出会い
パティは注意深くブーツを脱ぐと、靴下を見た。やはり血がにじんている。パティは気合いを入れて靴下を脱ぐと、涙が出るほど痛かった。
ショルダーバックの中のアクアがプクプク言う。血で汚れているから、そのまま治癒魔法はできない。まずは水で綺麗にする、との事。
パティは目をかたくつむってからお願いした。
「アクア、皆。お願い!」
次の瞬間、パティの足に勢いよく水がかかった。水は傷口に染みてとても痛かった。その直後、ズキズキとする痛みが潮を引くように消えていった。
パティが目を開くと、自分の両足がキラキラと輝いていた。
「皆ありがとう。もう痛くないわ」
パティは荷物から洗いざらしの靴下を取り出してはいた。マックスがパティを見上げて鳴いた。
「ワンワン」
「そうね。ちょっと休憩しようかしら」
マックスの提案でパティたちは休憩場所を探す事にした。ピンキーが先立って場所を探してくれる。
それまでパティは馬車道の横の草むらに座り込んでいた。
「ピィピィ!」
馬車道の横の、森の中を飛んでいたピンキーが、パティの頭上で激しく鳴いた。
「本当なの?!ピンキー。人が倒れているの?!」
ピンキーの鳴き声にパティは立ち上がってかけだした。ピンキーは空を飛びながらパティたちを先導する。
パティたちは森の中に入った。草むらのある場所で、ピンキーがはげしく旋回する。そこには白髪の老人が倒れていた。
「キャァ!おじいさん!おじいさん!大丈夫ですか?!」
パティは慌てて老人を抱き起こす。老人はガリガリにやせていて、医学の知識がないパティからしても、危険な状況がわかった。
何故瀕死の老人がこんなところにいるのだろうか。パティは混乱する頭で老人に声をかけ続けた。
「・・・、」
「何?!何ですか?!おじいさん!」
老人が何かを呟いた。パティは老人の口に耳をあて、注意深く聴いた。老人はうわ言のように、腹が空いたと言った。
パティはホッと息をはいてからチャーミーにお願いした。りんごを作って、と。
チャーミーがニャッと返事をするとら地面からニョキニョキと樹木が育ち、やがてたわわにりんごがなった。
ピンキーが大きくてツヤツヤのりんごを一つもいでくれた。パティは老人を抱き起こすと、口元にりんごを持っていった。
「おじいさん、りんごです。食べてください」
老人は薄目を開けてりんごを一べつしてから、悲しそうに言った。
「わしには歯がないんじゃ」
パティが老人の口の中を見てみると、歯が三本しかなかった。
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