第41話:子供は風の子っていうか走り回ってたら熱くなる

異常気象2年目。


今日も今日とて雪化粧を保つために雨雲を何処かに飛ばす作業中。


皆の為なんや……すまんが耐えてくれ乾燥地帯。


なんて言っているが、実際のところ雨は歓迎されているらしい。


最近ではこの季節に雨が降ると予想して水捌けのいい田畑が用意されているとか。


さすがには早すぎない?と思ったが、某雨乞い教団が権力を握っているらしいのでこの速さなんだとか。


やばいなその集団。もし能力がバレたら一生雨乞いマシンにされそう。


絶対にばれたくない!


ということで現在も能力秘匿生活続行中。


平和が一番だよ。




「にーちゃ!あそぼー!」


「お兄ちゃん!遊ぼー!」


「よーしまかせろ!何がしたいんだ?雪合戦?」


子供達は今日も元気に庭かけ回る。


私も、まぁ、子供なので庭かけ回る。


だってかわいい弟達に誘われちゃったもの!


「隠れ鬼する!」


「にーちゃおにー!」


「まかせろー!数秒で見つけ出してやる!」


「「きゃー!」」


今日の遊びは隠れ鬼。昨日は普通の鬼ごっこだったかな?


冬であることを忘れてしまいそうなほど熱くなりながら走り回る。


うん、健康的な朝だ。


「カノイ!おはようさん!」


「カノイ様!おはようございます!」


そんな感じで遊んでいると、いつも通りリボルとヴァイスが遊びに加わる。


「あー!カノイ様!またあたし達をおいて勝手に遊んでる!」


「ずるいぞカノイ様!」


「仲間に入れてください!」


ファンとジェイルとエイルも遅れて加わる。


「兄さん!置いていかないでください!」


「お兄ちゃん!また家から抜け出したでしょ!お母さん怒ってたよ!」


「おれも……遊びたい。」


さらに遅れてシュバルツ、トム、グルートが現れて、


「うげぇ!あたしは今日お休みよ!そう決めたの!」


「言い訳はお母さんにしてよ!さぁ帰るよ!」


ファンを連れてトムが帰っていく。


ということで最近はフロージ、ヘディン、リボルとヴァイス、ジェイルとエイル、シュバルツ、グルートと遊んでいる。


たまにジェイルとエイルも家の手伝いでぬけることもある。


私もあと数年で家の手伝いか~。


皆とも遊べなくなるのかと思うと……悲しい!


なんとかならないかな~私も手伝いを抜け出すか?


いや、母上に怒られそうだな……こわいこわい。


そういえば父上には怒られたことないな。


どうだろう、改めて考えると、父上のほうが怖そうだな。


普段怒らない分、怒涛の勢いで怒られそう。


はい……ちゃんとお手伝いします……。


「はい、みーつけた!」


「きゃー!にーちゃ早い!」


「ヘディン!後はまかせたよー!」


「はいはい、フロージもみーつけた!」


「お兄ちゃんずるい!足が長い!」


ふふふ、身長差がある分、私のほうが足が速い。


それに気が付くとは、フロージは天才だな?


「よーし、皆揃ったところで、遊ぶか!」


「おー!何して遊ぶ?」


「いい感じに積もってますし、雪合戦でどうでしょう?」


「雪合戦するー!」


「するー!」


「おっしゃ!じゃあチーム分けするぞ!」


願わくばこんな時間が永遠に続きますように。


なんていうとちょっと欲張りか?


まぁあと数年は、こんな生活を続けさせてほしい。


お願いしますよ、いるかもわからない神様?


カノイ・マークガーフ、9歳、まだまだ少年でいたいと願う冬の出来事である。

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