第46話:大人になっても続く友情は大切にしよう

「あーあと1年でカノイも成人かー。」


生誕祭も終わった後、リボルが不意に呟いた。


「そうだね、あと1年で12歳だ。リボルは今年だろ?」


「そう、今年の夏だよ。あとヴァイスは去年の秋で成人してる。」


「え、うそ?じゃあ遊んでちゃ駄目なんじゃないの?」


「父からカノイ様を補佐するお役目を仰せつかっておりますから大丈夫です!」


「えぇ、なにそれ?それは、なに?」


もしかして私後継ぎだと思われてる?


いや間違っちゃいないけど、出来ることなら責任を負いたくはないぞ。


「ずりぃ!俺もやる!」


「リボルは家の人と狩りに出かければいいじゃないですか!」


「ま、まぁまぁ、遊んでいていい間は遊んでいようよ。大人になったらそういうことできなくなるだろうしさ。」


「……そうだなぁ。大人になると遊んでる暇はなくなるんだよな。」


「お別れってわけではないですが、一緒にいる時間も減るかもしれませんね。」


それは、さみしいなぁ。よく考えてみると生まれてこの方ほとんどの時間をリボルとヴァイスと過ごしてきた。


今後こうやって過ごす時間が減っていくと思うと、なんというか、こう、半身を失うみたいな。


ん?2人いるから半身と半身が無くなったら何にも残らなくね?


「よし!俺めっちゃ狩り頑張るわ!そんでめっちゃ強くなってカノイの側近やる!」


「え?」


そういえばそんな話あったな。


「ヴァイス!お前も側近の座を狙っているのは知っているが、譲る気はねぇぞ!」


「こちらこそ!剣術も魔法も極めて見せますよ!精々置いて行かれないように頑張ってください!」


「え?あれ?」


そんな話だった?なんでバチバチしてるの?というか側近って1人限定なの?2人でやればよくない?


そんな言葉はさわやかなライバル達の姿に飲み込むしかなくなった。


うん、そのうち気が付くだろう。




「まぁさ、大人になってもこうやって集まろうぜ?遊んだりはしなくてもさ、こうしてのんびり過ごす時間、好きなんだよなぁ。」


「カノイ……。」


「カノイ様……。」


大人になったからって縁を切る必要はないよね。


たまに集まってワイワイしていけばいいじゃない。


「そうだな!待ってろカノイ!俺頑張るよ!」


「カノイ様!お時間が作れるよう頑張りましょうね!」


「うん!……うん?」


なんか今勝手に仕事あることにされたけど私の仕事って何?


父上の手伝い?書類仕事?う、うわーいやだー!


働くこと自体は嫌じゃないけど書類仕事はきついなー!


い、いや、今世では仕事にありつけること自体ありがたいし、家業を継ぐことが当たり前なんだが、なんだがぁ!


くっ諦めて働くか。


頼むぞフロージ、ヘディン、私より有能に育ってくれー!


カノイ・マークガーフ、11歳、色々なことを切実に願う春の出来事である。

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