第8話
アイリスの過去の話
「昔って言っても村を襲われておじいちゃんに助けてもらってすぐの話なんですけど、村が酷い事になったは分かっていたんですけどお父さんやお母さんが生きてるって心のどこかで思ってたんですよね、だから私は2人の元に帰りたくてよく駄々をこねてました。それに知らない人と一緒に生活するのがなんだか怖くておじいちゃんに反抗的な態度を取ってたんですよね。」
「そんな事が…」
「はい…でもおじいちゃんはそれを含めてどんな私でも愛してくれました。次第に私はおじいちゃんに心を許すようになってあそこまで仲良くなれたんですよね。」
「そうなんだね。」
「だからこそ、彼女がどこかこの辛い日々から抜け出したそうな目をしてるなって思っちゃいました。」
「分かった!じゃあ明日1日だけ延長しようか。それでなんとかしてみよう!」
「はい。ありがとうございます。」
「アイリスは優しいな。」
「そ、そんな!優しいのはラモンズさんですよ〜」
「そ、そうか?」
なんだか小っ恥ずかしい気持ちになった。
「ま、まあとりあえずお風呂入ってくるから今日はとりあえず寝よう。」
「はい!分かりました。」
そう言って俺はお風呂に入る事にした。
「明日までになんとか彼女の事もスティール・リフトのことも分かればな…」
「キャァアアア!!」
部屋から悲鳴が聞こえた。
「どうした!」
急いで駆け寄った。
「お前ら少し俺たちを知りすぎたな。」
何者かにアイリスは掴まれていた。
「だ、誰だ!」
「スティール・リフトだ。嬢ちゃんは俺達が預かる、返してほしければ街の外れの倉庫まで来い。」
「まて!!」
そう言って男達は消えていった。
「クソッ、油断してた…それに今のは転移魔法か。」
急いで倉庫に向かう事にした。
.
.
.
ギイィィ!!
倉庫の重い扉を開いた。
「ククッ待ってたぜ、冒険者ラモンズさんよ。」
「何故俺の名を…お前は誰だ。」
「俺が盗賊団スティール・リフトの団長、バッドだ。」
「逃げろって言いましたよね。」
そこには彼女の姿もあった。
「おい、エレカ…あれを見せてやれ。」
彼女の名前はエレカというらしい…
「はい。バッド様」
そう言って倉庫の中央の灯りがついた。
そこには…
「んんんんん〜!!」
口をロープで塞がれたアイリスの姿があった。
「アイリス!!」
籠の中に閉じ込められていた。さらには鎖が何重にもかけられており沢山の鍵も付いていた。
「アイリスをどうするつもりだ!」
「ゲームをしようじゃないか。」
「ゲームだと!!」
「30分のうちに全てを開ける事が出来れば助けてやるよ。」
そういって鍵を何百個も渡された。
「お前ら…」
「ラモンズ、お前はちょっとこの街を知りすぎたな、悪いが30分経ってクリア出来なかったらお前もそこの女にも死んでもらう。
優しさに見えるがこれはどう足掻いてもクリア出来ないゲームだった。
「おい!早く始めろよ〜」
「俺達スティール・リフトを敵に回した罰だな!!」
周りから色々な怒号が聞こえてきた。
「やるしかない…」
そう言って俺は手当たり次第解錠し始めた。
「ヒントはない…手当たり次第にやるしかない…」
「本当バカね。」
エレカが言ってきた。
「やるしか無いんだよ。」
「だから言ったじゃ無い…所詮この街から、このスティール・リフトからは逃げられないって…」
そんな事は分かってた。
「でも俺はアイリスもエレカ、君も助けるよ。」
「本当に頭おかしいんですか?」
ガチャッ!
「なんとか一つ…」
奇跡的に一つ目が開いた。
「待ってろアイリス!」
「んん!」
「バッド様…あいつ開けましたよ?」
「バカかお前は…あと何個あると思ってるんだ…ククッ、おい!お前、その女の口を縛ってるロープを解け!」
「はい!」
「ラ、ラモンズさん!!」
「大丈夫か!アイリス!すぐ助けてやる!」
「もうあの子は助からないんだから1人で逃げた方が…」
「逃げる訳無いだろ!さっきも言ったけど俺はどっちも助ける!!」
どう見たってこんなの敵うわけないのに…
こんなの…
.
.
.
何故ウチは過去のことなんか…
ウチが覚えてる記憶。
「エレカ、ここで待てる?」
「うん!」
小さい頃少しそこで待ってなさいと言われお菓子を渡された。
でももう両親はそこに来る事が無かった。
唯一の覚えてる楽しかった記憶はみんなでやった満月の夜のお祭りだけだった。
分かってたけど待ち続けた…
ずっと、ずっと…
私は売られてしまうんだと直感で分かった。
しかし、そこで助けてくれたのが最強の盗賊団スティール・リフトの団長、バッドだった。
「お前、名前は?」
「エレカ。」
「ククッ、助けてやるよ。」
いや、助けたと言うよりは力が欲しくて利用するため仲間されただけだった。
そこからは色々な事をやらされた。
「おい、エレカ…そこの鍵を開けてみろ、スキルはもう覚えたろ?」
「う、うん。」
出来なければ殴られて、それが当たり前だった
「お前!!仲間だろ??お互い助け合いだろ??」
「は、はい。」
バッドって呼んでたはずなのにバッド様と呼ぶようになってたし、エレカって読んでくれてたのにお前って呼ばれるようになっていた。
辛くて辛くて逃げ出したかった
でも、逃げた先に何があるのか分からなくて不安で怖くて無理してここに居続けた。
「パパ、ママ…いつ迎えにきてくれるの…」
ー続くー
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