合コンで可愛すぎて余った女子とモテなくて余った俺が1年限定で付き合うことになった

田中又雄

第1話 出会いと宣告

「合コン来る?」


 大学の友人からの突然のお誘い。


 高校時代には恋愛のれの字ほどの気配もなかったわけだが、大学に入って2年...。

いよいよ俺にも大学生らしい展開がやってきたと心が躍る。


「う、うん。行く...」

「おっけー。ちなみに悠介も来て3対3でやるからー」


 後で知ることになるのだが、実は本当は別の人を誘っていたようなのだが、急遽都合が悪くなったらしく、人数合わせとして呼ばれただけであった。


 そんなことも梅雨知らず、自分にもチャンスが来たかと心を躍らせながら、合コンに向かった。


 ◇


 真新しい服に真新しいパンツ。

よく分からんがそれっぽい服をマネキン買いした甲斐があったなと、少し自信満々で合コン会場に到着。


 すると、15分前なのに既に全員が集まっており、楽しく話をしていた。


 その時点で嫌な予感はしていた。


 時間前だったが、どうやら女子グループはここにくる前にすでに遊んでいたようで、少し早めに到着し、友人の2人もたまたま早く着いていたため、話していたとか...。


 ラストに来た男子がハズレ枠ということもあってか、女子からの刺さるような視線が痛い。


 その後のことは語るまでもないのだが、男子2人の盛り上がる自己紹介と、対照的に事務的な自己紹介の俺。


 ほとんど、2対3のような構図となっており、ここにきたことも後悔しつつ、早く家に帰りたいという気持ちだけで溢れていた。


 そうして、ようやく1件目が終わると、そのまま2件目に移る。


 本当は適当に理由をつけて帰ろうとしたのだが、ここで帰ったら他の2人にも迷惑をかけることになりそうだったので、苦笑いしながらも何とかついていった。


 落ち着いた雰囲気のバーに入り、個室で静かに盛り上がり、お店を出た後、男女二組は既にカップル成立したようで、楽しそうに会話していた。


「それじゃあ、ここで解散ってことで!」と、二組のカップルは駅とは反対側の繁華街に消えていった。


 そんな中、俺と同じく余ったのは一際可愛く、圧倒的ビジュアルと圧倒的なスタイルを放っていた女の子であった。


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093088903039915


 まぁ、彼女の余った理由はあまりにも可愛すぎるが故にということであり、俺が余ったのはコミュ力の低さとノリの悪さに加えて顔面偏差値が足りてない故であり、同じ余ったでもその意味は全く異なっていた。


 名前は...桂木春奈さんだったか。


「...あの...帰りましょうか」と、恐らく駅までは一緒だったので、一応そう声をかけると「うん。そうだね、帰ろっか」と、優しく微笑んでそう言った。


 まぁ、彼女レベルからすれば今回の合コンはハズレ合コンだったのは間違いない。

それに最後には大外れの余り物と一緒に歩いているとか、最悪極まりないだろう。


 そう思った故に少し離れて歩いていると、「お姉さん可愛いね〜。ね、俺たちと遊ばない?」と、ヤンキー風の20代前半の男と思われる3人組に話しかけられる。


 まじかよ、やばいな。

いや、でも俺は助けるべきなのか?

別に彼女とはここで終わるだけの関係であり、下手すればこの男たちと遊んだ方が...。


 しかし、彼女の顔は明らかに迷惑そうで、さっき見せてくれた愛想笑いの優しい微笑みすらなかった。


 まぁ、もう会わないからこそ最後くらいカッコつけるか。

そう思って、彼女の手を取って、「あの、俺の彼女なんで!」と、目を合わせないままそういって無理やり彼女の手を引っ張った。


 すると、抵抗することもなく、俺の後をついてくる。


 あーごめんなさい、こんな芋男が手を握って...。


 そうして、なんだかんだ手を離すタイミングを失って、駅までそのまま到着してしまう。


「...あっ、ご、ごめんなさい」と、手を離す。

ちょっと、汗ばんでいたこともあり、余計に申し訳なくなる。


 すると、彼女は開口一番こう言った。


「私たち付き合おっか」

「...え?」と、理解できずに聞き返す。


 すると、彼女は当たり前のように、「でも、1年限定ね。私、1年後に死ぬから」と言い放った。


 理解はできなかったものの、俺は首を縦に振ってしまったのだった。

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合コンで可愛すぎて余った女子とモテなくて余った俺が1年限定で付き合うことになった 田中又雄 @tanakamatao01

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