第56話 愛の力は無限大!?

 遂にグランドストリートのボス、マリエスとのファイナルラウンドが始まる。 禍々しい霧を放つ彼女。 私たちはその霧の中で決戦となる。


「さぁ、かかって来なさい。 どの道、貴方たちに勝ち目など無いのは分かっていますが、すぐに殺してはつまらないので遊んで上げましょう。」


 マリエスは莫大な魔力を放出して空の上に巨大な闇の大穴を作り出した。 


「貴方達は今宵、魔獣王誕生の生贄となるのだッ!!」


 彼女の笑顔から見える眼の瞳孔は真っ赤に妖しく、輝いている。 とても薄気味悪いが、でもそれでもなぜか私はそんな彼女の表情を見て自分自身も笑顔になってしまった。


「怖いのに何か不思議な感覚になる……。 まるで……。」


 オランチアは恐怖の中に何かどす黒い欲望が芽生えたような感覚に襲われる。 胸がバクバクと震えるが、それでもマリエスに立ち向かう。


「オランチアッ!! 何を釣られて笑っていますのッ!! 恐怖にも負けずに戦うのが魔法少女ですのよッ!!」


 アリシアはすぐに魔動技を使い、空から大砲を呼び出した。 右手の人差し指を上に向けて、まるで合図を出すかのように大声で叫んだ。


「天気の将軍ッ!!」


 彼女が魔動技を使用すると空の上から不思議な空間が生まれ、そこから巨大な艦砲が続々と姿を現す。 その艦砲はマリエスの方に向き、彼女に向かって指を下すと一斉に発射される。


「さあ、喰らって下さいますのよッ!!」


 アリシアの射撃がマリエスに一気に襲い掛かる。 彼女の攻撃が勢いよく、炸裂するがマリエスはそのまま避けずに射撃の弾の餌食にされる。 


「思った以上に簡単に当たりましたわね。」


「ふふふ……。 あなたの銃撃、その程度なのかしら……。」


 マリエスはアリシアが打ってきた弾を全て喰らったがほぼ無傷である。 彼女にとって、三級魔法少女の技など痛くも痒くもないくらいに肉体が強化されてしまった。


「あははッ!! あなたなんて今の私では話にならないわ!」


 マリエスがそう語ると口から炎のブレスを吐いて、マリエスを焼き尽くそうとする。 その火力は近くを火の海に変える程のものである。


「キャァァァァァァァアアアアアアアアアア!!」


 悲鳴を上げながら炎熱に焼かれるアリシア。 すぐにマスカリーナが彼女に向かって水の魔動技で助けに行く。 私も彼女を助けに行きたいのは山々だが、私はキリカの心配をして彼女の回復に専念をしていたのですぐに彼女を助けには行けなかった。


「うっぐ……。 オランチア……。 私よりもアリシアを優先……して……。」


 キリカは自分よりもアリシアの心配をする。 

 大丈夫……。 アリシアもキリカも私達が守るから……。


「テメエェ!! 許さねぇぞ、ウォン!!」


 ドコニは自身に複数の魔動技を使い、マリエスに戦いを挑む。 ドコニの表情は本気で戦う覚悟が決まっている戦士の顔だ。


「ぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!」


 ドコニはそう言うと、オランチアとマスカリーナに何か合図を送るようなジェスチャーを取った。 ドコニは物凄い力を振り絞り、マリエスに飛んで直行する。


「喰らいやがれッ!! 光悦の幻ッ!!」


 残りの全ての力で挑むつもりだ。 彼女の本気で戦う姿を私は見たことがない。 

 互いの命を賭けた壮絶な死闘が始まるというのか……。


「さあ、わてのぉ!! 更なる高みを見せてやるよぉ!! うぉん!!」


「かかってきなァ!!」


 ドコニとマリエスは私の足では到底ついて来れないような速さで互いに殴り合う。  あまりにも早くて私ではあの二人では絶対に敵わないということを心身ともに分からされる。


