大好きな女の子と何故かセフレになってしまいました...

田中又雄

第1話 セフレ

「...なんで、こうなっちゃったかな」


 大好きな女の子と初めてを終えた。

...本当なら喜んで舞い踊るはずだったが、むしろ俺は自暴自棄になっていた。


 俺たちは決して恋人関係ではなかったのだ。


「好きです!付き合ってください!」


 あの日、俺は彼女に告白したが、答えはNoだった。


 彼女の名前は敷島しきしま 乃乃華ののか

クラスでも一番可愛く、小学校からずっと同じクラスの女の子だった。


 性格はダウナー系というか、ローテンションであり、女子の友達もあまり多い方ではなかった。

【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093088787844844


 分かってはいたが、その答えを聞けて満足していた俺がいた。


 そのまま、泣きそうな気持ちを抑えて、その場を離れようとしたら、「付き合えないけど、セフレにならなってもいいよ?」と言われた。


 全く意味がわからず混乱していると、「最近、仲良くしていたセフレと縁が切れちゃって。だから、今空いているの」と言われた。


 その言葉にすごく嫉妬した。

そんな裏山かしらからんやつがいるのかと。

そして、もし俺が今断れば、きっと適当な人もそういう関係に...。


 想像するだけで嫌で、勝手に嫉妬した。

だから、そんな関係求めてもいないのに、彼女のその提案に首を縦に振ってしまった。


 そして、彼女の家で初めてを終えた。


 全部の動作がぎこちなくて、彼女に言われるがまましてしまった。


 そして、いざやってみると本当にあっけなくて、何も残らない感覚になった。

けど、彼女はそれなりに満足できたのか、「いつでもいいからね」と、この関係を継続するような発言をしたのだった。


 彼女を独占したいがために、俺は自分の気持ちを押し殺して、今好きな女の子のセフレをしているのだった。


 ◇


「...本当、彼女より先にセフレが出来るとかウケるな」と、友人の牧田は笑う。


「...うけねーよ。やるたびにMPが削られていく感じがする。自然治癒しないし」

「でも、いいじゃん。もし、その関係が終われば、彼女は他の男とするだけなんだから。ここから好きになってもらえるように努力するとか、それしかないっしょ」


 好きになってもらえるようにって...。

一体、何をすればいいんだろうか。


 この前だって、頑張って話を盛り上げようとしたが、彼女はずっとつまらなさそうな顔をしていた。


 根本的に合わないのだ、性格は。

しかし、体の相性はかなり良いようだ。


「お前も割り切っちゃうとか?そんで、その間に好きな子を探す!的な?」

「そんな器用な人間に見えるか?」

「見えないなw」

「笑ってんじゃねーよ」


 そんなやりとりをしながら、どうにかできないかと作戦会議をする。


「デートに誘ってみたら?」

「...一回誘ったけど、そういうのは面倒。だから彼氏も作らないのって言われたんだよ」

「...変わってるな、敷島さん」


 そう、変わっている。

きっと、だからこそ、この関係がいつまで続くのか不安だった。


 いきなり捨てられでもしたら、それこそ本当に自殺しかねないほど落ち込むだろう。


「...はぁ...どうしよう」


 これが全ての始まりであった。

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