謎の老人
これではりんごが食べられない。パティはチャーミーにもう一度お願いをした。バナナを作って、と。
チャーミーはニャッと鳴いて、前脚で地面をつついた。するとニョキニョキと木が伸びて、先がとがった葉が生えた。次に黄色い果実のふさが育った。
ピンキーはバナナのひとふさを取ってくれた。パティはバナナの皮をむいて、老人に手渡すと、老人はものすごい勢いでバナナを食べ出した。
一本のバナナを食べ終わると、バナナのふさを抱えこんで食べ出した。あまりにも勢いよく食べるのでのどにつまらせてしまった。
パティは慌ててアクアにお願いして、コップに水を注いでもらった。老人はコップの水を一気に飲み干すと、再びバナナにかぶりついた。
老人はバナナをすべて食べ終わると、ようやくため息をもらした。
「ああ、ようやくひと心地ついたわい。娘さん、世話になったのぉ」
老人はパティに向かって頭を下げた。パティは慌てて老人に頭をあげるようにお願いした。老人はパティとマックスたちをしげしげと見ながら言った。
「時に娘さん、側にいる動物たちは不思議な魔法を使うのぉ。娘さんの魔法は動物をテイムする魔法かの?」
「いいえ。私の魔法は《フレンド》。マックスとチャーミーとピンキーとアクアは私のお友達なんです」
パティは老人に、マックスは火魔法、チャーミーは土魔法、ピンキーは風魔法、アクアは水魔法が使える事を説明した。老人は驚いた顔でマックスたちを見た。
会話の流れで、パティは老人に質問した。老人の魔法は何なのか、と。老人は歯切れ悪そうに答えた。
「わしの魔法はの、《不死》じゃ」
老人の答えに、パティはハッと息を飲んだ。パティは神さまから魔法を授かる時、学校で厳しい注意事項を受けた。
人を呪ったり、殺したりするような魔法は願わない事。そして、決して不老不死を願わない事。
パティは、バツの悪そうな老人の顔をうかがいながら質問した。
「おじいさんは今おいくつなんですか?」
「・・・、わしは二百の歳を数えてから、もう数える事をやめてしまったのじゃ。わしは今いくつになるのか、自分でもわからん」
「・・・。おじいさんは、何故不老も一緒にお願いしなかったんですか?」
パティの続いての質問に、老人は少し笑って言った。
「娘さん、不老不死を神に願うと、一体どのくらいの年齢で成長がとまると思う?」
「え?そうですね、十八歳か、二十歳くらいでとまるのではないでしょうか」
「そうはいかないのじゃ。不老不死は禁忌の魔法じゃ。神は愚かな者を許さなかった。娘さん、魔法は何歳で授かる?」
「!。まさか、十歳のまま不老不死に?!」
パティは驚いて老人を見つめた。老人は微笑んでうなずいた。
「その通りじゃ。不老不死を願ったものは、十歳の子供のまま永遠に生き続ける運命なのじゃ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます