プログラマー翔平と目覚める異次元のプログラム

魔石収集家

第1話:異常現象の発生

天城翔平は、深夜のオフィスで一人、キーボードを叩き続けていた。

モニターには無数のコードが走り、青白い光が彼の眼鏡に映り込む。

昼夜を問わずこの空間で過ごす彼にとって、プログラムを組む作業は日常そのものだった。

だが、その夜、翔平は背後に何かの気配を感じて顔を上げた。


窓の外、夜空に不思議な模様が浮かび上がっていた。

それはまるで現実世界の風景に、プログラムのエラーコードが混ざり込んだかのようだった。

翔平は席を立ち、窓に近づいた。


「なんだ…これ」


その言葉は、彼自身にも答えが出せないほど不確かなものだった。

見上げた夜空には、無数の数字や文字が浮遊していた。

それらは規則性があるようでなく、まるで狂ったプログラムが現実に影響を及ぼしているかのようだった。

翔平の心臓が早鐘を打つ。


「ただの光のいたずら…じゃないな」


意識的に冷静さを保とうとするが、その異常さを目の当たりにすればするほど、得体の知れない恐怖が胸を締め付ける。

次の瞬間、彼のスマートフォンがけたたましい音を立てて震えた。


「未登録の発信元…?」


画面を確認すると、そこには見覚えのない番号とともに短いメッセージが表示されていた。

「お前が修正しろ」


「修正…? 修正ってなんだ」


翔平は眉をひそめながらも、自然とそのメッセージの送り主を探るように端末を操作し始めた。

だが、それ以上の情報は得られないまま、端末の画面が暗転した。


その時、オフィス全体が震えた。

まるで地震のような揺れだが、揺れているのは建物ではなく、彼自身の視界だった。

モニターの画面が勝手に明滅を繰り返し、表示されていたコードが次々と壊れていく。

翔平はとっさに椅子を蹴り倒して立ち上がり、モニターを凝視した。


「これは…俺が組んだコードじゃない。勝手に書き換えられている…?」


その異常な状況に、翔平は確信した。

何者かが、自分のプログラムに干渉している。

それも単なるエラーではなく、まるで外部から意志を持って入り込んできているかのような、明らかな侵入だった。


「一体、どういうことだ」


恐る恐るキーボードを操作してシステムを確認すると、そこには「UNKNOWN CODE」と記されたファイルが現れていた。

翔平はその名前を見て息を呑む。


「アンノウン・コード…ありえない」


それはかつて彼が開発に関わり、そして放棄された未完成のプログラムの名前だった。

だがそのプログラムが、なぜ今ここにあるのか。


「誰がこんなことを…」


その時、モニターから不意に眩い光が放たれ、翔平の全身を包み込んだ。

視界が白く染まり、彼の足元が揺らぎ始める。

意識が遠のいていく中、どこか遠くから声が聞こえてきた。


「お前が修正しろ。さもなくば、この世界は壊れる」


翔平は声を追いかけようとするが、白い光がすべてを飲み込み、彼はそのまま意識を失った。

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