第18話:登場人物紹介って本編ではあまり見かけないよね

4歳の誕生日の朝。


ふと思いいたってこの村の子供たちについて紹介してみようかと思う。


まずはファンについての紹介だ。


ちなみにファンの家には去年の秋に入ってすぐにトムという弟が生まれた。


ファンとトムである。


そういう意味かと思ったら、どうやら亡くなった祖父の名前がトムだったらしい。


襲名のほうか~。


ファンの家系は牧場を営んでいる。


なんでもカトブレパスを飼っているらしく、新鮮な牛乳や牛肉、豚肉を卸しているらしい。


牛に豚?と思う方はいるだろうか?


カトブレパスとは頭が豚で体が牛のモンスターである。


つまり頭付近の肉は豚肉、体の部分は牛肉なのだ。


何ともお得な生き物である。


だがその飼育方法はちょっと残酷だ。


なんせ目を潰しておかないと安全に飼育できないからである。


目、合わせると死んじゃうからね。


改めて、命をいただくということの大切さと食べ残しの残酷さを考えさせられる話である。


ちなみに彼らを追いかける担当の犬、のようなものはケルベロスだった。


ファンは特にケルベロスの飼育に秀でているらしく、移動はもっぱらケルベロス移動だ。


えぇ……なにそれこわい。


だが、慣れてみるとかわいいもので、森で取れた甘い果実を与えてやればたちまちへそ天上等のデレデレだった。


愛い奴め。


いつかはファンとトムの兄弟がこの村の食料供給を担っていくことだろう。


非常に重要な人材である。




次に双子の兄弟、ジェイルとエイルについて紹介しよう。


ジェイルとエイル兄弟は医者の家系と処刑人の家系のハイブリットだ。


処刑人、といってもこの村で罪を犯す人はほとんどいないのでやることと言ったらもっぱら外部から来た賊の処理である。


現代である嫌われている印象とは違い、お世話になっている人物としての印象のほうが強い。


ジェイルは6歳にして賊を捕まえる気概を見せているらしい。


そして医者として働くお爺さん、この村唯一の医者であり、今のところその娘であるジェイルとエイルの母親はその手伝いをしている形だ。


医者がいない村とか死の温床以外の何物でもないのでとにかく長生きしてほしい。


私達子供を取り上げた医者であり、父や母にとっての主治医であり、村にとっての宝、それがジェイルとエイルのお爺様だ。


エイルは特に医者としての勉強に熱心で、私達子供のした怪我の面倒を見るのももっぱらエイルの役割だ。


是非とも将来は高名な、いや高名過ぎると盗られるな。評判のいい村医者位になってほしい。


さて、そして新たに加わった仲間を紹介しよう!


グルート君0歳!私の誕生日のおおよそ10日前に生まれた赤子である。


生まれた時から特に大きな子供で御産が大変だったとかなんとか。


成長が楽しみである。


その家系の通り、優秀な戦士に育ってほしい。


グルート君の家系は戦士の家系、モンスター狩りを生業としている。


弓や罠で獲物を狙う狩人とは違い、真正面から大物を狙いに行くなかなかに激しいご家庭だ。


特に母親のリブさんはかなり大柄で力強い女性であり、戦士である。


うーん、将来有望だ。


リボルとヴァイス、シュバルツの家系は以前ご紹介した通り、高名な狩人の家系と神職の家系だ。


この子達の為にも、私は強く、そして長寿な領主にならなければならない。


生誕祭恒例の鬼ごっこをしながらそんなことを思う私なのであった。


カノイ・マークガーフ、4歳、自身の部下達の成長を祈る春の出来事である。

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