パティの旅の目的
パティは大きくなったピンキーの背中に乗り、大空を飛んでいた。ピンキーに乗って空を飛ぶのはいつもの事だ。だが今日はいつもと違う。
パティは育ったドミノ村を出て旅に出るのだ。パティは感慨深げに眼下の森を眺めていた。パティがさげているカバンからは小さくなったマックスとチャーミー、アクアが顔を出していた。
王都の冒険者協会は城下町にある。ドミノ村からは馬車を乗り継いで三日かかるが、ピンキーに連れていってもらえば半日で行ける。昼過ぎには城下町に到着するだろう。
パティは大空を見上げながら、これからの事を考えていた。パティが冒険者になりたいのは、第一にお金を稼ぐためだ。パティはこれからマックスたちと生きていかなければならない。そのためにはお金が必要なのだ。
次に、まだ見た事のない場所に行って、たくさんの人に出会って、様々な経験をしたいのだ。そして最後に、パティは両親の面影を探そうとしているのだ。
いくらパティだとて、古い手紙一通で自分の両親が探せるなどとは思っていない。だが旅を続けていれば、パティのルーツに少しだけでも触れる事ができるのではないかと考えているのだ。
パティがぼんやり物思いにふけっていると、ピンキーがピィッと鳴いた。パティが眼下を見ると、そこには大都市が広がっていた。パティが住んでいるグルニア国の王都だった。
「わぁ!とっても大きなお家がたくさん!」
はるか遠くにはグルニア城のとんがった屋根が見えた。パティはピンキーに城下町の入り口に降りてくれるよう頼んだ。
パティはピンキーから降りると、辺りをキョロキョロした。周りは人であふれかえっていたからだ。ピンキーは元の大きさに戻り、パティの肩にとまった。
マックスとチャーミーは小さいまま、アクアのいるショルダーバッグに入っていてもらう。離れ離れになってはいけないからだ。
パティはよし、と気合いを入れてから城下町のアーチをくぐった。城下町はたくさんの物売りたちで賑わっていた。
見た事もない色の果物を売る果物屋。大きな肉のかたまりをぶら下げている肉屋。おかしな形の魚を売る魚屋。店の店主は大声で客を呼び込んでいる。
パティはもの珍しげにお店を見ていたが、ハッと気づいて頭を振った。パティには一番にやらなければいけない事があった。
冒険者協会で冒険者登録をする事だ。
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