 ドコニが使った魔動技、光悦の幻は自分の形をした光を作り出して、その光を分身として戦わせることができる能力であるということが彼女の戦い方を見ていて分かる。


 とりあえず、私は二人が戦っている間にキリカの身体を癒すことに専念する。 

 キリカを癒すとすぐに私はアリシアのところに行き、彼女の肉体も癒す。


「アリシアちゃんッ!! 大丈夫!?」


 私はアリシアに回復を施し、彼女は息を吹き返した。

 しかし、彼女は圧倒的な差で敗北をしてしまったため、戦意を喪失してしまった。


 ドコニはマリエスと目にも止まらない速さで戦いを続けているが、アリシアとキリカが無事であることに気づくと更にこちらに僅かな間だがジェスチャーを取る。


 彼女は何か秘策を考えているのか……?

 いや、おかしい……。

 まるで私に何かを託すかのような……。


「私にできること……。」


 オランチアは仲間をサポートする以外にできることがあるか考える。 周りも彼女のジェスチャーが何を意味しているのか頭の中で考え始めた。


「恐らく、私達が何かしらの方法を用いてマリエスの行動を封じることができるのを期待しているのではないか?」


 オランチアは何かを考えてみるが、マリエスを倒す手段は見当たらない。

 彼女にもし、ビームを当てたら人形に変化させることができるのではと考えたが、あの速さだと避けられて終わりではと……。


「ふふふ……。 もうあなたも私の敵ではないわ。 さっさとくたばりなさい。」


「ぐっわぁ、ぁぁ、あッ。」


 強化されたマリエスの圧倒的な強さによって、ドコニは追い詰められていた。 マリエスは水鉄砲を手で作り、不思議な炎と水が水鉄砲から噴射されている。 


「うはははッ!! シン水瓶座の時代ッ!!」


 マリエスが愛用しているオリジナル技は更に強化されており、その水鉄砲の弾は炎と水が混ざり合い、ドコニを追尾するように凄まじい勢いで飛んでいく。 


「こっちに来るなァ!!」


 足に全身の力を込めて思い切り飛んでいくドコニ。 まるで空を飛ぶように滑空しながら、ドコニはマリエスのいる方向から真逆の方向に進んでいった。

 彼女はもう一度、私たちに笑顔で「ほな! さいならァ!」とでも言うかのようなジェスチャー送る。


「っておいッ!?」


 キリカはまるで逃げようと飛んでいくドコニに対して叫んで戻ってくるように呼び止め、普段は温厚なアリシアもブチ切れた表情になった。


「私を置いてお逃げになるつもり!? 死んでも怨念として出てきますわよッ!?」


 しかし、それでもドコニはその場をどんどん離れていき、私たちの肉眼からは確認できないくらいの距離へと消えていく。 マリエスは自分から逃げたドコニを確認すると、ニヤリと笑い、今度はこちらにやってきた。


「クスクス……。 あのおばさん可愛い部下を置いて逃げ出すなんてぇ……。 なんて酷い方なのかしらねぇ……。」


 マリエスは私たちに前に少しずつ近づいてくる。 きっと私たちをいたぶり殺すつもりなのであろう。 私たち四人は一斉に攻撃をする構えを取る。

 圧倒的な戦闘力を持つ相手に戦いを挑んだところで負けるのは確定。


 私はここを切り抜く方法を死に物狂いで考え、彼女に会話を持ちかけた。 


「あ……。 あの私のビームを受けても人形にならない……ですか……?」


 オランチアは最後の切り札として彼女にハートビームのポーズを見せる。

 マリエスは私の構えを見て馬鹿にしたような笑い方で人差し指を向けてきた。


「あっははははははは、ぷっ、クスクス!!」


 こいつ完全に私を馬鹿にしている。 私は彼女とまともに戦っても勝てないことは分かるがこんな態度を取られると攻撃を嚙ましたくなる。 しかし、ここは彼女の挑発には乗ってはいけない。 敢えてここを切り抜く方向に持っていこう!!


