第15話:コントローラーって感覚的に理解できて偉大だ

翻訳作業が1ページ分くらい終わった。


つまるところ、ステータスのようなものが格納されている箱が大量にある状態だったらしい。


1ページだけでこの村全体の数値を操れるようになった。


ただ注意書きとして記載されている内容が重要だ。




※注意※


1.命の総数は決まっている。


失われた命は消えた分補充される。


追加された命の分だけ失われる命がある。




特に大切なのはこの項目だ。


モンスターとは何もないところから湧いて出てくることもある生物である。


つまるところ辻褄合わせのためにどこかしらから補充されている命がこの湧いて出るモンスターである、ということだ。


つまり、約1万の軍勢を消すと約1万のモンスターが生まれてしまう可能性があるのだ。


もちろんベビーラッシュで多少数が変動するなんてこともあるかもしれないが、おおむねこの理解で間違いないだろう。


力の使いどころはかなり考えたほうがいい。


ステータスやアイテムの総数もこの理論に当てはまるのだとしたらリソース管理が大切だ。


例えば、この力で栄えた国があれば、それだけ飢える国が出てくる。


例えば、この力で強くした兵がいれば、能力を失ってしまう人がいる。


代償があるのだ、どんなものにも。


当たり前といえば当たり前のことであるが、理解するのと実際に使ってみるのとでは話が違ってくる。


今、私の手に世界が握られているのだ。


こ、これは隠さねば。


こんな力持っていたら命がいくつあっても足りない!


絶対に使わないでおこう。


人にばれても駄目だ。


確実に利用しようとするやつが現れえる。


なんとしてでも隠し通さねば!


「カノイちゃ~ん!ごはんの時間よ~?」


「あ、はーい!」


母の声に我に返る。


そうだ、使わなければ何の問題もないのだ。


転生者であるという事実も今のところ誰にもばれてはいない。


つまり、秘密が一つ増えただけのことだ。


このことは墓場まで持っていこう……。


「今日のご飯はなに?」


「ルフのトマト煮とブレッチェン、根菜類のサラダでございます。」


「カノイ、早く席に着きなさい。料理が冷めてしまうよ?」


「はーい!」


うん、美味しいものでも食べて落ち着こう。


カノイ・マークガーフ、3歳、揺り籠から墓場まで持っていく秘密が増えた夏の出来事である。

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