パティの誓い2

 トグサはうなずいてから言葉を続けた。


「私たち人間は、神から一つ何らかの魔法を授かった。だがそれも完璧とはいえない。必ず弱点が存在する。それはアンチ魔法を使っていた盗賊にもあった。奴はアンチ魔法を使用する時、魔法にかかりきりになる上に、魔法範囲が決まっている。メグリダにしてもそうだ。《カリスマ》の支配下に置くためには、相手が近づかなくてはいけない。だから、マックス、チャーミーはパティの前後方向に距離を取り、ピンキーは上空から、アクアはパティの側にいて、皆がパティを守れば必ず守る事ができる」


 パティとマックスたちは、トグサの話しに聞き入っていた。たしかにマックスたちは、パティを守るためにすぐにパティの側にかけよって来てしまう。


 トグサの意見は重く受け止めて参考にしなければいけない。難しい顔をしているパティたちに、トグサは明るい顔で言った。


「パティ、皆。自分たちが成長したなと思って、また私たちのパーティに加入したいと思ってくれたら、ぜひ言ってくれ。私たちは世の中のあぶれ者たちだ。自分の現状に耐えられず、逃げ出してきた者たちだ。私はエリオ、コジモ、デイジーを自分の家族だと思っている。パティ、皆。離れていても君たちも私たちの家族だ」


 トグサの言葉に、パティは胸が熱くなった。鼻の奥がツンとなって、涙があふれそうになった。となりに座っていたデイジーがゆっくり立ち上がり、パティを優しく抱きしめて言った。


「トグサの言う通りだよ?パティ。パティとマックスたちはあたしたちの家族。あたしは頼りになるお姉ちゃん。エリオとコジモは頼りにならないお兄ちゃん。トグサは冗談の通じないかたぶつのお父さんよ。パティたちには二つの家族がいるの。ドミノ村のジョナサン神父とチコリおばあさん。そして、あたしたちは空の下のどこかの町でパティたちの事をいつも思っている。だからね、安心して旅をしてね?」


 パティはもう限界だった。目からはボロボロと涙がこぼれ出し、しまいにはわんわん泣き出してしまった。デイジーはしっかりとパティを抱きしめてくれた。


「わぁ、パティみたいな可愛い子が妹だなんて僕嬉しいな!」

「だな!デイジーは生意気で可愛くない妹だからな!」


 嬉しそうなコジモにエリオが続く。デイジーはパティを抱きしめながらエリオにどなった。


「何ですってエリオ!いい度胸してるじゃないの!」

「なぁ、パティはともかく、エリオとコジモとデイジーの父親だなんて私は嫌だぞ?お前たちみたいな大きな子供がいる歳ではないぞ」


 騒いでいるデイジーたちに、トグサが一生懸命反論している。楽しそうな彼らの会話に、パティも混ざりたかったが

どうしても泣く事を止められなかった。


 パティは泣きながら、嬉しくても涙が出るのだと、不思議に思った。


 

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