「おいッ!! オランチアに危害を加えるなッ!!」


「キリカちゃんッ!! ここは私に任せて!!」


 私はキリカに挑発に乗らないように仕向ける。 他の二人もオランチアの言葉を聞いて、攻撃を仕掛ける素振りを控えた。


「あの、マリエス……さん? 私のこの技、ちょっと特殊だけど耐えることができる?」


「どうせ、今日で終える命……最期ぐらい魔法少女として活躍させて上げるわ、キヒッ!」


 不気味な笑みを見せるマリエス。 特級魔法少女にすら圧倒的な火力で勝てる彼女にとっては、私たち三級はただの虫けらにしか見えていないようだ。


「キヒヒッ!! 逃げることも私に傷一つ付けられることも不可能ですから思う存分攻撃をしてみなさいッ!!」


 大冥獣の巨大な力を持て余すマリエス。 最後のチャンスを私にくれたので、やけくそで私の奥義をため込んで発射した。


「いっけぇ!! マジカル♡ハートビームッ!!」


 ピンク色の艶のあるオーラと共にマリエスを包み込むようにハートビームが炸裂する。 マリエスは何も防御の構えを取らずにそのまま受け流す。 私のハートビームでもどうやら、まともな攻撃にならないようだ。


「キャハハハハハッ!! 最高傑作だッ!! お前は無能だ! 使い物にならない技を自身の奥義として使うとは! しかもッ!! しかも何も魔力を感じない魔動技・・・・・・・・・・・・を魔動技などと呼ぶとはヒック、……キャハハハハッ!!」


 マリエスは完全にオランチアを徹底的に罵ると手の爪を研がらせて私の息の根を止めにおそいかかってきた!!


「さあ、ここでくたばりやがれぇぇぇえええ!!」


 あぁ……これが魔法少女としての人生……。 短い第二の人生だったが楽しかったな……。


 オランチアは自分の死を受け入れ、目を瞑り、両手を斜め上に広げた。

 

 人生の終わりとはこんなものなのだろうか……。

 私は頭の中で自分の人生を振りえる言わば、走馬灯の中を駆け巡っている。

 


 ……。


 …………。


 ………………?


