は険しく、静寂が三人を包んでいた。
瓦礫と荒廃した街を抜けると、広がるのは自然のままの風景だったが、そこにも異世界の侵食が及んでいた。
木々は異様に歪み、空気は重く感じられる。
どこかでモンスターの低いうなり声が聞こえ、いつ襲撃されてもおかしくない緊張感が漂っていた。
大地は握りしめたキー・アームを見つめていた。
光を帯びたその刃は、異世界の力を象徴しているようだったが、同時に彼に負担を与えている。
足を止めるたびに、右手の痺れを感じた。
美咲「大地、大丈夫?休憩する?」
美咲が心配そうに声をかける。
だが、大地は軽く首を振り、前を向いた。
大地「いや、大丈夫だ。進もう。時間がない」
レイナ「その通りね。祭壇を守るヴァレリアの兵士が待ち構えているはず。
立ち止まっていたら、先手を取られるだけよ」
彼女の言葉には緊張感がにじんでいた。
その瞬間、森の奥から金属がぶつかり合うような音が響いた。
大地「何だ?」
三人が警戒を強めたその時、木々の間から黒い鎧をまとった兵士が姿を現した。
彼の後ろには、異形のモンスターが数体控えている。
その中心に立つのは、一人の女だった。
カレン「ここで足を止めるのも悪くないわね」
冷ややかな声と共に、その女は剣を構えた。
彼女はヴァレリアの幹部の一人、カレン。
その剣技の冴えと冷徹さから、異世界でも恐れられる存在だった。
大地「こいつが…ヴァレリアの奴らか!」
カレン「ほう、私たちを知っているのね。
なら話は早い。祭壇の場所を知っているなら、ここで死ぬか教えるか選びなさい」
レイナ「私たちが答えると思っているの?道を開けなさい」
カレンは不敵な笑みを浮かべると、モンスターたちに合図を送った。
次の瞬間、彼らは一斉に襲いかかってきた。
大地はキー・アームを構え、モンスターの一体に斬りかかる。
だが、その動きはこれまでのモンスターとは段違いに素早く、攻撃をかわされる。
逆に鋭い爪が迫り、大地は間一髪で後ろに飛び退いた。
美咲「大地!こっちは私が守る!」
美咲は盾を掲げ、迫り来るモンスターの攻撃を受け止める。
だが、その反動で体が揺れ、一瞬バランスを崩す。
その隙に、別のモンスターが牙を剥いて突進してくる。
レイナ「甘いわ」
レイナの剣が光を纏い、モンスターを切り裂く。
その速さと正確さは、さすがのカレンも一瞬目を見張るほどだった。
カレン「なるほど、少しはやるようね。
でも、その程度で私に勝てると思って?」
彼女は静かに剣を振り上げ、レイナに向けて斬りかかった。
その一撃は風を切り、レイナの剣と激しくぶつかり合う。
二人の剣技が火花を散らし、周囲の木々を揺らす。
大地「レイナ!」
彼は駆け寄ろうとしたが、残ったモンスターが行く手を阻んだ。
キー・アームを振るい、一体を倒すものの、負担が右腕を襲う。
美咲「大地、無理しないで!」
美咲も全力で盾を振り、攻撃を防ぎながら反撃の機会を伺っていた。
レイナとカレンの戦いは激しさを増していく。
カレンの剣技は的確で、力強い。
一瞬の隙を見せれば命を奪われかねない。
カレン「私が祭壇を守る理由、教えてあげましょうか?」
レイナ「興味ないわ。あなたたちを止める、それだけよ」
カレン「それができるなら、試してみなさい!」
再び剣がぶつかり合い、激しい衝撃波が走る。
その時、大地がキー・アームを振り下ろし、最後のモンスターを倒した。
彼の息は荒く、体中が痛みで悲鳴を上げていたが、それでも前を向いた。
大地「レイナ、美咲、俺たちでこいつを倒す!」
三人は力を合わせ、カレンに立ち向かう準備を整えた。
ヴァレリアとの本格的な戦いが、ここから幕を開けるのだった。
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