月と病と不死者

丹木芥舟

プロローグ

ゴーンゴーンと遠くで巡礼の鐘が鳴る


男はこの地の全てを見て周り各地に建てられた鐘を鳴らし終わり最初の地点を目指し歩き始める


男は治ることのない病を患い救いを求め巡礼の旅へと向かったが各地で見た物は悲惨で男の境遇など取るに足らない物であった。


男は故郷の事を思い歩み続ける


この身が病で犯されようと故郷に帰りその場で朽ち果てようと歩き続けた。


男がやっとの思いで故郷に着くとそこは前とは違い暗く陰湿な雰囲気を漂わせている場所であった


男はそんなことを気にも止めずに教会へ足を向け巡礼の旅を終えたことを報告しなければならない為街中を進んでいく


教会に着くとそこには荒れた果てた墓場と血に濡れた教会の扉があった


男は何事かと思い中に入るとそこには巡礼の旅で幾度となく見た狼が何かを貪って入る姿だった


男は武器を構え狼に対して振るうと狼はこちらに気付くことなく倒れ伏した。


男は狼が貪っていたものへと目をやると聖職者の死骸であったがその死骸は腐敗をしていて狼に食べられる前に死んでいることがわかった。


男は各地で見た病による進行もこの地で起きていることを知り街中を走り続けた…


結果は悲惨なものだった、生きている者もいたが病に犯され気が狂っている。


正常な者はおらず街中を徘徊している者の手には武器をもち彷徨っている。


男は自身も患っている病も近しいものではないかと考え街をでて自身の誕生の地に向かった


そこはもうかつての姿はなく家屋であった場所には朽ち果てた木々が散乱し、村のシンボルであった大樹は痩せほせ途中で折れていた。


男はこの身が長くないことを悟りシンボルの大樹に腰を掛けて自身の最後を待つ


「あぁ、今宵は満月か」


月を眺めて男は意識を絶った


男が力なく倒れていると男の肉体は毛が生えその肉体は黒くなっていく。


月明かりを受けてその体は再び瞼を開き立ち上がった、だがこの場から去らずひたすらに月を眺めてこの身が朽ちるのを待ち続ける。





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死狼病

この病に患った者は月光に当たった時のみ病が進行しいくが当たっていない時が多ければ急激に衰弱していき最後は外を彷徨いその身を狼へと変えてしまう

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月と病と不死者 丹木芥舟 @Fox_cat

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