 目を瞑っていても、痛みを感じなかったために、私はゆっくりと目を開ける。


「あっ、あれ?」


 そこにいたのは攻撃をしようとするがそれを中断するマリエスであった。

 私は驚いて、すぐにその場から身を二歩、後ろ歩きをした。


「っくッ!! なぜッ!? 体が言うことを聞かないぞッ!!」


 マリエスは攻撃を仕掛けようとするポーズを解除してすぐに周りを警戒する。

 キリカやマスカリーナ、アリシアも何が起きたのか分からず、この状況に動揺している。 


「ど……どういうこと!?」


「オランチアッ!! 今の技は一体何だ!?」


「あなたそんな技を隠し持っていたのですわね……。」


 三人はマリエスの身体の自由が効かなくなっている隙に一斉に攻撃を加える。 攻撃手段はそれぞれの持っている最大火力の技だった。


「爆裂斬ッ!!」


「ニューフィーリングッ!!」


「ピレンツェの五斜塔ッ!!」


 それぞれの溜め技が同時に炸裂すると、マリエスは少し痛みを受けた表情になり、しっかりと攻撃が効いていることが確認できた。


「へぇ、無敵の力って程でも無いんだね。」


「きィッ!!」


 マリエスは私たちを侮っていたことで体に少し傷がついてしまったことにいら立った態度を取り、凄まじい波動を全身から放ち始めた。


「あっ、これはやば。」


 マリエスの怒りの衝撃波攻撃が周辺に炸裂する。 この衝撃波で周りの道は無秩序な瓦礫の山に変貌し、私たちもその衝撃波に吹き飛ばされて全身から血が溢れ出していく。


「あ……あ、あぁぁぁあああああああああ!」


「あ、はっ、はあ、うわあああああああ!!」


「ぎゃっ、ぎああぁぁああああああ!」


「うが、あぁぁあああああああ!?」


 四人とも防御の構えを取ったが、致命傷の傷を避けることができずにそのまま地面に這いつくばるように倒れる。 


「こ、これがマリエスの本当の力……。 なすすべ無し……。」


 私は思わず、敗北宣言をしながら絶望の中で頭がいっぱいになる。 こんな状況ではもう勝てない。 そう、これが本当の敗北だということか……。


「さあ、もう終わりにしましょうッ!!」


 マリエスはもう戦いを終わらせるつもりで私たちにトドメの一撃を与えようとする。 最後の抵抗をするために私はもう一度、立ち上がろうとするがもう間に合わないであろう。


「地獄に落ちろぉぉぉぉぉおお!!!」


 マリエスが攻撃をしようとしたその時、彼女の真上から一直線でレーザーが飛んできて、マリエスの肉体をぶち抜いた。 私も大きな音が聞こえてきて驚いたので慌てて上に顔を向ける。 そうすると、体力を完全に回復させたドコニが自身満々な顔で上から飛んできた。


「ふわっと、生き返ったぜぇッ!!」


 ドコニはそのまま私のところにやってきて、今の状況について何か打開の手段はないかとドコニは訪ねてきた。


「実はさっき、本部まで行ってたんやが、回復するための道具が中々見つからなかったんだわぁ……。 まあ、無事に体力全開もできたからよぉ、こっからが逆転になるぜぇ。」


 こいつ、私たちを置いて、自分だけ回復しに行ってたのかよ。

 とは言え、私もこの状況を打開しなければならない。


「実は……はぁはぁ……さっきね……人形にする魔法が少しだけ通じたの……。」


 私がドコニ自分の能力を明かすとドコニは何かを閃いたかのように質問をする。


「おいッ! その人形にする魔法ってどういう魔法だ?」


「どういうって言われてもビームを当てると人形にすることができる魔動技……。」


 ドコニは何かを閃いたらしく、魔力の回復薬をすぐに倒れているオランチアの口の中に流し込む。 オランチアはそのまま、苦しくなったが口の中にそのまま液体が入っていった。


「また戻ってくるなんて命知らずねぇ。 でも、これで終わりかしら……。」


 マリエスは溜まってきたエネルギーでレーザーできた肉体の穴を完全に再生させ、大きな弾で攻撃を仕掛けていこうとする。 しかし、回復してこっから潰しにかかろうとする彼女の側に爆弾が飛んできてその攻撃は一旦中断される。


「って、誰だッ!!」


「まさか、私達がまたやられているとでも……?」


 マスカリーナが自分を含めた四人に予め、自然治癒の魔動技を使っていたため、致命傷になっても自動で肉体の傷を治していた。 マスカリーナやキリカ、アリシアの三人もすぐにオランチアとドコニの方に近づく。


「くっそぉッ!! 虫けらの癖にお前ら邪魔しやがってよぉッ!!」


 マリエスは完全にキレ始めている。 何か大きな光線を放つ気でいるのは事実だが、私たちもそれに対抗しなければならない。


「おいッ!! その人形にできるビームというのはみんながぁ力を合わせれば威力は倍増したりするのか?」


 ドコニはオランチアに最後の希望を託す。 特級でも勝てない相手にどうして私が勝てるのかとツッコミを入れたくなるがやるしかない。


「私がマジカル♡ハートビームって言って、ビームを撃ち始めたらみんなも私のビームに魔力を全力を込めて送ってみて!! あっ、後ね。 この技、魔力で使う技じゃなくて強い気持ちや心込めて撃つと威力が倍増するってことに気づいちゃった!!」


