第37話 関東区南部攻略

 オランチア達はマジカルネイションズセンターから関東区南部の郊外にあるグランドストリートのアジトに向かうよう指示された。

 向かうチームはレーモンチームとドコニチームのオランチアとアリシア、マスカリーナの計10人である。


「ねぇ。 次に攻め込む場所は関東区南部の中でも、組織の本部に近い場所らしいよ? 本部に近いってことはそれなりに敵の戦力も多いんじゃない?」


 オランチアがそう言うが、他のメンバーはしっかりと戦う準備を整えて、戦いに行く支度を終えた。


「オランチア。 私達は命をかけてこの国を守るんだ。 そんなことを言っている暇はないぞ。」


「まあ、そだけどぉ……。」


 これから、グランドストリートの郊外に行く。

 本格的な戦いになるだろうね。



◇ ◇ ◇



 オランチア達がそこに行くと、とても古びた住宅街があった。

 近くにも人がいるが、とても蒸すぼらしい雰囲気が漂う。


「ここにグランドストリートのアジトがあるって本当? 確かに何か悪い人が隠れる場所としては都合が良いと思うんだけど……。」


 オランチアはレーモンチームの人たちにそう言う。

 

「いや、こう言ったところに彼らは暗躍しているんだよ。 オランチアもこの辺は警戒しといた方がいい。」


 レーモン達と共に補欠枠のマスカリーナも参加することになったのだが、今回はあまり戦闘に発展するようなことが起こらないまま、時間が過ぎていった。


「そう言えばさ、オランチアはこの前のゴーストタウンと事務所襲撃した時は切羽詰まった?」


 マスカリーナが私に対して、そう言う。

 彼女は私と違い、補欠のため、今までの活躍がどのように行なわれていたか知らない。


「う~ん。 結構怖い体験をしたと言えば、したのだけど私自身は命を失うと言えるまでの経験はまだしてないかなぁ……。」


「そうなの。」


 マスカリーナは少し気分がどんよりしている。

 そんなに補欠を引きずっているのかな?


「おーい!! みんなっ!!」


 他のメンバーの声が聞こえる。

 何かあったのだろうか。


「どうしたの!!」


 私達はすぐにレーモンのところに駆けつける。

 どうやら、先ほどこの地域の住宅街にグランドストリートの構成員と思われる魔獣者がいたとの報告が届いた。


「魔獣者がこの街の中に潜んでいるのか!!」


 私達は一般人の振りをしながらも近くに敵がいないかを確認しながら探索をすることになった。


「そう言えば、オランチアって、私達の前では元の姿に変身しないよね。 理由とかってある?」


「ふへえっ!? 別に特に理由なんてないよ!!」


「じゃあ、今ここで元の姿に戻ってもいいんじゃない?」


「そ……。 それはですねぇ……。」


 イヤん……。 流石にこんなところで変身解除は……。 

 モジモジしちゃう……。


 オランチアがそんな態度で会話をしていると、近くに何人か怪しげなフードを被った人たちが近くにいることに気づいた。


「みんな少し気をつけて……。」


 レーモンは周りの仲間に合図を送る。

 するとフードを被った人たちも警戒されていることに気が付いたのか、私達の方を眺めてこちらに何か合図を送る。

 

「おい。 お前ら組織の用心棒か?」


 フードを被っている連中のリーダーとも言えるような立場の人が私たちに声をかける。 声は十代後半の若い女性。 悪の組織のリーダーってもっと歳の言ってそうな感じがするけど、実際には若い人もいるのかな?


「私達はマジカルネイションズセンターもとい政府の公認の機関で働いている戦士達だ。」


「そうか。 なら、ここを今すぐ立ち去るべきだな。」


 リーダーと思わしき人物は私たちにそう言い、今すぐここを去るよう命じてくる。  

 やはり、この人達も組織のメンバーなのだろう。


「お前たちはグランドストリートの構成員だろ!? ここを立ち去るのはお前たちの方だ!!」


 そう言うと、その女性は呆れた顔で他の構成員と共にそのまま去っていこうとする。 どうやら、この土地はそのまま返してくれるということなのだろうか……。


「確かにグランドストリートの構成員というのは間違っちゃいねぇけどよ。 私自身はこんなところ奪還されたくらい何も痛くはねぇんだ。」


 そのままグランドストリートの構成員たちはこの街を去って行ったが、私はあの女性の顔を少しだけ眺めることができた。 髪型は金髪でロング、目は赤い瞳、肌もちょっと褐色肌でどことなく、リベアナの美女版という雰囲気だった。


 あれ? もしかして、リベアナのお姉ちゃんってあの人……!?



 

 


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