溶け切る前に閉じ込めて

配信者N。

私が推している一人だ。


この人が幸せだって笑ってるところが好きだ。

つらいなら、一度休んでほしい。

でも、楽しんでいるならば、画面のこちら側なんて気にせずにどんどんやりたいことをやってほしい。


Nへの気持ちは、一言では言い表す事ができないほどに大きい。

どうかずっと楽しそうに笑っていてほしいという愛。

多彩で、人を楽しませられる才能への強烈な憧れ。

このひとを守りたい、という強い庇護欲。


ふわふわと綿あめのように甘くて柔らかい感情を、そっと咀嚼する。


全部飲み込んだあと、それが心の奥底に溜まっていって、次第にどろどろとした澱のように変化していくのを、自分でも感じていた。


「私を見て。私と話して。私を分かって。」


暗い澱の中に沈んでいる自分が、そう叫ぶ声を聞く。


そんなふうに思いたくはない。

砂糖が残っている限り、温めさえすれば綿あめはまだ湧き出てくるのだ。

温めれば甘くとろけて、また「あなたを愛したい」という純粋な気持ちが湧き出てくるはずだ。


だから、画面のこちら側から近付きすぎて、怖がらせたくはない。引かれたくない。

でも最初に、一視聴者というラインを超えるという選択肢を取ったのは私。自分でそれを超えたのなら、その距離を徹底的に守るべきだ。


「あなたが楽しそうに語るその場所を知っているよ。その食べ物を知っているよ。あなたのすぐ近くにいるよ。」


そうやって無邪気に叫ぶ澱の底に向かって、「調子に乗るな」と戒めの声を投げつける。

お前なんか、出てきてはいけない。それを見せるなんて、とんでもない。


今日も私は、残り少ない砂糖の代わりを探しに、インターネットに潜る。

楽しそうな、嬉しそうなあなたの声を聞いて、姿を見て、心にほんの少しだけそれを補充する。

そのわずかな甘さを、明日の朝まで大切に温めておこう。


そうすればまた、心穏やかに、あなたに話しかけられる気がするから。

お話はまた明日。おやすみなさい。

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