ジネットの携帯電話
レイチェルがアレックスの元に戻ると、彼女は手元の何かを見ていた。レイチェルが視線で何かとたずねると、アレックスが答えた。
「ジネットの携帯電話よ。これからレイチェルの携帯電話にジネットの電話番号をいれてもらうわ」
レイチェルは何故アレックスがそのような事をするのかわからず首をかしげた。アレックスが携帯電話に視線を戻しながら言った。彼女の手元を見ると皮の手袋をしていた。どうやらジネットの携帯電話の暗証番号を解除しようとしているらしい。
「レイチェルにはジネットの友達として警察に電話してもらう。早くジネットたちを家族の元に返さないとね。できた、」
どうやらアレックスはジネットの四桁の暗証番号を解いてしまったらしい。レイチェルは着替えたジーンズの後ろから自身の携帯電話を取り出した。
アレックスは素早くレイチェルの携帯電話にジネットのアドレスを送信した。
「じゃあ、ジネットの携帯に電話すればいいのね?」
「ここじゃダメよ。このロッジに向かう途中、深夜営業のレストランがあったでしょう?そこでジネットの携帯に電話しなさい」
「わかったわ。じゃあ行きましょう?」
レイチェルはアレックスが車でレストランまで連れて行ってくれると思っていた。だが予想は大きくはずれていた。
「何言ってるの?レイチェルは自分の能力で飛んで行くの」
「ええ?!レストランまで五キロは離れてるわよ?!私すごく疲れてるんだけど!」
「だったら早く行きなさい?空を飛んでいるのを見られたらフライングヒューマノイドだってSNSにあげられるわよ?」
「人使い荒い!」
「仕方ないでしょう?ジネットはもう電話を受けてくれないんだから」
レイチェルはぶつくさ文句を言いながら空中に浮かび上がった。アレックスはそうそう、呼び止めて言った。
「レイチェル、川を見つけたら手を洗いなさい。血まみれよ?後ニットの帽子をかぶりなさい。髪の毛にも血がこびりついているから」
レイチェルはジト目でアレックスを見てから、一旦ジープに戻り、赤いニット帽をかぶって空に飛び上がった。
上空高く飛ぶと、風が強くて寒い。上着を持ってくればよかったと後悔した。だが取りに帰っているヒマはない。
空を飛んでいるところ見られては、大騒ぎになってしまう。途中川を見つけて手を洗い、ひたすら車道を飛んだ。
ようやく目的地のレストランが見えてきた。レイチェルは辺りに人がいないのを確認してから地上に着地した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます