第4話
気がついたら足が動いていた。
本当は分かってたの、ワイバーンを見た時に私の村を焼き尽くしたあのワイバーンって事が‥
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「…リス!」
「アイリス!!」
これは私の過去だ。
「〇〇との約束だぞ!」
誰だろう覚えてない…
「もし俺がいなくなって困ったら、こう唱えるんだぞ」
でもこの言葉は辛い時よく言ってたような…
「破壊と創造を繰り返す者よ…」
そうだ…
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「破壊と創造を繰り返す者よ、神聖なる力を貸したまえ…」
「アイリス!!何故きたんじゃ!!」
「わざわざここに来るとはな!両親の元へ連れ行って欲しいのか!!!」
「アイリス…どうして…」
傷だらけでほぼ生きてる感覚がない俺が見てる幻覚か?
それとも…
「破壊と創造を繰り返す者よ、邪悪なる力を貸したまえ…」
「アイリス!こっちに来てはダメじゃ!!!」
「破壊と創造を繰り返す者よ!!!!!この私に力を貸したまえ!!」
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「おお!よく言えたな!えらいえらい!」
また過去の記憶…でももう私大丈夫だよ!
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「アイ!ラブ!ゴッド!!!!いでよ!破壊と創造の神!デスト・クリエ!!!!」
ズーンと重低音が響き、気付いた頃にはワイバーンが消えていた。
「召喚魔術だと…」
バタン…そうしてアイリスは倒れた。
「今がチャンスじゃな!!邪悪なる精神よ、邪悪なる身体よ、鎮まりたまえ!アイラブゴッド!シール・エターナル…」
「させるか!!好敵手…」
「ワシの勝ちじゃな!!」
コーンに全身真っ黒な鎖が巻かれ消滅した。
「勝ったのか…」
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「ラモンズさん!」
「ラモンズさん!!」
気がついたら俺も気を失っていた。
「終わったのか…」
「はい!おじいちゃんのおかげで勝ちました!!ワイバーンも魔族も倒してくれたんですよ!」
「え?」
やはり夢だったのかアイリスは何もしてなかったらしい…
俺が目覚めた頃にはモルガンさんの修復魔法により村はすっかり元通りになっていた。
「あの!モルガンさん!」
「起きたか、ラモンズよ。」
「良かったです…」
「ありがとう。ラモンズさんのおかげで勝てたんじゃよ!!」
「いや、俺は何もできなかったっすよ…」
「戦ってくれてる間に相手にも隙が生まれたんじゃよ。」
「そうですかね…」
少し誇らしかった。
「そういえば気を失う前、アイリスさんが詠唱したような…」
「やはり、見とったか…あれにはワシもビックじゃ…まさか高等詠唱でしかも召喚魔法の中では最強のデスト・クリエを出すんじゃからな…」
「やっぱ、夢じゃ無かったんですね!」
「じゃがな、肝心の本人が詠唱した記憶がないらしい…まああんな危険な魔法を使えるぐらい危なくもあり強いのかもしれんな…」
「そうですね…」
あまりにも強すぎる力を持ったアイリスが今後どんな人生を歩んでいくのか少し気になっていた。
「俺そろそろ次の村に行きます。」
「アイリスは…」
「今じゃない気もするんですよね、彼女が行きたいなら話は別ですけど…」
「おじいちゃん〜ラモンズさん〜」
そう言って向こうからアイリスさんが走ってきた。
「どうしたんじゃ?」
「あ、あの!私!」
「ん?」
「昨日は、断ってしまったんですがやっぱり旅に連れて行ってくれませんか?」
「え!!!」
「そ、その!昨日実は、意識のないナリタ君を私の回復魔法で治してあげたんです!その後の記憶がないんですけど…でも!誰かの力にもっとなりたいって思ったんですよね。いつまでもおじいちゃんに助けてもらってばかりの自分を変えたくて、私昨日の事があって強くなりたいと思いました…だから、その…ラモンズさんの旅に連れて行ってください!!」
「もちろんだよ!!どんな事があってもアイリスのこと守るし、どんな事があっても裏切らないから。」
「ありがとうございます…それにラモンズさんには、裸を見られてますしね…」
「な、なんじゃと!!!!!!」
「ち、違うんですよ!モルガンさん!アイリスさんも変な言い方しないでくださいよ!!」
「ハハハッ」
こうして私に初めての友達?仲間?が出来た。
自分の村でもないのに一緒に戦ってくれた事が何よりも嬉しいし、こんな私をパーティーに入れたいなんて変な人だと思ったけど、この人となら楽しい旅が出来ると思った。
お父さん、お母さん、私頑張るからね。
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「魔王様、コーンが何者かに封印されたようです。」
「あのバカが1人で行動するからだろ…」
「捜索の方は…」
「あんな奴気にしないで良い…それよりも破壊と創造の神、デスト・クリエが召喚されたらしいな。」
「はい、誰が召喚したかは不明ですが…」
「そいつを魔族に入れればこの世は我の物になるに違いない…待っていろ!!リリガントの王…サルファ!!!」
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次の日
「モルガンさん、本当にお世話になりました。」
「お前が来てくれて楽しかったぞ。」
「あの、アイリスさんの事何があっても…」
「当たり前じゃ、でもアイリス自身も強くなる事を願っているから、時には厳しく接してやれよ。」
「はい!」
「おじいちゃん!!今まで本当にありがとう、まだまだおじいちゃんに1ミリも敵わない魔導士見習いみたいなもんだけど、私もっと色々な経験して強くなって戻ってくるからね!本当に…本当…」
私は思わず泣き出してしまった。
「アイリスよ、そんなに泣くんじゃないぞ!この先きっと楽しい事だけじゃ無いし辛い事も沢山あるだろうけど、今まで勉強した事、ワシが教えた事、全部を思い出して強く生きるんじゃぞ…アイリス…頑張れよ、本当にワシも楽しかった。」
「おじいちゃん大好きだよ〜」
「ワシもじゃ!」
2人の長いようであっという間の共同生活が終わった。
「そろそろ行きましょうかアイリスさん!」
「はい!」
「お〜い!!」
その時誰かの声が聞こえた。
「アイリスちゃん頑張れ!!!」
「しっかり帰ってきて旅の話聞かせておくれよ〜」
「ラモンズさん、アイリスさん、息子をありがとう!!」
「2人とも頑張れよ〜」
なんと、村の人達が出発に駆けつけてくれた。
「ありがとうございます。」
「皆さん!!本当にお世話になりました!ライズ村での出来事は絶対に忘れません!!!!」
今までで1番大きな声を出したかもしれない。
「それでは、また!」
「さようなら!!また会いましょう!!」
こうして私達は旅に出ることになった。
これから待ち受けるどんな事にも絶対、絶対負けたく無い。
ー続くー
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