パティ戦う
パティは自分をかばうように立ちはだかっているトグサの背中に飛びついて叫んだ。
「トグサさん!私たちにやらせてください」
突然パティに飛びつかれ、驚いた顔のトグサが振り向く。パティはショルダーバッグがアクアを取り出すと、丁寧な仕草でトグサの手のひらに乗せて言った。
「アクア。トグサさんたちを守って?水防御ドームを張って待機」
「プクプク!」
パティは、手のひらにカメを乗せられ固まっているトグサの前にいるデイジーたちに声をかけた。トグサの周りに集まるようにと。
パティはピンキーを肩に乗せたまま、マックスとチャーミーをともなって駆け出した。
目の前には剣を振り上げた盗賊たちが迫っている。パティは大声で友達に指示を出した。
「マックス!向かって左側、火攻撃魔法!」
「ガウッ!」
「チャーミー!向かって右側、鉱物攻撃魔法!」
「ニャッ!」
「ピンキー!商人と馬車に風防御ドームを張って!前後の方向に風攻撃魔法!」
「ピピッ!」
マックスはたくさんの火の玉を作り、駆け寄る盗賊たちに投げつけた。盗賊たちは火の玉をよけるために逃げまどった。
チャーミーは鉄の刃をたくさん作り出し、盗賊たちめがけて放った。盗賊たちは背中を向けて森の中に逃げて行った。
ピンキーはコジモの《コマンド》で動けないでいるイエーリと馬車に風防御ドームを張ると、マックスとチャーミーが攻撃し損ねた前と後ろから来る盗賊たちを風攻撃魔法で吹っ飛ばしていた。
パティが背後を振り返ると、アクアがパティの指示通り、トグサたちを水防御魔法で守っていた。
パティはホッと息をはいた。これまで特訓してきた成果が出たのだ。パティとマックスたちは、トグサたちを守り、盗賊たちを撃退できたのだ。
だがパティは盗賊たちを追い払っただけだ。パティはマックスたちに盗賊たちを傷つけ命を奪えとは、どうしても指示できなかった。パティの一存で奪ってよい命など無いと思っていたし、何より人を傷つける覚悟がパティにはなかった。
盗賊たちはパティたちへの報復に、再びやって来ると考えるのが妥当な気がした。
パティが辺りを見回すと、盗賊たちの姿はすでに見えなくなっていた。パティはマックスとチャーミーとピンキーにありがとうとお礼を言ってから、アクアの水防御ドーム向かって歩き出した。
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