 オランチアがもう一度、マリエスに向かって両手でハートを作って構える。 マリエスはそれを見て、すぐに私に殴りに飛んできた。


「もうそんなふざけた技、二度と使わせてたまるかァ!!」


「くッ!! ビームを撃つまで間に合わないッ!!」


 オランチアが必死に力をためようとすると、ドコニやマスカリーナも彼女に自身の力を分け与えようとする。 しかし、この力は魔力ではなかった。


「お前さんの想い、わても込めるで……。」


「私の想いも奴を倒したいという気持ち一心だッ!!」


「オランチアの想いに私も答えるよッ!!」


「あなたを普通の方だと思っていましたが、まさか特別な力を持っていた方なのですわね!! いいですわッ!! 力を貸しましょう!!」


 四人がオランチアの真似をして両手でハートを作り、襲い掛かってくるマリエスに向かってビームを飛ばす。 ビームを受けたマリエスはまた肉体の動きが封じられたのか少しだけ動きを止めることができる。


「な、なぜみんなが私の技が使えるのッ!?」


「いや、それは分かんねぇわ。」


 みんなは何故か私のマジカル♡ハートビームが使えるようになるが、そんなことを気にしている暇は今はない。  私は全ての力を込めて奴にマジカル♡ハートビームを注ぎ込むんだッ!!


「さあ、私の最強の必殺技……今度はフルパワーで喰らっちゃいなッ!!」


 オランチアのマジカル♡ハートビームはみんなの想いと合わさり、急速に力が上昇していく。 自分自身でも抑えきれないくらいのパワーが溜まったハートビームをマリエスに向かって発射した。


「いっけっぇぇええぇええええええええええ!!」


 オランチアのマジカル♡ハートビームをマリエスは行動を封じられて避けきることはできない。 マリエスはそのまま、ビームの餌食になる。 


「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおこうなったら私も魔力を全部込めたビームで返り内にしてくれるわぁぁぁぁああああああああああ!!!」


 マリエスは全力で全身に込めた闇に満ちたビームを放ってきた。 私もこんな巨大で凄まじい威力のビームを見たことがなく、拍子抜けである。


「くっそぉ、あのbba本当に怪物じゃねぇかよ、うぉん(゚Д゚;)」


 ドコニも全ての力を込めて押し返されずに一歩足を前に出して少しずつマリエスのほうに向かって歩いていく。 その様子を見た他の三人もドコニと同じように一歩ずつ前に前進していく。


「オランチアが私にくれたパワーを無駄にはせん!!」


「こんなところで負けてたまるかッ!!」


「私もここで終わりませんのよ。」


 みんなが一つになって、悪の組織のボスに立ち向かっている。 私も頑張らなくちゃ!!


「愛の力は無限大ッ!! マジカル♡ハートビームッ!!」


 私はこれから人形に変えようと思っているマリエスを自分の人形にしようという気持ちが湧かなかったが、今では何故か彼女をこの愛の力で満たして上げようと心が傾いている。 なぜだろう……。 これが私に与えられた力だからなのかな……。


「こ、こんなところでぇぇえ終わりなんて嫌だァ!! 私は世界に認められる天才に文字通りなるのよぉぉぉぉおおおおおおお!!!!」


 マリエスは自身のビームに物凄い力を込めて私たちの力をかき消そうとする。

 しかし、徐々に圧倒的に格上であったはずのマリエスのビームの威力の方が先にかき消され始めていき、私たち五人の魔法少女の力が完全にマリエスを押し返す形になっていた。


「さあ、そろそろケリをつけるよ!! みんなの力が今、ここに一つになる時が来たッ!!」


 ちょっとカッコ付けた台詞吐いちゃったけど、なんかあまり恥ずかしくないかも……。 寧ろこんな台詞吐いて楽しんじゃってる私……。


「うわぁ、そんなァ、世界を手にれる力がこんな輩によって打ち砕かれるとはッ!! あぁ、ぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!」


 そして、私たちのビームが冥獣王マリエスのビームを完全に打ち消して、そのまま本体に直撃するッ!! マリエスは自分が三級に負けたことを恥じながら人形へと姿を変化したのである。


「やった……。 やったよぉぉぉぉおおおおおおおおお!!」


 マジカル♡ハートビームによって眩しく輝いていた周りの景色。 その景色はさっきまでの禍々しい空の空気ごと消えていく。 ついにこの戦いに終止符が打たれたのである。








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