つかの間のひととき

 パティたちは城下町に戻り、宿をとり身体を休める事にした。デイジーと同室の部屋でたっぷり睡眠を取った後、お昼は宴会になった。


 トグサたちパーティーは冒険者として大きな成果をおさめたからだ。トグサたちは銘々冒険者レベルが高くあがった。これからトグサたちのパーティにはたくさんの依頼が来るだろう。


「皆、今回の依頼お疲れさま。美味い飯と酒をおおいに食べて飲もう」


 トグサは、ところせましとご馳走が並ぶテーブルから、エールのジョッキを持ち上げて言った。エリオもコジモもエールのジョッキをかかげている。


 デイジーとパティはオレンジジュースのグラスをかかげた。パティの膝の上にはショルダーバッグが置いてあり、その中にはパティの友達が小さくなっておさまっている。


 アクアとマックスとチャーミーは可愛い目をキラキラさせている。ピンキーはパティの肩にとまっている。


 トグサの乾杯のおんどに、パティたちはグラスをあわせた。食事はとても豪華で美味しかった。


 パティはトグサが頼んでくれた野菜と果物の盛り合わせから野菜を取ると、ショルダーバッグの中のマックスたちに食べさせた。肩に乗ったピンキーも嬉しそうに葉野菜を食べている。


 パティたちが腹を満たした頃、トグサがパティに話しかけた。


「パティ、冒険者の初仕事はどうだったかな?」

「はい。冒険者とは危険がともなう仕事だという事を実感しました。ですがトグサさんたちのパーティに参加ささせていただいて、冒険者とは何て心が真っ直ぐで強い信念を持った人たちなのだろうと思いました」


 パティの言葉に、コジモはほめすぎだよ、と顔を赤らめ、デイジーは照れたように自分の指で頬をかいた。エリオは胸を張って答えた。


「おい、コジモ、デイジー。パティは俺の事を言ったんだ。半人前のお前たちの事じゃねぇよ。なぁ、パティ」

「何だとエリオ!半人前なら、僕と一緒に冒険者になったエリオも半人前だろ!」

「ちょっと!もう一度言ってみなさいよ!エリオ!」


 えらそうなエリオに、コジモとデイジーがくってかかる。エリオたちのこぜりあいに、パティは困ってトグサを見ると、彼は困った顔で笑った。


「大丈夫だよパティ。エリオもパティにほめられて照れているんだよ」

「な!べ、別に照れてなんかいねぇよ!変な事言うなトグサ!」


 エリオが真っ赤な顔でトグサに怒る。コジモとデイジーも、エリオの真っ赤な顔をからかって笑っている。


 彼らの仲の良い姿にパティは笑った。トグサはあたたかいまなざしでパティを見てから言った。


「パティ、マックス、チャーミー、ピンキー、アクア。君たちに提案なんだが、正式に我々のパーティに入らないかい?」

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