第39話:特別授業は講師に失礼がないよう受けましょう
「静粛に!皆さん、今日は冒険者の方が先生として来てくれました!」
「「「わーい!」」」
「大歓迎だな!よしよし!今日から俺達に教えられることは全部教えるぞ!」
「わたし達にできることといえば、剣術、魔術、ナイフ術ね。」
「あとはちょっとした処世術だな。覚えていて損はないだろう。」
そんなわけでケビン達冒険者が先生として授業してくれることになったよ!
今日はファンもジェイルもエイルも暇だったから来てるよ!
「先生!剣術!剣術やりたい!」
「先生倒しちゃうからね!」
「おぉ?自信満々だな!よっしゃ、やるか!」
そんなわけで1時限目は剣術とナイフ術の授業だ。
「フロージ、ナイフ使い!」
「ヘディンも!」
「あははは!二人ともちっちゃいからまだ剣ってサイズじゃないよな。」
「そんなことないよ?ぼくもシュバルツもグルートも剣を扱えるしね。」
「うん……。」
「任せて下さい!」
た、頼もしい!みんな剣術頑張ってたもんな。
ナイフ術を習うのはフロージとヘディン、あとは新しい物好きのファンとグルートだ。
他は皆剣術を習うらしい。
「お?もう型ができてるな!なら実戦でやってみるか?」
「おー!やってみたい!」
「打ち合いですね!」
「おいおい危ないんじゃないか?」
「子供の打ち合いだぜ?保護者がいれば大丈夫だって。」
大丈夫かな~お兄ちゃん心配だわ~。
「よーしじゃあ適当に円を書いて、その中に入る!外に出たほうが負けなよーい!スタート!」
かんかんと剣が合わさる音が響く。
今はリボルとヴァイスが戦っている。
しばらく打ち合っていると結構熱くなっているのかオリジナル技なんかも飛び出してくる。
「うおー!リボルソード!」
「はー!十字切り!」
「うお!なかなかあぶねーな。」
危ないなら止めろー。
そしてなんやかんやあって、勝負はついた。
勝ったのは意外なことにヴァイスだった。
「やりました!カノイ様!」
「くっそー!負けたー!」
「おーえらいえらい。」
頭を撫でてやると二人とも素直に喜ぶから撫で甲斐がある。
よーしよしよし。
そんなことをしている間に試合は2戦目、ジェイルとエイルのペアだ。
こちらはこちらで実力が拮抗しているのか鏡写しのように打ち合いをしている。
うーむ、見ごたえがあるな。
その横ではフロージとヘディン、ファンとグルートがナイフの使い方を習っている。
「こう、クルクルっとできるとかっこいいだろ?」
「おー!かっこいい!」
「かっこいい!」
「えーできる?」
「できるできる。やってみな?」
「…………。」
「いやいやいや出来ないできないできない!」
危ないからやめなさい!
「おいおい見ててくれよカノイ様~!」
「ジェイルが勝ったところ見てなかったでしょ~!」
「おーよしよし、頑張ったなお前達、見てたみてた。」
頭を撫でつつ適当にいなす。正直みてなかったごめん。
次はトムとシュバルツの試合だ。
「よろしくね。」
「う、うん!よろしくね!」
「がんばれ~。二人共~。」
二人の打ち合いは確かめるようなゆっくりするものからどんどん速度を増していく。
ひょっとしたら今までで一番激しいかもしれない。
「はー!やー!せい!」
「おらおら!やれ!」
あれか、二人とも剣を持つと人格変わるタイプ?
なんかいつもより元気じゃない?
「そ、そこまで!両者引き分け!っというか早すぎ!もっと落ち着いて振ってみよう!」
そ、そうだよ。刀とかってもっとゆっくり振るものだよ。
え?実戦?怖いこと言うなよ。
そんな感じで剣術とナイフ術の授業は終わった。
なんとか怪我もなく終わってよかった。
魔法の授業はちょっと驚かれた。
「え!?初級魔法はもう使えるの!?え!独学で!?すっごい!」
ナンシーは驚きながらも中級魔法の使い方を教えてくれた。
「中級魔法はね、初級魔法の応用で、初級魔法より規模を大きく消費も大きくするイメージでOKよ。」
「おー呪文は同じでいいの?」
「変える人もいるみたいだけど、私はそのままかな~。あくまで呪文はイメージを固めるためのものだから。」
「おーなら、ウォーター!」
ばしゃーんっと大きな波ができる。ほ、ほんとに出来た。
「うおー!ファイア!」
「ライト!」
「ストーン!」
「ウィンド!」
続々と呪文を唱えていく。
注目するべきはシュバルツ、トム、グルートだ。
「えーっとダーク!」
「ウォーター!」
「アイス!」
そう!彼らの属性が判明した。
シュバルツは闇、トムは水、グルートは氷だ。
めちゃくちゃありがたい!
今年からはトムとグルートも冷気担当だ!
「すごいわ皆!中級魔法は初級魔法を数年極めないと到達できないのに!みんな頑張ってたのね。」
「やったね!伊達にプール作ってないぜ!」
「プール?」
私達は魔法の使い方について彼らに話したところ、
「え?嘘?それなら桶さえあればお風呂とかもできるかも?冒険中にお風呂!?」
思いのほかこんな使い方している人はいなかったらしい。
まぁ魔力に限りがあるしな。普通はしないか。
そんなこんなで冒険者の授業はしばらく続いた。
そのお礼もかねて彼らが王都に戻る日、私達は皆でお見送りをすることになった。
「よーしじゃあ皆いってらっしゃーい!」
「「「いってらっしゃーい!」」」
「ははは!いってきまーすってな。」
「ふふ、また来るね!」
「じゃあなカノイ!また先生やらせてくれよ!」
カノイ・マークガーフ、9歳、特別授業で一気にレベルアップした夏の出来事である。
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