スキルIGO!・・・え、何それ。

Orisan

第1話 第一章 9路盤編

 今日は女神様からスキルをもらえる日だ。


 この世界では10歳で誰でもスキルを1つもらえる。


 有能なスキルをもらって、活躍して国を造って王様になったり、


 暴れるドラゴンを倒して街を救い、英雄として語り継がれたり、


 そして、


 たとえそれまでモテなくても、美女たちに囲まれる人生として話題になったり、




 ・・・。ちょっといいな、それ。いや、そうなりたいわけではないが。

 

冷静に考えると、めんどくさい。むしろ怖い。ハーレムはやっぱりなしだな。




 というわけで、うまくいけば伝説の1ページを飾る事が決まるといっても過言ではない。


「次の方どうぞ。」


 教会のシスターがスキル取得のできる女神様の部屋に1人づつ案内してくれる。


 よし。いままで平凡で、どちらかといえば底辺の存在だった自分の人生がこれで変わる。


「あら、次はヒロだったのね。こちらの女神像にお祈りしてください。部屋は一度ドアを閉めるから、その後にお祈りするのよ。

 無事スキル取得ができたら、中から知らせてくださいね。簡単な説明をするからね。」


 よし。こうゆうのは成功をイメージすることが大切だ。


 だいたい、失敗しそうだなとか、一生日陰決定っぽいのをもらいそうだとかを考えない事だ。いくぞ! ・・・・・・。


((あなたにはこのスキルを授けます。使いこなしてみなさい。))


 あれ、スキルの受領の儀式って女神様の声が聞こえるとか聞いたことないが?


(ヒロは、スキルIGOを授けられた)


 ん?IGO??


 なんだそれ。・・・え、まさか今では知っている人が少ないといわれている、あれかー!


(それはこの物語が誰にも読まれないかもしれない未来が決定した瞬間であった。


 ・・・END)


 いや、物語はこれからだし。(-_-)/~~~ピシー!ピシー!


 ・・・・・



 ヒロは今、孤児院に住んでいる。


 3歳くらいの時だろうか?どうも親に捨てられた。


 何故それがわかるのか?


 そのショックで前世を思い出したからだ。


 親に恨みはない、つらい生活で子供を養えず、それなら孤児院の方がましだと思ったようだ。まだ乳飲み子の妹もいたようだし。


 最後の食事だったのだろう、小さいパンをもらって久しぶりの御飯だと喜んで食べていたら、知らない間に親はおらずよくみたら孤児院の門の前だった。


 親がいないことに気が付いた時、探し回ろうとして、その時の悲しみで前世を思い出した。あれ、異世界転生してるぞ?と。ショックは別の物に変わってしまった。


 この世界は、剣と魔法の世界だった。前世は日本人だったようだが、詳細は思い出せない。だが、ラノベの定番を思い出したら、いろいろワクワクしてしまう。


 現実には明日生きられるかどうか?という、とても厳しい世界のようだが、こうゆうのは大丈夫だと思うやつが生き残るのだ。


 やがて、なんとか10歳まで生き延びることができたヒロは、孤児院でも底辺の方だろう思っていた。


 腕力が強いわけではない。普通だろう。


 人望があるとも思えない。特に嫌われてはいないが軽くみられているだろう。


 とくに女の子にもてているとは思えない。避けられてもいないが。


 それでも、仲の良い友達は何人かできたし、気になる女の子もいる。


 だけど、スキルをもらってからが本当の人間関係だと、前世の記憶から色々踏み込めずにいたというのが大きい。


 優秀なスキルももらったやつは確かに人生勝ち組だろう。


 だけど?と、ヒロは思っている。


 ヒロにとっての幸せは、前世の勝ち組とは違うのだ。


 それは自信をもって断言できる。金、物、女(あるいは男)それらを得ても人は満足しない。なにがあった前世でもないらしいが、その価値観こそが財産だ。


 そのヒロがもらえたスキルがIGO。多分、囲碁


  囲碁だとしたら、転生した異世界はもちろん、前世日本でも名前しかしらない人が多いだろう。


 囲碁で大切なのは欲張らない事。このバランス感覚は前世勝ち組価値観とは違う。


 前世の勝ち組の価値観は、自分だけだと思うからだ。



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